スタンフォード大学教授が教える、「やればできる」のマインドがとても大切な理由。

みなさんはこれまで頑張って取り組んできたことが壁にぶち当たった時、「自分には才能がないからもう駄目だ、頑張っても無駄だ」と諦めてしまうことはありませんか?

「努力をすれば報われる」という言葉もありますが、頑張ったのに成果が出なかった経験が一度でもあると、「まだ自分にはやれることがあるはずだ、もっと努力を重ねよう」とはなかなか考えられませんよね。「結局のところ、やっても無駄だ」と思ってしまいがちです。

しかし近年、いくつかの研究により、「努力をすれば報われる」と考えることの有益性が明らかにされています。今回は、「やればできる」のマインドが意外にも大事な理由と、そのマインドを身に付けるための方法についてお伝えします。

「やっても無駄だ」という考えはネガティブスパイラルを招く

資格試験の勉強を頑張ったのに、不合格になってしまった。2回目の受験でも点が伸びず、またもや不合格……。このように失敗ばかりで困難な状況が続くと、「どうあがいてもうまくいかない」「頑張っても無駄なのではないか」という気分になりますよね。次第にやる気を失っていってしまうでしょう。

「頑張っても無駄だ」「自分の才能には問題がある」とくよくよと考えてはやる気を失ってしまうようなネガティブ思考のループのことを、心理学用語で「反芻」と言います。生前イェール大学の心理学教授を務めていたスーザン・ノーレン・ホークセマ氏が行った調査によれば、反芻傾向の強い人ほど抑うつ症状を示しやすかったのだそう。「努力なんて意味がない」という考えは、精神に悪影響を及ぼしかねない危険な考え方だと言えるのです。

「やればできる」のマインドはどうして大切なのか

そうは言っても、みなさんの中には、「『やればできる』と思っているだけでできるようになれば何も苦労しないだろう」と考える方もいらっしゃるでしょう。確かに、「やればできる」と思っていさえすれば良いという訳ではありません。「やればできる」のマインドが意外にも大切なのには、理由があります。

その理由について、スタンフォード大学心理学教授であるキャロル・S・ドゥエック氏は、次のように解説しています。「能力は生まれつきのものではなく、常に伸ばしていける」と考える人の方が、「能力は努力したって変わらない」と考える人よりも、自分の現状や過失等を正面から受け止めることができ、大きな成果を生み出すことがある、と。

ドゥエック氏はこのようにやればできるという考え方のことをgrowth mindset(=しなやかマインドセット)と呼び、著書『マインドセット「やればできる!」の研究』の中で次のように解説しているのだそう。

(1)マインドセットには、人間の能力は生まれつき固定されたものだと考える「硬直マインドセット」と、人間は成長しつづけられると考える「しなやかマインドセット」の2種類がある。 (2)マインドセットはその人自身や周囲、組織、人間関係から、ビジネスやスポーツなどの分野にいたるまで、あらゆる局面に影響力を与える。 (3)マインドセットがしなやかになると、何事にも臆さなくなり、自分の才能を最大限に生かせるようになる

(引用元:DIAMOND online|「人間は成長し続けられる」と考えることが、あらゆる成果の基礎になる)太字は筆者にて施した

また、「やればできる」と考えていれば、失敗をした時でもあまり自分を責めなくなりますよね。教育心理学者でテキサス大学准教授であるクリスティン・ネフ氏によれば、失敗時、自分を責めずに許せる人ほど現状認識も正確なのだとか。問題に対して正面から向き合えるので、自分の失敗の原因は何であるのかを正しく分析することができるというわけです。「やればできる」というマインドを持つことは、高い成果にもきっと繋がることでしょう。

「やればできる」のマインドを持つ方法

では、私たちはどうすれば「やればできる」のマインドを持つことができるのでしょうか。具体的な方法を2つご紹介します。

1. 伴走者となってくれる人を見つける

「やればできる」のマインドを持つには、周囲から励ましを得ることが効果的です。友人、同僚、家族など、周囲の人々からの応援が得られれば、自分だけでは諦めてしまいそうな時であっても「やればできる」と気を持ち直し、努力を続けることができるでしょう。ですから、自分に寄り添ってくれる人を身の回りで探してみてください頼れる人に、自分が頑張っていることについて話をするのもいいですね。

ドゥエック氏が「やればできる」のマインドの持ち主の好例として挙げているのが、バスケットボール界のスターであるマイケル・ジョーダン氏。今やバスケットボールの神様と呼ばれるジョーダン氏も、初めからスタープレイヤーという訳ではありませんでした。

あのマイケル・ジョーダンでさえ、高校のときにはチームに選ばれず、第一志望の大学へは行けなかった。そんなときジョーダンの母は息子に「練習して鍛えなおしなさい」と言い聞かせたという。ジョーダンは積極的に厳しい練習に励み、成功を収めた後でも練習を怠らなかった。まさにしなやかマインドセットの持ち主だといえる。

(引用元:同上)

良き伴走者である母親の言い聞かせを信じて「やればできる」のマインドを持ち続け、どの選手よりも練習を重ねた結果、ジョーダン氏は栄光を築き上げたのですね。

2. 謙虚な姿勢を持つ

ビジネスコンサルタントであり『ビジョナリー・カンパニー』の著者でもあるジム・コリンズ氏の調査によれば、長期に渡り好調な業績を維持している企業の指導者は、謙虚で控えめな人たちであったのだそう。この謙虚さこそが、「やればできる」のマインドに大切な要素

謙虚な姿勢でいる人は、自分の行動に改善できるところがなかったかを分析し、その上であぶり出された改善点を素直に受け止め、努力し続けることができますよね。謙虚だからこそ、努力を成果へとつなげることができるというわけです。「努力をしても無駄だ」と考える人に比べ、謙虚に改善策を模索する人のほうが、状況を好転させやすいのはもっともだと言えるでしょう。

例えば、営業の仕事でなかなか成果が出せない人がいたとしましょう。飛び込み営業はおろか、既存の取引先への営業においても新商品の売り込みとなるとことごとく失敗。そんな時、「営業の仕事は自分には向いていないのかも。どうせ頑張っても何も変わらないよな」と考える人は、その仕事を辞めてしまうか、続けるとしても投げやりな状態で続けることになりますよね。特に後者の場合、同僚や取引先にも良い影響を与えないはずです。

もちろん向いていないと感じる仕事を無理に続ける必要はありませんが、もし成果を出したいと考えているのであれば、謙虚な姿勢で自分に向き合う必要があります。そして、自分の行動に改善すべき点は無いかを冷静に分析するのです。直すべきなのは自分の身だしなみなのか、話し方なのか、それとも相手の話を聞く姿勢なのか……。改善点をいくつか見つけることができたら、そのポイントをひとつひとつクリアし、成果を出すべく努力を重ねるべきなのです。

*** 「自分なんて頑張っても無駄だ」と考えがちなみなさん、「やればできる」のマインドを持つことも決して悪くはありませんよ。お伝えした方法を実践すれば、逆境に強いマインドセットをきっと手に入れられるでしょう。

(参考) WIRED|憂鬱と「深い思考」の関係:研究結果 GetNavi web|脱・負の思考のスパイラル――ネガティブ思考でポジティブになる方法 GLOBIS知見録|『MINDSET 「やればできる!」の研究』——心をしなやかに保ち続けるために DIAMOND online|「人間は成長し続けられる」と考えることが、あらゆる成果の基礎になる logmi|「自信はすべての能力に勝る」 人生がうまくいかない時に読んでほしい、自信を育てる3つのコツ PRESIDENT Online|失敗を恐れなくなる「最強の感情」の効力

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