“ぼんやり思考” の解像度を爆上げする「T字型思考法」がすごい。

漠然としたイメージやアイデアは持っているものの、はっきりとした形にならない。考えが、まるで雲のように頭の中に浮かんでいるばかりで、上手に言語化できない。そうお悩みの方はいませんか?

『「言葉にできる」は武器になる。』を著書に持つ、株式会社電通のコピーライターの梅田悟司氏は、「『言葉にできない』ことは、『考えていない』のと同じである」と断言しています。逆にいえば、自らの思考をしっかりと言語化できることは、すなわち、他人に説明したり伝えたりするスキルの礎を持っているということ。仕事をこなしていくうえでは絶対に欠かせないものですよね。

そこで今回は、あなたの頭の中にある “つかみどころのない思考” の解像度を上げ、言葉に落とし込むための方法をご紹介します。何事も「型が大事」と言われますが、思考を広げたり深めたりするうえでも、型が存在するようです。

その考え、紙に書き表せますか?

前出の梅田氏は『「言葉にできる」は武器になる。』の中で、思考の解像度を上げるうえで「全ては書き出すことから始まる」と書いています。冒頭で述べた、「アイデアが形にならない」「上手に言語化できない」といった悩みに陥ってしまう理由として梅田氏が指摘するのは、次の3点です。

1. 頭がいっぱいになったことで、「よく考えた」と誤解してしまう 2. 思考が進んでいくと、最初に考えていたことを忘れてしまう 3. 断片的で脈絡もなく、考え散らかしていることに気づいていない

これら全てが、「書き出してみる」という行為で一気に解決するのだといいます。

頭の中のあらゆる考えを外に出し、形を与えることで、どれだけ自分が考えているかを把握することができるようになる。一度考えたことを記憶しておく必要もなくなり、「せっかく考えたのに忘れてしまった」といったこともなくなる。さらに、頭の中を客観的に見渡すことができるようになるため、自分の考えがいかに一貫性がなく断片的であるかにも気付くことができる。頭に浮かぶ内なる言葉に注意を払い紙へと書き出すだけで、1~3の全ての原因が解決してしまうのだ。

(引用元:梅田悟司 (2016),『「言葉にできる」は武器になる。』, 日本経済新聞出版社. ※太字は筆者が施した)

このとき、書き出す言葉は、単語でも箇条書きでも文章でも何でもかまわないのだそう。無理に文章にしようとすると、うまく書こうとしたり論理的に考えようと身構えたりして逆に書き出しづらくなるため、特に最初のうちは、頭の中の言葉が消えてしまう前にとにかく書き留めるのがよいとのこと。

具体的に、「自分がこれからどのように生きていきたいか」を例に、書き出されるであろう内なる言葉を以下に挙げてみよう。 「自分がこれからどのように生きていきたいか」「自分の好きなことを続けていく」「趣味と仕事を両立する」「仕事で成功する」「成功ってなんだ?」「人の役に立つ仕事をする」「でも、世の中をあっと言わせたい」(中略)ここで挙げただけでも、30を超えている。このように、前後に脈絡がなくても、本題から少しズレていたとしても、頭に浮かんだことをとにかく書き出すことが重要である。

(引用元:同上)

「T字型思考法」で、考えを広げて深めていく

紙に書き出したら終わり、というわけではありません。梅田氏はその次にやるべきステップとして「T字型思考法」を紹介しています。紙に書き出した1つの言葉を起点に、「なぜ?」「それで?」「本当に?」のキーワードに、言葉を3方向へ拡張していくのです。

この「なぜ?」「それで?」「本当に?」の3つの言葉には、それぞれ違った方向に思考を進めさせる役割がある。「なぜ?」は考えを掘り下げる、「それで?」は考えを進める、「本当に?」は考えを戻すことである。

(引用元:同上)

例えば、漠然と「年収1,000万円を実現したい」と思っていた場合。T字型思考法を使うと以下のようになります。

なぜ:「なぜ年収1,000万円を実現したいのか?」 (→ 裕福な生活をしたいから? 老後の資産を早いうちに蓄えてアーリーリタイアをしたいから? 憧れの外車が欲しいから? ライバルのあの人に勝ちたいから? ……)

それで:「1,000万円稼くとどうなるのか?」 (→ 裕福な生活はできるのか……? 周囲から一目置かれる? 税金が大変そう……? ……)

本当に:「本当に1,000万円稼ぐ必要はあるのか?」 (→ そういえば今でも不自由なく暮らしているし……。 仕事バリバリよりも家族との時間を優先したほうが人生豊かになるかも? ……)

思考の展開のされ方は人それぞれでしょうが、一度試してみていただくと、当初は考えていなかったような自分の “本当の思い” がひょっこりと現れることが実感できると思います。

「ゴールデン・サークル」を活用する

飛行機を開発したライト兄弟や、Apple創業者のスティーブ・ジョブズ氏など、革新的な発明を行なった人物には特定の思考パターンがある——アメリカでコンサルティング業を営むサイモン・シネック氏はそう語ります。

一般の人は、なにかを始める際、WHAT(何?)→ HOW(どうやって?)→ WHY(なぜ?)という順序で物事を考えがちです。特にWHYの部分を考える人はあまり多くないはず。しかし、ライト兄弟やジョブズ氏のような人物は、WHY → HOW → WHATと、WHYを最優先に考えるのだそう。「なぜ、人々はそれを欲するのか?」「なぜ、この機械は使いづらいのか?」そのような考えが根づいているからこそ、ジョブズ氏が創業したAppleは斬新な製品を開発できてきた、ともシネック氏は語っています。

そんなシネック氏が提唱するのが、「ゴールデン・サークル」という図式。人間の脳は外側から、計画などを司る「大脳新皮質」、感情を司る「辺縁系」、記憶や想像を司る「脳幹」の三重構造になっています。ゴールデン・サークルは、脳の断面図を図式化したものなのだそう。

具体的には、三重の円を描き、最も内側の円に「WHY」、真ん中に「HOW」、外側に「WHAT」を書き出していくだけ。「なぜ?」(なぜ、私はこの事業を始めたいのだろう?)→ 「どうやって?」(どうやって事業を始めればいいのだろう?)→「なに?」(何をすれば成功するのかな?)この順番で思考を深めていけば、シネック氏が最重要とも述べる、物事の本質である「なぜ?」の部分が失われずに済むのです。それが同時に、私たちの心の奥底にある “本当の思い” を掘り起こしてくれることにもつながるでしょう。

*** 考えるのが苦手な人は、その「型」を知らないからに過ぎません。今回ご紹介した2つの型を活用して、思考の解像度を上げていってください。

(参考) 梅田悟司 (2016),『「言葉にできる」は武器になる。』, 日本経済新聞出版社. logmiBiz|アップルが成功した理由は「なぜ」を示したから - サイモン・シネック氏が語る、まず“ビジョン”を考えることの重要性 TED|優れたリーダーはどうやって行動を促すか

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