ニュースというと、お堅いイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。 週刊こどもニュースの元ディレクターである杉江義浩さんが書かれたこの本には、ニュースの重要性や楽しみ方が具体例を交えながらわかりやすくまとめられています。
『ニュース、みてますか? -プロの「知的視点」が2時間で身につく』
杉江義浩著 ワニブックス 2015年
「すべてのニュースが生活に結びついている。生活に結びついているものしかニュースになっていない」
「今日そこのスーパーでレタスが100円!」そういった、身近ですぐに役立つような情報はSNSや周りの人伝いに知ることができます。
そうした即物的な利益を与えるのではなく、一見暮らしに直結しないように見えても、いつか必ず役に立つ、間接的に暮らしに結びついているものも伝える役割を持っているのがニュースです。例えば中東イランの戦争をとりあげるのも、そこで紛争が起きれば、ホルムズ海峡に影響が出るかもしれない、ホルムズ海峡は日本に石油を運ぶタンカーの通り道だから石油が入ってこなくなるかもしれない、そうすると日本はエネルギー不足になってオイルショックのようなことがまた起きるかもしれない、産業や暮らしにダメージがでるかもしれない……。
そうした広い視点で見た生活への必要を反映しているのがニュースなんです。
ニュースは楽しいもの
先ほど例にあげた中東イラン戦争からもおわかりいただけるかもしれません。 実は、ニュースってたった一つのコツで楽しむことができるんです。 それが、まさに「連想ゲーム」。
なぜこれをニュースにするんだろう、今言ったことの意味はなんだろう。 ニュースで言われたことをするりと流さず違和感を感じ、自分で調べてみる。 そういった能動的な姿勢で見ることでニュースが楽しく感じられるようになり、いつのまにか教養も身についているといいます。
ニュースをさらに楽しむためにまず読んでみるといい、と杉江さんが挙げているのが、 中学校の公民の教科書。 社会人になってから読むと見違えるほど面白いんだそうです。 さらに、世界のニュースを理解するためには世界史Aの教科書がベスト。 世界史Bよりも読みやすいうえに、ニュースで流れる基礎知識を頭に入れるにはうってつけなんだそう。 紙よりもネットがいい、という人におすすめなのがニュースまとめサイトの『ハフィントンポスト』。 気になるニュースをさらっと読みたい人にも便利です。
「むずかしいこと」を「わかりやすくする」ことは、何よりも「難しい」
世の中の難しい話をわかりやすく説明することは、簡略化したり端折ったりしては絶対にできません。 むしろ伝えるべきテーマについて何倍も勉強し、咀嚼し、不必要な情報をそぎ落としていく作業が必要になります。
週刊子どもニュースという小学生にニュースをわかってもらうという無謀ともいえるコンセプトの番組を作ってきた杉江さんだからこそ、「わかりやすくする」ことの大変さは身に染みて理解しています。そして杉江さんが「わかりやすくする」ために最終的に必要になってくると感じたのが、「楽しむこと」だったといいます。
それは、週刊子どもニュースでお父さん役を務めた池上彰さんを見て感じたんだそうです。 ニュースをまさに能動的に楽しんでいる池上さんだからこそ、より深くまで理解しようという気持ちが生まれ、「わかりやすい」説明ができるという訳です。
「わかりやすい」説明は、様々な場面でもとめられるスキルです。 説明の仕方次第で、聞いた相手の反応も変わってきます。 そんな社会を生きるうえで重要なスキルを身につけるためにも、身近なニュースに興味を持つことは欠かせないことであると言えそうです。
ニュース、みてますか?

