甚大な被害を残した東日本大震災からはや5年。震災関連の報道の中で、「正常性バイアス」という言葉を耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。今回は、その正常性バイアスについてお伝えします。

正常性バイアスとは

「正常性バイアス(normalcy bias)」は心理学の用語です。社会心理学や災害心理学だけでなく、医療用語としても使われます。
人間が予測しない事態に対峙したとき、「ありえない」という先入観や偏見(バイアス)が働き、物事を正常の範囲だと自動的に認識する心の動き(メカニズム)を指します。

(引用元:tenki.jp|正常性バイアスを知っていますか?「自分は大丈夫」と思い込む、脳の危険なメカニズム

このように正常性バイアスは、非常事態に直面した時、心の落ち着きを保つため「たいしたことはない」と考えてしまう心理のことを言います。

震災関連の報道では、非常事態に正常性バイアスが働いてしまったせいで、逃げ遅れたり、適切な行動が取れなかったりした人たちが多くいるということがよく言われていました。

しかし、この正常性バイアス、災害などの危険事態だけでなく、普段の生活でも見られるようです。どのような例があるのでしょうか。

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日常生活で見られる正常性バイアスの例

例えば、課題や仕事の締め切りが迫っているときでも、大丈夫だと思い込んでしまうこと。よく見られる正常性バイアスの1つと言えます。

異常事態だと認めると、「早くやらなくては」という焦りや強迫観念などから、ストレスを感じてしまいます。ストレスを感じることは心の健康上好ましくないことなので、それを避けるために正常性バイアスが働いてしまうのです。

さらに、正常性バイアスとしばしばセットで語られるのが、多数派同調バイアスです。これは、自分以外に大勢の人がいると、とりあえず周りに合わせようとする心理。つまり、仕事で大勢の他人と共同で何かを進めている時に起こりやすいと言えます。締め切りが迫っているという非常事態も、それをみんなで進めている状況下では、より危機回避の行動を取れなくなってしまうのです。これは、正常性バイアスが多数派同調バイアスによって強化されてしまうためです。

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正常性バイアスに支配されないためには

これまで見てきたとおり、正常性バイアスは、取るべき行動を取れなくする、という点で、非常事態には危険なものです。しかし、同時に私たちの生活に必要なものでもあるのです。正常性バイアスがなければ、些細なことにもビクビクしながら生きていかなければなりません。些細なことをいちいち異常だと判断していては、疲れてしまいます。

正常性バイアスの怖い部分は、重大な危険や異常事態を正常の範囲内と判断してしまうことです。それを避けるためには、正常性バイアスの存在を認識しておくことが必要です。正常性バイアスが非常事態には賢明な行動の妨げになってしまう、ということを頭にとどめておくのです。そうすることで、非常事態、異常事態に、本当はするべき行動が他にあるのではないか、と冷静に考えられる可能性が高まります。

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いかがでしょうか。震災後、メディアでしばしば取り上げられた正常性バイアスですが、震災から5年たった今、再確認する必要があると思います。地震や津波などの災害の危険な状況の際にはもちろん、日常生活の中でも、正常性バイアスによって適切な行動がとれなくなってしまう可能性があることを認識することが大切です。

参考:
tenki.jp|正常性バイアスを知っていますか?「自分は大丈夫」と思い込む、脳の危険なメカニズム
バンブルビー通信|空気を読む日本人 正常性バイアスと多数派同調バイアスへの対策を持つべきだと思った話
DIAMOND online|そうそう大変なことは起きない?ーー正常性バイアス