上司のひとことや、同僚の言い方にカチンときた瞬間。表情には出さないまま、頭のなかだけが熱くなっていくことがあります。
「6秒我慢する」といったアンガーマネジメントの方法は知られていますが、その6秒がいちばん長い、と感じることもあります。我慢しようとするほど、かえって怒りのほうに意識が向いてしまう。
そんなときに必要なのは、我慢ではなく、その場でできる小さなアクションのほうかもしれません。しかも、効くのにはちゃんと理由があります。
あめを舐める
具体的なアクション
イラッとした瞬間、口にあめ玉を入れるだけ。デスクの引き出しやポケットにひとつ忍ばせておけば、いつでも実践できます。
あめは噛まなければ音がしにくいので、仕事中でもバレにくいのが利点です。電話対応中やデスク作業の合間なら、口に含んでいてもまわりに気づかれません。
上司の理不尽な説教や、同僚の心ないひとことにカチンときたときも、席に戻ってこっそりあめをひとつ口に入れるだけならできそうですよね。
どうして効くのか?
あめの糖分で血糖値が上がると、衝動を抑える「自制心」の働きが高まると考えられています。攻撃性が高い傾向のある人を対象にした研究では、挑発を受けた場面で糖分を摂取したグループのほうが、攻撃的な仕返し行動が少なくなりました。*1
つまり、あめを舐めて血糖値を少し上げておくだけで、カッとなったときのブレーキが利きやすくなると考えられるのです。
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「あー!」と声に出さず叫ぶ
具体的なアクション
イラッとしたら大声を出せばスッキリしますが、職場で叫ぶわけにはいきませんよね。そんなときは、トイレや空き部屋に駆け込んで、声を出さずに「あー!」と叫んでみましょう。具体的には、大きく口を開けて、思いきり息を吐き切るイメージです。

「あー!」と叫ぶときと同じように、お腹から一気に息を送り出すのがポイント。声帯を震わせずに息だけを出すので、周囲に聞こえる心配もありません。
デスクを離れられないときは、口を軽く閉じたまま、同じように長く息を吐き出すだけでも効果が期待できます。
どうして効くのか?
「叫ぶとスッキリする」感覚の正体は、「長く息を吐き出す」呼吸そのものにあると考えられています。
スタンフォード大学の研究では、5分間の呼吸法を1か月続けたところ、長い呼気を重ねる「サイクリック・サイイング」を行ったグループが、マインドフルネス瞑想のグループよりも気分の改善と呼吸数の低下が大きかったと報告されています。*2
つまり、大声を出さなくても、叫ぶつもりで息を吐き切ることで、スッキリ感が得られるのです。
冷たいペットボトルを首の横にあてる
具体的なアクション
冷たいペットボトルを、首の横に10〜20秒あてましょう。洗面所で首を冷たい水で洗うのでもかまいませんが、ペットボトルで冷やすほうが手軽です。
自動販売機で冷たい飲み物を買い、首を冷やしてからゆっくり味わえば、身体の外と内の両方から気持ちを鎮められます。
当てる場所は、耳の下からあご下にかけてのラインが目安です。冷たさをじんわり感じるくらいでも効果は期待できるので、無理に強く押し当てる必要はありません。

どうして効くのか?
「ちょっと頭冷やしてくる」「顔洗ってくる」。イラッとしたとき、こんな言葉を口にすることがあります。じつはこれは、科学的にも理にかなっている行動です。
ルクセンブルク大学の研究では、顔や首まわりへの冷刺激によって心拍変動が高まり、副交感神経が優位になることが確認されました。*3
これは、冷たい水に顔をつけると心拍数が下がる「潜水反射」と共通する神経経路が関わっていると考えられています。首を冷やすだけでも、この仕組みの一部が働く可能性があるのです。
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イラッときたとき、「これをすればちょっと和らぐ」という行動を知っておけば、思わず爆発してあとで後悔……なんてことを防げますよ。
よくある質問(FAQ)
Q. あめが手元にないときは、ガムやチョコレートでも代用できますか?
Q. 「あー!」と声に出さずに叫んでも、本当にスッキリしますか?
Q. 冷たいペットボトルがない場合は、どうすればいいですか?
*1: Denson, T. F., von Hippel, W., Kemp, R. I., Teo, L. S. (2010), Journal of Experimental Social Psychology, Vol.46, No.6, pp.1023-1028|Glucose consumption decreases impulsive aggression in response to provocation in aggressive individuals
*2: Balban, M. Y., Neri, E., Kogon, M. M., Weed, L., Nouriani, B., Jo, B., Holl, G., Zeitzer, J. M., Spiegel, D., Huberman, A. D. (2023), Cell Reports Medicine, Vol.4, No.1, 100895|Brief structured respiration practices enhance mood and reduce physiological arousal
*3: Jungmann, M., Vencatachellum, S., Van Ryckeghem, D., Vögele, C. (2018), JMIR Formative Research, Vol.2, No.2, e10257|Effects of Cold Stimulation on Cardiac-Vagal Activation in Healthy Participants: Randomized Controlled Trial
柴田香織
大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。