職場の音はなぜ気になる? 職場で集中するための "音" とのつきあい方。

あなたは、職場の音環境について考えたことはありますか?

どういったBGMが作業効率を上げるのか、そもそも聴かない方がいいのか、これまでにStudy Hackerでも紹介してきました。しかし、普段耳にしている「環境音」が作業にどういった影響を及ぼすのかは、あまり触れられないものです。

もし、あなたが職場で仕事に集中できないとしたら、それは職場の音環境が悪いせいなのかもしれませんよ。どういった音環境が仕事に適しているのか、考えてみるとしましょう。

カフェと職場の雑音は違う

カフェの雑音と職場の雑音は、種類が違うことをご存じでしょうか?

もちろん、職場にはミルクをスチームする音はないでしょうし、逆にカフェでは、仕事の電話をしている人は少ないでしょう。しかし、ここでいう雑音の種類というのは、そういった意味ではありません。

カフェでは自分の知らない人が雑音を立てているのに対し、職場で耳にする音のほとんどが知人によるもの。つまり、「雑音を生じる人」が異なるのです。そして、後者の知人による雑音の方が、あなたの作業効率を大きく低下させてしまいます。

なぜなら、知人の出す音は脳が優先度の高い情報として処理してしまうからです。

例えば、雑踏に知人がいたら、なんとなくで見つけることができますよね。いちいち1人1人の顔を確認し、脳内の知人の顔と照合する作業を繰り返している人はいないでしょう。

「視覚」と「聴覚」の差こそあれど、本質はこれと同じです。これが生じるのは、人間の脳が無意識のうちに情報の取捨選択をしているから。

五感で感じる情報全てを脳で処理していたら、脳がオーバーヒートしてしまいますよね。ゆえに、自分に必要な情報かを脳が勝手に判別して、不要と判断された情報は認識されなくなっているのです。これをカクテルパーティー効果といいます。

カフェで耳にする雑音は、脳が不要な情報と判断するため、会話の内容まで認識されることはありません。そういった環境音の下では、静音の図書館に比べて創造的な発想が生まれやすいという研究すらあります。

しかし、知人が雑音を生じる職場では、それを聞く必要がないとわかっていても、脳が勝手に「必要な情報」だと判別して、会話の内容まで認識してしまうのです。ゆえに、どうしても気が散ってしまい、なかなか職場で仕事に集中できなくなってってしまいます。

予測可能な雑音

建築音環境の専門家である、明治大学の山田由紀子氏が行った雑音に関する興味深い実験があります。

実験では、作業を行っている被験者にさまざまな雑音を聞かせ、作業に対する「妨害感」を比較しました。 すると、仕事場で想定される50db程度の音では、等間隔に発生する雑音よりもランダムに発生する雑音の方が「妨害感」が大きいという結果が出たのです。

次にいつ来るのか予測の立てやすい等間隔な音の方が、不意打ちでやってくるランダムな音に比べてストレスが少ないということ。つまり、普段耳にする雑音も、予測がつかないものの方が「妨害感」は大きいということになります。

カフェにおける「他人の会話」は、想定内の雑音だと言えるでしょう。職場でも、会話が発生することは想定できますが、その内容までは予測するのが難しいです。

前述の通り、知人の会話の内容は自然と認識してしまうため、そういった「不意の情報」が脳に入ることで、ますますあなたの集中力は削がれてしまいます。

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集中できる環境づくり

これらの職場における雑音を解消するにはどうしたらいいのでしょうか?

有効なのは、イヤホンを耳に差してしまうことです。人の生じる雑音が集中を妨げる原因となっているので、それらを聞かなければいいですよね。

その際、歌詞のある音楽を聞くのは避けましょう。「言語情報」が聴覚から入ってくると、脳は意味を理解しようとしてしまうので、職場の環境音と変わりません。

おすすめなのが、Instrumentalです。知っている曲であっても、歌詞がないことで脳への妨害を軽減することができます。また、「環境音」で検索すると、「雨の音」や「ピンクノイズ」といった、特に意味のない環境音をエンドレスに再生してくれる動画もあるので、それらを使うのも有効です。

もしイヤホンが容認されていない職場であれば、発生するであろう雑音を予測して、心理的なストレスを軽減しましょう。 「誰と誰が話すだろう」、「どういった会話をするだろう」ということは、親しい人なら予測を立てることができますよね。それを思い描きながら出勤することで、急な雑音にも心を乱さずに作業することが可能となります。

職場での雑音が気になるという方は、ぜひ試してみてくださいね。

(参考) Study Hacker|カフェでの勉強はなぜはかどる? ”カフェ勉” が集中力を高める3つの科学的理由。 Wikipedia|カクテルパーティー効果 山田由紀子&辻村壮平(2006), 40390 精神作業時の音の妨害感に関する研究: その1 作業量と妨害感についての検討 (音環境・サウンドスケープ, 環境工学 I). 学術講演梗概集. D-1, 環境工学 I, 室内音響・音環境, 騒音・固体音, 環境振動, 光・色, 給排水・水環境, 都市設備・環境管理, 環境心理生理, 環境設計, 電磁環境, 2006, 807-808. ​長澤泰 (2011),「建築計画(改訂版)」, 市ヶ谷出版社.

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