東京大学に入学すると、たくさんの本や資料がもらえます。 その中には、「東大教師がすすめる本」というブックガイドのページがあります。
その多くが、教授をはじめとする、教師の方々の専門分野に関する書籍なのですが、どれも興味深く読むことができるもの揃いです。今回はそれらをご紹介したいと思います。
古典・名作文学
『吾輩は猫である』
(夏目漱石、岩波文庫)
夏目漱石による、言わずと知れた名作ですね。 もはや何も言うことはないでしょう。
読んだことがない人は、これを機に、ぜひ読んでみてください!
『ホメロス イリアス 上下』
(松平千秋訳、岩波文庫) 古代ギリシャの詩人・ホメロスによる、長編叙事詩です。 世界史では、文化史で覚えた方も多いかもしれません。
面白いのは、この本を紹介している足助太郎先生が、理学部数理科学科の准教授だということ。 理系の皆さんも、教養をつける意味でも、ぜひ読んでみてください。
『ソクラテスの弁明 関西弁訳』
(北口裕康訳、パルコ) 『ソクラテスの弁明』自体は、プラトンによる古典の名作ですが、この本は、なんと関西弁で訳されているというのが、非常に面白い点です。 「訳書ってなんだかなじめない……」という人にも、オススメできる一冊です。
大学入学後に役立つ本
『論文の書き方』
(澤田昭夫、講談社学術文庫)
この本は特に高校生にお勧めしたいものです。大学生では、レポートや論文を書く機会が数多くあります。結論を先に述べ、次に論拠を述べるという書き方は、自由英作文や地歴の論述、そして数学にも役に立ちます。
ちなみに、個人的には、『新版 論文の教室―レポートから卒論まで』(戸田山和久、NHK出版)という本も、アカデミックな書き方を学ぶのに大変役立ちました。
『脳のなかの幽霊』
(V・S・ラマチャンドラン / サンドラ・ブレイクスリー、山下篤子訳、角川文庫) 筆者が東大で受けた英語の授業では、著者V・S・ラマチャンドランに関するストーリーが題材にされたことがあります。 そのくらい、脳科学の分野では有名な一冊です。
手足を切断した人が、手足がまだあるように感じる「幻肢」についてなど、非常に興味深い内容です。 理系・文系問わず楽しめる一冊です。
『リンカーン演説集』
(高木八尺・斎藤光訳、岩波文庫) 「人民の、人民による……」で有名なリンカーンの演説がまとめられています。 文庫なので、気軽に読むことができます。
リンカーンの、「人民の……」以外の演説を知っている人って、何だかすごく教養があるように思いませんか?
*** いかがでしょうか。 「読書の秋」もそろそろ「追い込みの冬」に変わりつつありますが、時間に余裕のある時に、パラパラとでも目を通してみるのはいかがでしょうか。

