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2015年のノーベル賞では日本人が物理学賞と生理学・医学賞を受賞したことが話題になりました。では、同じく理系分野である化学賞は誰が、そしてどんな内容で受賞したのでしょうか?

2015年化学賞は「DNA修復機構の発見」

2015年のノーベル化学賞はトモス・リンダール、ポール・モドリッチ、アジズ・サンジャルの3名が下記テーマで受賞しています。

for the mechanistic study of DNA repair

(出典:Nobelprize.orz)
訳すと、「DNA修復機構の研究のため」。今回は、誰もが聞いたことはあるもののあまり詳しくは知らない「DNA」、そして実はかなり身近であるDNAの修復について説明していきます。

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そもそもDNAとは?

「DNA」というのはデオキシリボ核酸(Deoxyribo Nucleic Acid)という物質です。そのDNAは、ヌクレオチドという物質が約30億個も鎖状につながっています。さらにそのヌクレオチド1つには4種類の塩基のうち1つがくっついており、ヌクレオチドがつながっていくことで、その4種類の塩基による配列が生まれます。その配列によって遺伝情報などが記憶されていくのです。
そして、塩基にはそれぞれパートナーとなる塩基が存在します。元々の塩基とそのパートナーとなる塩基をもったヌクレオチドの2本の鎖でつくられた螺旋状の構造、これこそが有名な「二重螺旋構造」です。

参照元:wikipedia(DNAの二重らせん構造)

参照元:wikipedia(DNAの二重らせん構造)

よく混同されやすいのが「遺伝子」という単語。遺伝子というのはDNAの中でタンパク質の作り方を記憶している場所のことなので、それはDNAのたった1.5%。つまり遺伝子というのは、DNAのほんのわずかな場所のことを指しているにすぎないのです。

ではDNA修復とは?

では次にDNA修復について説明していきます。例えば、私達人間の皮膚内にあるDNAは紫外線を浴びることで簡単に壊れてしまいます。そして、もしそれがそのままだったり、元々と違う塩基の順番となってしまうと、その皮膚が癌細胞となってしまいます。
しかし、実際はDNAは修復され、塩基はきちんと元の順番通りとなります。その仕組みこそが、今回ノーベル賞を受賞した「DNA修復機構」というわけです。

3つのDNA修復機構

今回受賞した3人はそれぞれ違う修復機構の解明をしました。
まずはリンダール博士の発見した「塩基除去修復(Base excision repair)」

nobelprize.org

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ヌクレオチドの中の塩基が傷ついた時、この修復機構が塩基を除去することでDNAを修復します。例として4種類の塩基の1つであるシトシンを用いて説明します。

1.シトシンが傷つき、アミノ基というものを失うことで(4種類の塩基ではない)ウラシルという塩基に変わります。
2.ウラシルはシトシンのパートナーである塩基のグアニンと結合することはできません。
3.グリコシラーゼという酵素(反応促進剤)が欠陥であるウラシルを見つけ、除去します。
4.2,3種類の酵素がウラシルのくっついていたヌクレオチドをまとめて除去します。
5.DNAポリメラーゼという酵素が生まれた隙間を埋め、DNAリガースという酵素で隙間を外から保護します。

この一連の流れでDNAを修復するのが「塩基除去修復」です。

では次にモドリッチ博士の発見した「ヌクレオチド除去修復(Nucleotide excision repair)」を説明します。

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ヌクレオチド除去修復はたばこの煙や紫外線によって傷つけられたDNAを修復します。

1.紫外線などが2つの塩基の結合をでたらめなものにしてしまいます。
2.ある酵素がそのでたらめな部分を見つけ、12個のヌクレオチドごと切り取って除きます。
3.DNAポリメラーゼという酵素がその隙間をうめます。
4.DNAリガースという酵素が結合を正常なものとします。

これで傷は治療されました。

最後にサンジャル博士の発見した「ミスマッチ修復(Mismatch repair)」を説明します。この修復機構はさきほどの2つとは少し雰囲気が違うので理解しにくいかもしれませんが、落ち着いて理解していきましょう。

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細胞が分裂したときDNAがコピーされます。ときどき、そのコピーを写し間違えることがあります。

1.MutSとMutLという酵素がその写し間違いを見つけます。
2.MutHという酵素がメチル基というものを見つけることで原本と写し間違いのコピーを区別します。
3.写し間違いのコピーを切断します。
4.切断したものを取り除きます。
5.DNAポリメラーゼという酵素がうまれた隙間を埋め、DNAリガースが隙間を保護します。

この一連の過程が「ミスマッチ修復」です。

2015年のノーベル化学賞を大雑把に取り扱うと以上の通りです。いかがでしたか? 難しかったですか? それとも簡単でしたか?
どちらにせよ、僕らの体の中で毎日当たり前のようにこのような活動がされているわけです。僕らの体のことはまだまだ謎ばかりで、少しずつ解明されていくのはとても素敵なことですよね。今回の説明は浅く扱っているので、興味を持った方はさらに調べてみてください。

また、日本人が受賞した物理学賞、生理学・医学賞についても説明されているので、こちらもぜひ読んでみてください。

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参考:
wikipedia|二重らせん
nobelprize.org|DNA repair – providing chemical stability for life


早稲田大学創造理工学部総合機械工学科に所属。ICU高校出身。現在は機械の勉強をし、将来的にはセンサーや画像認識技術を勉強したい。