「忘れ物をして家に戻ったのに何のために帰ってきたかわからなくなる」 「単語テストのとき単語をド忘れしてしまう」
そんな経験、みなさんにはありませんか? 今回は、そんなド忘れを防ぐ方法をお伝えしていきます。
失われた記憶をよみがえらせるには?
水迷路の実験を知っていますか? エジンバラ大学の認知神経学者、モリス博士が編み出した、ネズミ用の記憶試験法です。 一ヵ所を浅瀬にしたプールにネズミを放ち、それを何回か繰り返して浅瀬の場所を覚えさせます。 さらにモリス博士は、訓練させたネズミの海馬を破壊し、浅瀬を思い出せなくしました。 しかし驚くべきことに、記憶を失ったネズミは、新たに別の水迷路の訓練をすることによって、失われた記憶を取り戻したのです。 つまり、新しい情報入力を引き金に、失われていた記憶がよみがえったということです。
ぴったりの「プライミング」を見つけよう
記憶を呼び覚ます引き金のことを、博士は「プライミング」と呼んでいます。 私たちが「ド忘れ」してしまったことも、その多くはプライミングによって呼び出すことができます。 いったい何がプライミングとなるのでしょうか。
池谷裕二『脳はなにかと言い訳する』では、
一般的に「ド忘れする前と似た状況を作る」ことが最適なプライミングであるとされている。
とあります。
例えば、何か忘れ物をして隣の部屋に来たものの、何がほしかったのかド忘れしてしまったとき、その場で考え込むのではなく、元の場所に戻ってみるのが思い出す確率が高いということ。
記憶に残りやすい情報とは
今度は、記憶の引き出しから取り出しやすい情報を考えてみます。 思い出しやすいのは、人の顔、風景、音楽、においなどが挙げられます。 つまり、五感に残る場合が覚えやすいといえるのです。
逆に、筋の羅列、英単語のスペル、漢字といった二次元的な情報は、脳にとって区別がつきにくく忘れやすい傾向にあります。
また、変わった読み方をする名詞や、数字の語呂などは印象に残りやすいものです。 そのため、語呂合わせ暗記法というのはとても効率的ですね。 長い間放置してしまった記憶は取り出しづらくなるので、ちょこちょこ読み返したり思い出したりしておくとよいでしょう。
いかがでしたか?記憶の引き出しをうまく活用していってくださいね。
参考 池谷裕二『脳はなにかと言い訳する 人は幸せになるようにできていた!?』 R25 「ド忘れ」を防ぐ3つのポイント

