チームメンバーが指示に従ってくれない、成果をあげてくれない……。
こんな悩みを抱える、リーダーの方はいませんか?
リーダーとはいえ、一人の人間。万能なわけではありません。しかし、リーダーになったからには周囲から期待されますし、ある程度の責任はつきまといます。あなたはそれに応えなければいけませんね。
もし冒頭にあげたような悩みを抱えているとするなら、それはあなたの能力が低いわけでも、メンバーの人間性に問題があるわけでもありません。リーダーであるあなたが、マネジメントのコツを知らないだけなのです。
今日ご紹介する本は、アメリカのビジネス界で絶大な効果をあげた行動科学の手法を解説する本。大ヒットを記録したマンガ『教える技術』の続編、チームリーダー編です。
『マンガでよくわかる 教える技術2 チームリーダー編』 石田淳著 かんき出版 2015年
(以下引用は本書より)
マンガだから誰でも読める! すぐ読める!
まず強調したいのは、この書籍がマンガであるということ。ある衣料品店のマーチャンダイジング部の課長を任された女性が、行動科学の手法を用いてリーダーとして成長していく様子を、丁寧に描いています。
マンガといっても、よくある学習マンガのように「難しい説明は文章に任せて、マンガではストーリー展開を重視」なんてことはありません。主人公が実際にマネジメントを行っていく様子を描いていますから、文章の部分を読まなくても、十分コツを理解できます。どんなに優れた書籍であっても、読めなければ意味はありません。忙しい人でも簡単に読める、そんな本になっています。
一番大事なのは「信頼されること」
リーダーになるために、必要な素質ってなんだと思いますか? みんなを引っ張るカリスマ性? どんな逆境にもめげないチャレンジ精神?
それらももちろん大切でしょうが、本書では「部下から信頼されること」だと語ります。そしてその信頼も、雰囲気や人柄ではなく、リーダーの行動を工夫することで、戦略的に獲得できると言うのです。
”信頼されるリーダーの条件”は、「部下の存在を認め、成長を願っている」「部下の長所をしっかりと把握している」の2点に集約されます。
そのために本書で紹介する方法が「メンバーの長所を紙に書き留める」「コミュニケーションを取った回数をメモしておく」というものでした。
そして、この長所をしっかり褒めてあげる。それが大事だと強調します。長所といっても、服装がおしゃれとか、髪型が似合うとか、そういうことではありません。必ずその人のとった「行動」に目を向けるのが、行動科学マネジメントの手法。
どんなに当たり前のことでも、行動したら褒めてあげましょう。報告書の提出、挨拶、備品の整理、なんでも構いません。仕事をする上で「望ましい」と感じた行動は、逐一褒めることが重要です。
リーダーに求められる「聞く技術」
部下が何かを報告した時、相談してきた時。相手の言葉を遮って「それは君、違うよ。こうやって~」「いやいや、それよりは……」という風に口出しをしてはいけません。そんなことをしているから、部下が本音を話してくれなくなるのだ、と著者は鋭い指摘を飛ばします。
「この人には話しを聞いてもらえそうにない…」と思わせる最大の要因は、上司が喋りすぎてしまうことにあります。(中略)そのため、部下が「今日、取引先でこういうことがありまして…」と話し始めると、それをさえぎって「それなら、こうすればいいんだ」と、自分の体験をもとに決めつけてしっているということが多いのです。
そこでおすすめされているのが、ひとまず「部下と話す環境をつくる」ということ。少しでも部下が話しかけてきたり、相談を持ちかけてきた時には、場所を変える、椅子に座らせるなどして、話しやすい環境をつくることが必要なのです。
また、ひとり10分程度のショートミーティングを開くことも提案されています。二週間に一度くらい、報告とフィードバックの機会を設けるのです。確かに、職場によっては面談の機会が設けられていることがありますが、それはたいてい半期に一度程度。これでは頻度が少なすぎるんだとか。頻繁におこない、部下の望ましい行動、望ましくない行動に対して、すぐさまフィードバックを行える環境を整備することが、リーダーには求められているのです。
*** 成果をあげるために必要なこと、それはチームメンバーが「やらされる感」を持つのではなく、進んで「やりたい」と思うことだと言います。「Have to do」ではなく「Want to do」の状態に変えることが必要なのです。
信頼あるリーダーになりたくはありませんか? そのために必要なのは、ちょっとしたコツ。それを教えてくれる、貴重な本です。
(参考) 石田淳著(2015),『マンガでよくわかる 教える技術2 チームリーダー編』,かんき出版.