若くてエネルギーに満ちあふれていて、部活に、学校行事に、恋に。やりたいことなんていっぱいあるのに、どうして勉強しなきゃいけないのか。勉強は後回しにして、若いうちはめいっぱい遊びたい!

そんなあなたに、「若いうちだからこそ」勉強しなくちゃいけない理由を説明したいと思います!

badge_Columns_100「学習」=「神経細胞の活性化」だった

そもそも、「勉強してできるようになる」とはどんなことなのでしょう。脳科学の観点から考えてみましょう。「学習」というのは多くの生物に見られる現象です。有名な例としては条件反射の「パブロフの犬」や、生まれたばかりのヒナの「刷り込み」など。脳を持つ生物ならだいたいの生物が、学習したことを繰り返し行動することが可能です。

学習とは、シナプスが活性化することである……。
これが脳科学がだした答えです。脳の神経細胞はニューロンと呼ばれ、その間を電気信号が伝達されることによって、わたしたちはものを考えたり、体を動かしたりできます。ニューロンとニューロンの隙間を「シナプス」とよび、行動がスムーズに行われるかということは、この隙間をスムーズに信号が伝達されるかということで決まります。

何かを繰り返すと、その時に活性化するシナプスが数が増えたり、シナプスそのものが太くなったりします。すると電気信号がよりスムーズにシナプスを通過、一連の行動もスムーズに行われるようになるのです。これが、「学習」の仕組み。

例えば今、「イイクニ(1192)作ろう?」と言われたら瞬時に「鎌倉幕府」という単語がでてきますよね?でも習ったばかりの時は答えるのに時間がかかったはず。これは、「学習」が行われた良い例といえるでしょう。「イイクニ(1192)作ろう?」という電気信号が通ったら、その後「鎌倉幕府」と思いかべる神経回路があります。最初はシナプスの結合がそれほど強いものではないので思い浮かべるのには時間がかかりますが、繰り返し繰り返しその語呂合わせを聞くうちにシナプスが強化。瞬時に答えを出せるまでになるのです。

これが「学習」のメカニズム。

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「学習」が神経細胞・ニューロンの働きによるものだと理解していただいたところで、今度はその変化について説明しましょう。

ニューロンは生まれた時にはすでにその数が決定していて、なんと20歳をすぎると早くも減少が始まってしまうというのです。20歳の時には100~140億個あると言われていますが、計算上では一日に約10万個ずつ減ってしまい、80歳ではその約63%ほどしか残っていないそう。大学受験で必死に詰め込んだ知識も、社会に出ればズルズルと忘れてしまうということ。ちょっと悲しくなりますね。

さらにニューロンには「廃用萎縮」というおそろしいものが存在することがわかっています。これはいわば「学習」の逆の現象で、繰り返し使われることのないシナプスは弱体化していってしまうというものです。テスト期間に部活をしないでいると、テスト明けに調子がなかなか戻らない。そんな現象も脳科学的に説明可能なのですね。

でも、そんなに悪いことばかりでもありません。注目してほしいのが、「なかなか」元に戻らない、ということ。逆を言えば、しばらくやっていれば思い出す、完全に忘れてしまっているわけではないということです。一度形成されたシナプスによる回路は、弱くなるだけで、完全に消滅するわけではないのです。

これは若いうちに身につけたものに顕著だということが言われています。もちろん、それはニューロンが豊富だから。そもそものニューロンの絶対数が減少してしまった後に学習をしようとしても、新たな回路ができにくいですし、すぐに弱体化してしまうのです。

badge_Columns_100勉強するなら「今でしょ!」の本当の理由

少々乱暴な計算になってしまいますが…
一日に10万個減少、ということは一時間で4000個。一秒では1.2個弱のニューロンが死んでいきます。しかもこれは脳を一般的な頻度で使っている人の場合。怠惰な生活を送っていたり、あまりに頭を使わなかったりすれば、さらに減少速度は早まることでしょう。よく、「英語でも、資格でも、その時になったら本気で勉強するから」と言う若い人をよく見かけます。でも、必要になるのっていつでしょう?5年後?10年後?その時には、今と同じ活発でぴちぴちの脳みそは残っているでしょうか。

わかりましたか。「今」じゃなきゃ遅いのです。

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参考:「脳を育てる」著:高木貞敬(岩波新書刊)
「脳の話」著:時見利彦(岩波新書刊)
RIKEN BRAIN INSTITUTE


東京大学理科二類所属。県立浦和高等学校および駿台予備校出身。小さいころから自然や生き物に関心を持ち、高校時代に読んだ福田伸一の「生物と無生物のあいだ」に刺激をうけ、分子生物学を志す。テニス歴6年。AKB48の大ファン。