字で埋め尽くされたスライドに、だらだらと読まれる原稿……。おそらく多くの人がこのようなプレゼンに遭遇したことがあるでしょう。一方で、心をぐっと惹きつけられ、終わった後もずっと頭に残っているようなプレゼンもありますよね。この違いを作るのは一体何なんでしょうか? そして私たちが、良いプレゼンテーションを行うにはどうしたら良いのでしょうか?
良いプレゼンを行う方法は、ネットや書籍を見渡せば様々な方法が公開されています。プレゼンを学ぶスクールもあるほど。そうしたものからプレゼンテクニックを得ることはもちろん重要なのですが、その前に、心構えとして基礎の基礎を身に着けておくことも大切です。
今回は、人を惹きつけるプレゼンを行うために、誰もが知っておくべきプレゼンの基礎の基礎を紹介していきます。あなたのプレゼンは、この基礎をクリアできているでしょうか?
準備編1 テーマを明確にし、聞き手の状態を把握する
まず、あなたが聴き手に何を伝えたいのか、聴き手は何を知りたいのかを明確にしましょう。自分が知っていることをなんでも詰め込めばよいのではありません。最初に、自分が伝えたいことを一行で表現します。これが主題です。補足説明や背景説明に入っても、要所要所でこの主題に立ち戻ってくるのがおすすめ。
さらに、プレゼンの前に聴き手のレベルを把握しておきましょう。皆さんは、次のような経験はありませんか?
次々に連発される専門用語。頑張ってついていこうとするが、あまりにも数が多くて、結局どの専門用語が何を表しているかごっちゃになったままプレゼンは終了……。 あるいは、次々出てくる情報は知っているものばかり。知らない情報が出てくることを期待しながら聞くが、結局何も得られないままプレゼンは終了……。
このような後味の悪いプレゼンにならないよう、聴き手のレベルを事前に調査することも大事なのです。
可能ならば、聴き手が身近に感じられるような具体例や逸話も準備すること。身近な話題は人々の印象に残りやすく、興味を持たれやすいので、聴き手の心を惹きつけるのにもってこいの手法です。
プレゼンの事前準備に関しては、STUDY HACKERのこちらのコラムでもポイントを詳しく解説しています。 「あなたのプレゼンが退屈なのは努力不足だから! 人を惹きつけるプレゼンとは」
準備編2 効果的なスライドの作り方
プレゼンでキーとなってくるのがスライド。気を抜かずに作り上げましょう。スライドは「見せるもの」であって「読ませるもの」ではありません。シンプルで要点を押さえたものを心がけましょう。
まず、文字のサイズはだいたい30ポイントがおすすめ。見た瞬間に内容が分かるように、文章ではなく箇条書きにすると有効です。話の流れがわかりづらくなりそうなら、矢印を使うのも一つの手。重要なところは字の大きさや色を変えてみましょう。
最初のスライドではプレゼンの流れや全体像を示すこと。最初の段階で主題を明確にするのが目的です。こうしておけば、聴き手に「この人は何を伝えたいんだろう?」という疑問持たせることなくプレゼンを進めることができます。最後のスライドでは、全体の流れを確認した上でまとめを行いましょう。このようにスライドづくりにも気を配ることで、聴き手は頭の中が整理することができ、プレゼンの内容を覚えやすくなります。
相手にインパクトを与える手段として、表や写真も効果的に使いましょう。言葉では説明しづらいことも表や写真を使うことで聴き手に的確に伝えることができます。ただし、単に見せるだけでは意味がありません。その表や写真の特徴を言葉で補足することを忘れずに。
効果的なスライド作成テクニックを紹介しているコラムも参考にしてみてください。 「美しいプレゼン資料はこうやって作る! 超簡単スライドテクニック「三分割法」とは。」
実践編 大切なのは話し方と表情
プレゼンの壇上に立ったら、堂々と、ハキハキと話しましょう。おどおどしていては、声が通りにくく、人を惹きつけられません。特に、入りは重要。きちっと主題が伝わるように心がけてください。声の抑揚に気をつけて、重要なところは少しゆっくりと話しましょう。
プレゼンで大切な話し方は、大きな声で、ゆっくりと、丁寧に発音すること。こちらのコラムで詳しく解説しています。 「会議もプレゼンも「声」が4割! 説得力を手に入れる『伝わる声』の作り方」
また、笑顔を忘れない、というのもポイントです。怖い顔をした人の話は、気持ちよく聞いていられないですよね。深呼吸をしてリラックス。緊張してこわばった顔は、聴き手に見透かされてしまいます。
最後に、アイコンタクトを忘れずに。言葉だけでなく、目でも人に語りかけてみましょう。
*** プレゼンテクニックの基礎の基礎として、ご紹介してきました。プレゼンを行う際には常にこの基礎に立ち返ってみてください。きっと良いプレゼンを実現する手助けとなるはずです。
(参考) 松野弘(2010), 『大学生のための知的勉強術』,講談社. Harvard Buisiness Review | How to Give a Killer Presentation SKILS YOU NEED | Top Tips for Effective Presentations