「ワーキングメモリ」という言葉を知っていますか?
人間は同時に複数のことを考えられます。
今この記事を見ながら、友達とチャットをしている人。この記事を読んだからといって、友達の送信内容を忘れてしまうわけじゃありませんね。
これは脳が情報を一時的に保ちながら思考することが可能だから。「同時に複数の情報を保持し、処理する」その仕組みを「ワーキングメモリ」と呼んでいます。
今回は、学習の際にワーキングメモリーをどう意識するのが良いのか、詳しく見てみましょう。

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badge_Columns_100人は意外なほど覚えられない

「マジカルナンバー7(seven)」という言葉があります。これは人間のワーキングメモリの「容量」を表した言葉です。

つまり人間は「せいぜい七個くらいのことしか同時に考えることができない」ということ。
いくら努力してもこの容量の限界をこえることはできません。まずはこのことを意識するべし。

数値計算をしている時、英文や長めの文書を読んでいる時、メモを怠っていませんか?
「どうせすぐ読み直すから」「すぐに使うから忘れないだろう」
そうやってさぼると、結局またやり直すことになってしまいます。気になる単語や表現、数字が出てきたらすぐにメモ!

人間の記憶は意外にもキャパが無いものです。忘れそうなことは紙に覚えてもらいましょう。

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badge_Columns_100焦りは記憶を妨害する

「焦りやタイムプレッシャーがワーキングメモリの活動を妨害する。」

東洋経済ONLINEの記事の中で、ワーキングメモリ研究の権威であるトレーシー・アロウェイ博士はこう話しています。

一見締め切りが決まっていると作業効率が上昇しそうに思いますが、そんなことはありません。時間が無いことへの「焦り」は、合理的な判断を妨害するようです。

「あと15分でこの問題を終わらせよう」「今日中に問題集を10ページ終わらせよう」
目標を具体的に設定しているかに見えて、実は自分の首を締めているのかも。
「できるだけ合理的な判断ができるような時間的猶予を与えるべき」そう博士は話しています。

目標を設定するのであれば、「焦り」を脳に感じさせないような工夫が必要です。
例えば「いつまでに▲ページ」など量を軸にするのではなく、「今日はこの分野を◯時間やるぞ」など時間を軸にして目標設定を行う、「ゆっくりでもいいから単語テストの正答率が95%を超えるようにしよう」など課題に対する達成度を目標にする、など。

合理的学習のために、「ゆとり」をもった勉強をしてみましょう。

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badge_Columns_100集中しやすい環境をつくろう

大阪大学大学院人間科学研究科の苧阪満里子教授は、ワーキングメモリに関するテストを行い、点数の低かった被験者は、覚えなくてもいい対象に注意を向けられているなど「注意の向け方」「注意の移動」が苦手だったと報告しています。

これは、メモリの容量や質自体に問題があるのではなく、他のところに注意が向いてしまい、メモリの容量をムダにしてしまっているということ。

せっかく豊富なメモリを持っているのに、雑多な情報を取り込んでムダにしていないでしょうか。

今している勉強とは関係のないものが机においてあったり、スマホの通知がしょっちゅう目に入ったり。メモリの無駄遣いを誘発することが周りにありませんか?自分の注意がよそに向いてしまわないように、ぜひ勉強の環境をもう一度見直してみてください。

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心理学で「心のメモ帳」とも呼ばれるワーキングメモリ。
ちょっと意識するだけで、潜在能力が発揮されるかもしれません。

参考
チームの業績を引き上げる、2つの秘策とは?脳の「ワーキングメモリ」を活性化させよう|東洋経済ONLINE

Miller, G. A. (1956). The magical number seven, plus or minus two: Some limits on our capacity for processing information. Psychological Review, 63, 81-97

記憶の脳科学|マイナビニュース


東京大学理科二類所属。県立浦和高等学校および駿台予備校出身。小さいころから自然や生き物に関心を持ち、高校時代に読んだ福田伸一の「生物と無生物のあいだ」に刺激をうけ、分子生物学を志す。テニス歴6年。AKB48の大ファン。