『雑談力』——ちょっとした時間で関係性をつくる、大人の "コミュ力"

トイレやエレベーターでの10秒間、ふとした待ち時間5分、帰り道の10分間。 こんな時あなたは、そばにいる人とどんな会話をしますか?

なんとなくやり過ごしてしまいそうな隙間時間ですが、営業で優秀な成績を挙げる人や成功しているビジネスパーソンほど、このような雑談の時間を大切にすると言います。なぜならば、雑談をうまく活用できれば相手から信頼されるきっかけになり、無理だと思っていた商談の成立など、思いもよらない幸運が舞い込む可能性があるから。コミュニケーション能力が不可欠なビジネスの世界では、多くの可能性をもつ雑談力にこそ注目が集まっています。

そうはいっても、ビジネスシーンや日常に生まれるごく短い雑談時間を、有意義に活用するのはなかなか難しいもの。むしろ、会話がもたなくて気まずくなり「早くこの時間が終わってほしい」なんて思う人も少なくはないでしょう。

今回は、そんな隙間時間での雑談力を上げる、3つの方法をご紹介します。

1.万能な話題を活用する

万能な話題とは天気や時事ネタのことです。メリットは、誰もが知っている・当たり障りがない・会話する時間をコントロールしやすい、ということ。たとえばトイレやエレベーターで10秒ほど雑談するならば、天気や気温の話がおすすめです。その理由は、この短い雑談による大きな目的が「話しかける行為」そのものだから。会話の中身に重さなんてものは必要なく、軽い話の方がより適切なのです。

取引先で5分ほど待ち時間が生じたら、多くの人が知る流行りの出来事をネタに会話を始めるのもいいですよ。わずかでも双方の会社に関連する話題ならば、なお良し。たった5分間の雑談をするだけでも、次に会った際の会話がスムーズになるはずです。

ただし、注意すべき点が2つあります。1つ目は、政治や宗教色の強い話題、個人の信条に触れる可能性のあるテーマは避けるべきであるということ。もしも誤解を与えるような事態になってしまった場合、短い雑談時間では悪印象を挽回することができないからです。2つ目は、相手に雑談を持ちかけてもよい状況かどうかを見極めること。隙間時間が、会議の最中や直前などに急に生まれたのであれば、相手は取引や会議の内容を頭で整理している可能性があります。そのようなタイミングでは、相手を無理に雑談モードに切り替えさせることのないよう、配慮することが必要です。

 

2.相手が興味を持っていることを話題にする

雑談の目的は、相手と“楽しく”会話をすることにあります。自分の興味のおもむくままではなく、相手が興味をもちそうな話題にすることが大切です。もしも午後一番の来社が多い相手ならば、自分の会社の近辺で早く安く食べられるランチの場所について話題を振ってみるのもいいでしょう。

相手の「聞きたいこと、興味のありそうなこと」について見当がつかない場合は、天気や時事ネタなど当たり障りのない話題から始めて、その会話のなかにヒントを探すという方法もあります。それも難しい場合は「聞き役に徹する」ことに留意してみてください。相手が気持ちよく話すことさえできれば、雑談の目的は達成されるのですから。

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3.自分のことも話す

先述した内容と真逆に感じてしまうかもしれかもしれませんが、要はバランスの問題です。

明治大学の齋藤孝教授は

雑談は「相手8 自分2」くらいでちょうどいい。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|ほめ方、切り返し方、悪口ネタには…すぐに身につき一生使える「雑談力が上がる」3つの話し方

と述べています。会話を気持ちよく続けてもらうために、相手が興味をもちそうな話題にすることは大切です。しかし、あなたがまったく自己開示をしなければ、相手はあなたに信頼感をもつことはできないはず。会話はキャッチボールなので、相手本位の姿勢をとるだけではなく、空気を読みつつ自分の家族構成や趣味、好きなお酒の種類なども付け足してみましょう。よりその雑談が効力をもつはずです。

*** 「単純接触効果」をご存知ですか? これは、“人はその人に接触する回数が多ければ多いほど好意を抱く”という心理学の法則で、無意識下の接触でも有効な効果を生むとされています。雑談は相手との接触回数を増やし、うまく生かせればメリットをもたらしてくれる素晴らしいものです。ぜひあなたも、何気ない雑談の力を高めてみてくださいね。

(参考) ダイヤモンド社書籍オンライン|ほめ方、切り返し方、悪口ネタには…すぐに身につき一生使える「雑談力が上がる」3つの話し方 ダイヤモンド社書籍オンライン|英会話には何万円もお金をかけるのに、なぜ日頃の会話を磨かない?仕事、学校、人生が変わる「雑談力」 スーザン・ノーレン・ホークセマ,バーバラ・フレデリックソン,ジェフ・ロフタス,クリステル・ルッツ著,内田一成訳(2015),『ヒルガードの心理学 第16版』,金剛出版.

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