勉強を効率よく行うためには、知っておくべきルールが存在します。例えば、「インプットよりもアウトプットのほうが大切である」「集中できる時間には限りがある」「復習するタイミングが大切」といったルールをご存じの方は多いでしょう。
そして、これらのルールを実践するうえで押さえておきたいのが、「3:7」「25:5」「1:5」という“黄金比率”。今回は、勉強の効率を最大限に高める3つの黄金率を紹介します。
1. インプットとアウトプットは「3:7」を意識せよ
勉強には、大まかに分けて2つの種類があります。1つが、読書や暗記、講義を受けるなどの「インプット型」の勉強。そしてもう1つが、知識を人に紹介したり、読書内容をレポートにまとめたり、問題集を解いたりするなどの「アウトプット型」の勉強です。
私たちは、本を読んだり、講義を聞いたりするインプット型の勉強だけでは、学んだ内容を記憶できないと言われています。というのも、脳はインプットした情報のうち「使う情報」のみを記憶としてとどめる性質があるからです。しっかり記憶するためには、話したり書いたりして「情報を使う=アウトプットする」ことが必要。勉強はインプットとアウトプットの両方を行うべきなのです。
では、インプット型とアウトプット型の勉強を、具体的にどれくらいの割合で行えばよいのでしょうか?
ここで押さえておきたい比率は「3:7」です。脳科学にも詳しい精神科医の樺沢紫苑(かばさわ・しおん)先生は、以前StudyHackerが行ったインタビューの中で次のように解説していました。
「インプットが3に対してアウトプットが7」。これが記憶をもっとも効率化する比率。
(引用元:Study Hacker|インプットとアウトプットには黄金比あり! 脳科学で「勉強」「記憶」の効率を劇的に上げる。)
例えば、文章の書き方について3時間読書したら、7時間はブログを書いてみるといった形にすればよいのです。インプットよりもアウトプットに重きを置くのがポイント。単純ですが、時間で比を作るのが簡単なので、試してみてはいかがでしょう。
2. 勉強時間と休憩時間は「25分:5分」がちょうどいい
私たちは、集中して勉強すれば効率を上げることができます。参考書を読む場合を例にとりましょう。ゲームをしながらだらだら1日かけて読むよりも、2~3時間集中して読むほうが、断然内容を理解できますよね。
しかし、みなさんもご存じの通り、私たちが集中できる時間には限界があります。ですから、最高の効率で勉強するには定期的に休憩をはさむ必要があるのです。集中力が切れてしまった状態で勉強を続けても、効率が下がってしまうだけですから。
では、集中力を維持し続けるには、どのくらいのペースで休憩をはさめばよいのでしょうか?
ここで押さえておくべき比率は「25:5」です。「25分集中したら5分休憩する」というサイクルを繰り返しましょう。この方法は「ポモドーロテクニック」と呼ばれるもの。生産性を高めるための時間管理術として、勉強で成果を挙げている人たちやデキるビジネスパーソンの中ではよく知られるルールです。
「25分勉強+5分休憩」を1ポモドーロとし、4ポモドーロ(2時間)こなしたところで30分長めの休憩を取ります。大切なのは、25分で1つのタスクを終了させるように努力すること。こうすると、より集中力を保ちやすくなりますよ。大きいタスクに挑んでいる場合は、やるべきことを細かく明確に区切り、25分で1つのタスクを終えられるように工夫してみてください。
【例】ゼミで発表するためのプレゼン資料を作成する
⇒次のようにタスクを細分化:
- 全体の流れを箇条書きにする
- 本論部分のスライドの簡単な絵を描く
- 本論部分のスライドを2枚作成する
もちろん、25分で1つのタスクを終わらせられない場合もありますよね。そのような場合は、引き続き作業を続けるのではなく、一度作業を止めて休憩してください。そして、5分休憩したら作業を再開すればよいでしょう。
3. 復習のタイミングは「1:5」がポイント
勉強した内容は、復習することなく記憶に定着させることはできません。「一週間前の朝食の内容を思い出せ」と言われても容易には思い出せないように、私たちの記憶は、放っておけば時間がたつうちに薄れていってしまうもの。記憶を忘れないようにするには、何度も復習をする必要があるのです。
実は、復習のタイミングを考えることで、より効率的に記憶を保つことができるようになります。ここで押さえておきたい比率が「1:5」です。
これは、「勉強してから復習するまでの期間 対 復習してから試験までの期間」を表したもの。カリフォルニア大学サンディエゴ校のNicholas J. Cepedaらによる研究から導き出されました。
例えば、勉強した日から7日後が試験日だとしましょう。この場合、「勉強してから復習するまでの期間 対 復習してから試験までの期間」が1:5になるようにするには、「7÷6=1.333333≒1~2日」という計算により、勉強した翌日か翌々日に復習すれば記憶が一番定着しやすくなるというわけです。
(図は筆者にて作成)
ただし、たった2回の学習で記憶できる知識の量は多くありません。そのため、1回復習した後も何度か復習を繰り返す必要があるでしょう。その場合は1回目の復習日は「1:5の法則」にのっとり、あとは均等な間隔で復習するとよいですよ。
(同上)
実際に何回復習すべきかは悩むところですが、小テストで合計5回正答できることが記憶に定着した目安になるのだそう。復習でアウトプットを繰り返し、学んだことを確実に記憶に残しましょう。
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今回は効率よく勉強するためにポイントとなる3つの比について紹介しました。
再度簡単にまとめると、
- インプット : アウトプット = 3:7
- 集中 : 休憩 = 25:5
- 勉強~復習 : 復習~試験 = 1:5
です。
ぜひ試してみてくださいね。
(参考)
Study Hacker|インプットとアウトプットには黄金比あり! 脳科学で「勉強」「記憶」の効率を劇的に上げる。
リクナビNEXTジャーナル|生産性がグングン上がる!「ポモドーロ・テクニック」って知ってる?
竹内龍人(2014), 『実験心理学が見つけた 超効率的勉強法: ~復習はすぐやるな! 思い込みで点数アップ!~』, 誠文堂新光社.
Cepeda N.J., Vul E., Rohrer D., Wixted J.T., Pashler H. (2008), “Spacing effects in learning: a temporal ridgeline of optimal retention,” Psychological Science, Vol. 19, No.11, pp.1095-1102.