ライターという仕事を続けて早二年になりますが、気づいたことが一つあります。それは「インプットがなければアウトプットできない」ということです。非常に単純なことではありますが、私は今まで気づかないフリをしていたのかもしれません。

アウトプットをしたがる現代人

iPhoneやタブレット端末の普及、SNSやチャットアプリの発達により、文章を書き、発信することのハードルは下がりました。さらに、You Tubeなど動画をどこでも見ることができる環境が整い、TED TALKS、Appleの新商品発表プレゼンなど、質の高いプレゼン・スピーチにも簡単に触れられるようになりました。

ひと昔前まではブロガー自体珍しかったし、動画コンテンツ市場なんて存在しませんでした。もちろん、芸能人レベルに有名なYou Tuberはいませんでした。ところが今はどうでしょう。個人ブロガーも動画投稿者も山ほどいます。そう、今や一般人が全世界に向けて、アウトプットを簡単に行える時代になったのです。

そのせいか、最近ではアウトプット(=ライティング、プレゼン、スピーチ)のノウハウやテクニックが、動画、ブログ、SNSといったメディアを問わず、山のように紹介されています。さらに、従来のような読解や訳出ではなく、ディベートやコミュニケーションを重視する教育界の風潮も相まって、「アウトプット(=ライティングやプレゼン)のスキルこそが誰もが獲得すべきものだ」という雰囲気を感じます。

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インプットがなければアウトプットできない

もちろん、これまでStudy Hackerでもアウトプットの大切さは繰り返し伝えてきました。脳科学的にも人間はアウトプット無しには記憶が強化されないことが明らかになっていますし、他人に説明できなければ、理解したとはいえないでしょう。

人がアウトプットの技術を求めるのは当然ですし、私もその一人でした。以前から文章を書くことに自信のあった私は、進んでライターを始めました。しかし、その中でわかったことがあります。それは「アウトプットする能力=ライティングスキル」だけでは「良質なアウトプット=良い文章」は生まれないということです。

ライターを始めて一年くらいたったころの話です。いつも論文や書籍を参考に執筆していたのですが、ふと自分の書く文章が、小綺麗に飾り立てられた、中身の無いものに見えてきました。もちろん、参考にする研究や科学的知見は素晴らしいものでしたが、自分の記事はそれを綺麗に盛り付けただけ。
決して食べ応えがあるわけでも、栄養価が高いわけでもない。自分でふと、そう感じたのです。

それは一体なぜか。私なりに考えた結果、一つの結論に至りました。それは、「これまで記事で参考にした知識は、インプットした、とはいえ他人の借り物に過ぎない」ということ。自分で考えたもの、見つけたもの、行動したものではなかったのです。「自分の体験というインプットこそが、良質なアウトプットを生む」ということに気付かされたのです。

いくら殺傷能力の高いピストルを持っていても、装填するのがポップコーンでは意味がありません。私は、アウトプットスキルを求めライターを2年間続けた結果、自分自身の体験、つまりインプットの重要性に気づかされたのでした。

当たり前のこと。自分の経験でなければ語れない。

もちろん全ての知識を自分で発見、体験できるはずもありません。しかし、自分の勉強や仕事の中に関連性を見出し、それを役立てようと試みることはできるはずです。そのためには知識を表面的に理解するだけでなく、どう利用するか、自分の場合との差異は何か、など深く考えねばなりません。知識を自分の生活に引き寄せることで、深い理解が可能になるのです。

現実の世界の話に少し近づけてみましょう。たとえば新プロジェクトを会社の役員にプレゼンする時。あなたはそのプロジェクト内容を誰よりも理解する必要があります。自分が担当し進める時の状況を想像し、どのように運営するか、とことん考えねばなりません。さらに、関係者に聞き取りを行ったり、街に出て調査することも必要でしょう。
ただ単に本や過去の事例という机上から生み出すのではなく、少しでも自分の体験としてのインプットがなければ、良質なアウトプットは生まれないのです。

そのことに気づいてから、私はライターとしての意識を改めました。「日常生活で困ったことはないか」「解決したい問題点はないか」。このような問題意識をもって自分の生活を見直すようになったと感じます。また、書籍や論文をただ読むだけでなく、そこから得た知識を日常生活に生かすことはできないか、それを考えるようになりました。

この結果、自分のアウトプット=記事が改善されただけではありません。毎日の生活が、非常に価値あるものに変化したのです。小さな発見や気づきの数が増え、こうしたら改善できるんじゃないか、と考えるようになったのです。「自分で体験したことしか、自分では語れない」。その事実に気づくだけで、日々の質がグッと高まるのです。

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でも、やっぱりアウトプットも忘れずに。

しかし、こう考えてみると、インプットの大切さに気づけたのも、ひたすらにアウトプットを重ねたからでした。様々な記事を書き、たくさんのフィードバックをもらう内に、記事の内容について考えるようになったのです。

インプットとアウトプットは、独立するものでも、一方通行のものでもありません。互いが互いに影響を及ぼし、双方向性を持ちます。どちらが欠けても、質は下がってしまうでしょう。「自分が経験したことした説得力を持って語れない」っというのは、何もライター業だけではなく、就職活動でも言えることではないでしょうか。
冒頭でも紹介した通り、現在ではアウトプットの機会が豊富に用意されています。ブログを始めるのでも、You Tubeチャンネルを開設するのでも、ライフログをつけるのでも構いません。インプットを意識しながらのアウトプットの訓練を、ぜひ一度チャレンジしてみてくださいね。