あなたは暗記するとき、音読する派ですか?それとも黙読する派ですか?実は、音読と黙読は暗記の目的・暗記の内容によって使い分けるべきなんです。以下でその根拠となる実験をもとにご紹介します。
黙読と音読の効果
福岡教育大学・森敏昭教授の「文章記憶に及ぼす黙読と音読の効果Effects of Silent Reading and Vocal Reading upon Memory for Prose」という論文で両者における文章の記憶の違いについて述べられています。 大学生を被験者とし、文章を黙読or音読した後、その文章をどれだけ記憶しているかなどの実験がなされました。
音読することは、文章を逐語的に記憶する場合には有効であるが、その効果は一時的であることがわかった。これに対し、黙読することは、文章を逐語的に記憶するというよりも文章の内容を体制化して記憶する場合に有効であり、その結果は音読の場合よりも永続的であることがわかった。
つまり、 ・音読=短期記憶、黙読=長期記憶 ・音読=逐語的記憶、黙読=内容の記憶 に適しているということです!
音読で暗記すべき場面
・短期記憶に生かす ex.)本番直前の総チェック ・逐語的記憶に生かす ex.)用語、英単語などの暗記
黙読で暗記すべき場面
・長期記憶に生かす ex.)普段の勉強に ・内容の記憶に生かす ex.)資料の全容把握、数学の解法の暗記など
結局長期記憶には反復が大事
上で述べた場面は私が勝手に考えたものなので参考程度に。ここまで散々「音読=短期記憶、黙読=長期記憶」と言ってきましたが、それが絶対なんてことはありません。もちろん、音読で学習しても何度も繰り返したら長期記憶になりますし、黙読をしたからといって一回で全部覚えられるわけではありません。なので、私はどちらかといえば「逐語的記憶」「内容の記憶」の違いだけを考えて黙読・音読を使い分けたらよいと思います。「逐語的記憶」を定着させたいときは音読で、「内容の記憶」を定着させたいときは黙読で、それぞれ「反復して」学習していきましょう。
音読派の方も黙読派の方も暗記の目的・内容によって音読・黙読を使い分けてみてはいかがですか?
(参考) 森敏昭(1980),「文章記憶に及ぼす黙読と音読の効果Effects of Silent Reading and Vocal Reading upon Memory for Prose」,教育心理学研究 28(1), 57-61, 1980-03-30

