「動いてくれて当たり前」は危険。人を全然動かせない人には “配慮” が圧倒的に欠けている。

仕事は個人戦ではなくチーム戦です。人を上手に動かしチームとして成果をあげられる人と、人を動かすのが下手で成果をあげられない人には、どんな違いがあるのでしょうか。調べてみると、「人を動かせない人」には3つの致命的な特徴があることがわかりました。

【1】「相手がどうしたら動きやすいか」の配慮が微妙に欠けている

「自分はきちんとお願いをした。動いてくれないのは相手が悪いんだ」
そう決めつける前に、自分のお願いの仕方が本当に適切だったのかと再考してみるべきです。特に「動いてくれて当たり前だ」と思いがちな人は要注意。“配慮” や “優しさ” は足りていたでしょうか?

インテル株式会社(日本法人)の元執行役員で『部下が自分で考えて動き出す 上司のすごいひと言』(かんき出版、2017年)などの著書を持つ板越正彦氏は、「どうして誰も動いてくれないの……?」と悩みがちなリーダーに対し、いつも同じアドバイスをしているそう。

(中略)でもそういう人に私は言うんです、「誰でもやってくれるって思うのはおかしいよ」って。「“何があったらやりやすい?” とか “自分がどうサポートしたらやってくれる?” とか、個別に1on1で話したり、目的を共有したりしないと、どんなに頼んでも反応はないよ」って。

(引用元:StudyHacker|MBAよりも大切な “コーチング” の極意とは? 『上司のすごいひと言』著者 板越正彦氏 特別インタビュー

動かないチームメンバーは、本当は行動しなければいけないと思っているはず。しかし「何から手をつけていいのかわからない」「どう動いていいのかわからない」といった迷いから動けなくなっている場合があるのです。

もちろん、メンバーを成長させるために “あえて突き放す” という選択肢もないわけではありませんが……業務に支障をきたすほどに遅々として進んでいない様子でしたら、相手が動きやすいように少しくらいは配慮の姿勢を見せてあげましょう。

例えば、アイデア出しを頼んだのに一向に提出してくれない場合。最初の1つや2つぐらいは一緒に考えてあげたり、アイデア出しが捗るフレームワークを紹介してあげたり、自分がイメージするアイデアの具体的な方向性を教えてあげたりと、相手にあった配慮の方法はいろいろあるはず。相手が行動の第一歩を踏み出しやすいように、寄り添ってあげる配慮が必要なのです。

配慮が欠けている人-01

【2】「自分は重要な存在なんだ」と感じてもらえていない

デール・カーネギーが著した世界的名著『人を動かす』。コミュニケーション総合研究所代表理事の松橋良紀氏は、『人を動かす』に書かれている数々のコミュニケーションのコツの中からたったひとつだけ選ぶとしたら、「人に動いてほしかったら、相手に重要感を与えなさい」という言葉を選ぶのだそう。

この言葉は、まさに真理を突いています。なぜなら、多くの人が欲しがっているのは、「あなたは重要な人です」というメッセージだからです。

(引用元:リクナビNEXTジャーナル|「人を動かす」のが苦手な人こそ試すべき“特効薬”とは?

皆さんのなかにも「これは君にしか頼めない案件なんだ」「君以外の人には任せられないんだ」などと言われたことでモチベーションがみなぎってきた、という経験をお持ちの方がいるのではないでしょうか。すべての人は、「自分は重要な存在だ」と感じたがっています。他者から認めてもらったことで芽生える自尊心は、行動力の源となるのです。

メンバーに重要感を感じさせるにはどうすればいいのでしょうか。“人間関係のエキスパート” として知られる心理カウンセラー、レス・ギブリン氏は、著書『「人を動かす」ために本当に大切なこと』のなかで「話を聴くことは、相手に重要感を持たせるための最善の方法である」と述べています。

相手の話に耳を傾けると、相手が重要な存在だから話を聴いているのだと知らせることができる。相手に敬意を示し、意見を尊重していることを知らせているのだ。 当然、これは相手を喜ばせるから、相手の自尊心を高める。相手はあなたを高く評価し、あなたの言うことをよく聞く。 たいていの場合、あなたが相手の話を聴いているだけで、相手はあなたに好意を抱く。逆に、相手の話を聴かないなら、相手は大切に扱ってもらっていないと感じる。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|「重要感」を持たせると、人は喜んで動いてくれる ※太字は編集部が施した)

いつも「指示を出したり頼み事をしたりするタイミングでしか会話していない(加えて、いつも一方通行でしか話していない)」のであれば、もう一歩だけ相手に歩み寄り、日頃から双方向のコミュニケーションを意識してみてはいかがでしょうか

「最近の仕事の調子はどう?」「何か行き詰まっていることはない?」などと聞いてみると、意外と「実は……」などと話し始めてくれるかもしれませんよ。熱心に耳を傾けてあげれば、あなたに対する信頼感が増していき、ゆくゆくはあなたのために “しっかり動いてくれる人材” になってくれることでしょう。

配慮が欠けている人-02

【3】相手のことを知らなさすぎる

グロービス経営大学院で教鞭を取る村尾佳子氏は、相手が動いてくれない原因として「“伝える力” に課題がある」と指摘しています。そして、伝える力を高めるための第1ステップとして「相手を知る」ことを挙げています。

何かを伝えようとするときには、当たり前ですが伝える相手がいます。まずは、その相手がどういう人なのかを理解することが大切です。

(引用元:東洋経済オンライン|人を動かす「伝え方」には、3つの鉄則があった

みなさんは、相手の性格や仕事のスタイルなどをきちんと把握できているでしょうか?

誰かにお願いしたい仕事が出てきたとしましょう。頼みたい相手が、まわりを巻き込めるタイプなのか引っ込み思案なのか、結果を重視するタイプなのかプロセスを大事にするタイプなのか、スピード重視なのかクオリティ重視なのかなどによって、アウトプットされた仕事の質や形は異なってきますよね。自分の意図通りに動いてもらうためには、相手の特徴を把握したうえで指示を出す必要があるのです。

例えば、クオリティを追求しすぎる人に迅速な対応をお願いしたい場合、スピード重視である旨を明確に伝えておかないと、仕事が遅延しかねません。逆に、いつもスピード重視でアウトプットが荒削りな人に、クオリティ重視の丁寧な仕事を依頼する場合、事前に伝えておかないと、差し戻しになる確率が格段に上がってしまいます。

万人がまったく同じ伝え方で同じように動いてくれると思うのは大間違い。相手によって伝え方を臨機応変に変える工夫が必要です。日頃から相手に関心を持ち、性格や特徴をつかもうと努力することが大切ですね。

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「人を動かす」のは仕事の基本です。部下をマネジメントする立場にいたり、将来は優秀な上司として活躍したいと考えていたりする人にとっては、身につけておかなければならない必須のスキルでもあります。「人を動かせる人」になるために、皆さんは明日からどんなアクションを取っていきますか?

(参考)
StudyHacker|MBAよりも大切な “コーチング” の極意とは? 『上司のすごいひと言』著者 板越正彦氏 特別インタビュー
リクナビNEXTジャーナル|「人を動かす」のが苦手な人こそ試すべき“特効薬”とは?
ダイヤモンド・オンライン|「重要感」を持たせると、人は喜んで動いてくれる
東洋経済オンライン|人を動かす「伝え方」には、3つの鉄則があった

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