脳年齢までも逆行させる? 驚異的な「思い込み」パワーの活用術

以前より、“思い込み”は驚くべき力を発揮することで知られていますが、最新の研究では脳年齢までも若返らせる可能性が示唆されました。もしも「いつも自分だけうまくいかない」「自分より周りの人のほうが運に恵まれている」と感じているならば、思い込みがそうさせているのかもしれません。脳の思い込みに関するさまざまなデータとともに、プラスに導く活用法をさぐります。

脳年齢は、主観年齢に相関する

神経科学に関する学術誌『Frontiers in Aging Neuroscience』に掲載(2018年6月7日付)された新たな研究によると、主観年齢(自己がイメージする自分の年齢)が実年齢よりも若いと感じている高齢者は、実際に脳も実年齢より若くなっていたのだとか。

ソウル大学の研究者らは、68人の健康な高齢者を対象に主観年齢を調査し、MRIで脳を測定しました。すると、主観年齢が実際の年齢よりも“若い”と感じている人は、下前頭回と上頭側回という脳の領域の灰白質(神経細胞が密集しているところ)が大きくなっていたそうです。それだけではなく、脳年齢も若いことが示されたとのこと。逆に、主観年齢が実際の年齢よりも“老けている”と感じている人は、認知機能が低下し、うつ症状がより顕著になる傾向が見られたといいます。

研究者らは、人が脳の変化を認識しているため、それが主観年齢に反映されていると仮定しつつも、自身の「老いた」という否定的な感情が、脳までも変えてしまう可能性も考慮しています。

思い込みだけで病気になることもある

実際に、思い込みは、かかってもいない病気まで引き起こすことがあります。2005年にクリフトン・メドア博士が科学誌に発表した論文によれば、末期がんと診断され、みるみる体力を失い命を失ってしまった患者が、実はまったく病気ではなかったケースがあるのだそう。つまり、誤診を信じた脳は、体を病気に変えてしまったのです。

レベッカ・フェルカー氏が1996年に発表した研究でも、「自分は心臓病にかかりやすい」と信じている女性の死亡率は、そう信じていない女性の4倍にのぼったといいます。

しかし、その思い込みは前項で紹介したように、悪いほうにも働けば、良いほうにも働きます。何の有効成分も入っていない偽薬でも、「この薬を飲めば治る」と信じることで、症状が回復してしまうプラシーボ効果も有名ですよね。

それならば、悪いほうへと働かせず、徹底的に“思い込み”を有効活用してしまいましょう!

脳の「思い込み」を有効活用する方法

1. 【ストレスの好転】:ストレスはいいもの

健康心理学者のケリー・マクゴニガル博士が著した『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』によると、「ストレスは健康に悪い」と考えていると死亡リスクが高まる可能性があるそうです。これは、1998年にアメリカで3万人の成人を対象にストレスに対する調査を行い、その8年後に追跡調査を行い示されました。

そこで、マクゴニガル博士は、ストレスに対する考え方次第でさまざまなことが左右されると推測し、ストレスをポジティブに捉え、力に変えるエクササイズを考案したのだとか。それを参考にしたストレスの好転方法はこちら。

・もしもストレスを感じ、呼吸や鼓動、発汗などが活発になり、心身が苦しくなり始めたら―― →「いま自分の脳と体は自動的に対処を始め、困難を乗り越えようとしている」と考える →「脳が刺激されフル回転を始めている」と考える →「これでまた、よく学んで成長できる」と考える

2.【認知能力アップ】:これでよく眠れる

コロラド大学・心理学教授のクリスティ・エーダル氏が率いた2014年の研究では、よく眠れたと思い込むだけで、認知能力が向上することがわかりました。たとえよく眠れていなくても、「グッスリ眠れていましたね」といわれた実験参加者は、「あまり眠れていませんでしたね」と知らされた参加者よりも、注意力と記憶力のテストで良い成果を挙げたのだとか。

人は自分が信じている睡眠の儀式を行うことで、よく眠れるようになると感じやすいもの。上記の研究を踏まえると、それにより実際には眠れていようが、いまいが、眠れたと思い込めれば認知能力を高めてくれる可能性があるわけです。

睡眠のための儀式は、寝る前にホットミルクを飲む、アロマを焚く、ゆっくりお風呂につかる、ストレッチをする、本を読む、音楽を聴くなど人それぞれですが、とにかく何でも信じているものを行いましょう!

3.【記憶力アップ】:絶対覚えているはず

「自分はそれを一度は見ているのだから、必ず脳のどこかに記憶されているはずだ」と思い込むと、不思議と思い出すことができます。実はこのとき、「覚えているはずだ」と脳に意識を向けたら、むしろ思考を止め、勝手に脳に動いてもらおうとするのです。つまり、意図的にデフォルト・モード・ネットワークにしてしまうということ。

デフォルト・モード・ネットワークは、ぼんやりと何も考えず安静状態にあるときのみ、むしろ活発に働き、互いに同期する脳の神経活動。本を読んだり勉強したりといった特定の行動下では活動が低下します。

そこで、あえてボーっとしていると、思い出したいことの周辺の言葉にならないイメージがどんどん浮かんできます。すると不意に「ポン」と思い出したいワードが出てくるわけです。できるだけ思い出すまで粘るので、筆者の場合はいまのところ成功率は90%というところでしょうか。残りの10%は面倒になってネット検索したというのが実態です。

理化学研究所も2015年5月29日に「記憶痕跡回路の中に記憶が蓄えられている」と発表しています。「もう忘れたな……」と諦めず、「脳は覚えている」と信じましょう。そして、思い出したいときは考えず、「ボーっと」するべし!

*** 「信じる者は救われる」という言葉は宗教的でも自己啓発的でもなく、「脳的」なのかもしれませんね。ぜひ思い込みをマイナスにせず、プラスにしてくださいね。

(参考) Frontiers Peer Reviewed Articles - Open Access Journals|Feeling How Old I Am Subjective Age Is Associated With Estimated Brain Age The Independent News UK and Worldwide News Newspaper|Just thinking you had a good night's sleep can improve cognitive skills 東洋経済オンライン 経済ニュースの新基準|人間は「思い込み」だけでも死んでしまう! コトバンク|デフォルトモードネットワークとは 理化学研究所|記憶痕跡回路の中に記憶が蓄えられる ケリー・マクゴニガル著,神崎朗子訳(2015),『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』,大和書房. 茂木健一郎著(2017),『脳を鍛える茂木式マインドフルネス』,世界文化社.

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