海外研究「“恋愛経験なし=社会不適合者” は大ウソ」――安心して勉学に励め!

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日々勉強を頑張っているにもかかわらず、
「デートしたこともないなんて」
「ほとんど恋愛経験がないなんて」
などと他者からプライベートについて言及され、あたかも健全ではないかのようないわれ方をして落ち込んだ経験がある方――

そんな言葉を気にする必要はありませんよ! 新しい研究が、古い概念を覆してくれました。 『Journal of School Health』に掲載された最新の研究を紹介しつつ、コミュニケーション社会脳を探ります。

デートしていなくても社会的スキルは良好である

学術雑誌『Journal of School Health』に掲載(2019年9月4日初公開)された米ジョージア大学の研究は、とても興味深いものです。恋愛やデートをしていない思春期の若者でも、社会的不適応ではないと示されたそうです。それどころか、社会的スキルは良好とのこと。

そもそも観点が失礼なのではないか? とも感じてしまう研究内容ですが、それもこれも、世間に「非デート者が不適応である」という概念が存在しているからです。つまり新しい研究結果は、そうした概念に真っ向から反論することになります。

具体的には、594人の10年生(15~16歳)を、デートする頻度などで4グループに分け、次の2点――

  • 教師の評価(社会的スキル、リーダーシップ、うつ病)
  • 学生へのアンケート(友人、家庭、学校での人間関係など)

――を使用して、統計的検定法(カイ二乗検定と分散分析)を用いて比較したそうです。

結果、恋愛やデートをしていない思春期の若者は、良好な社会的スキルを持ち、うつ病リスクも低かったとのこと。青春を謳歌している(デートを楽しみ恋愛中のグループ)と比較しても、同等あるいはそれ以上に良好であったそうです。

デート頻度が低いグループ(ゼロではない)にいたっては、教師からの社会的スキルとリーダーシップの格付けが著しく高かったのだとか。

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あまりデート経験がないからといって、自分の社会的スキルが低いなんて思う必要は、全くないわけですね。

コミュニケーションと「社会脳」

とはいえ、他者とのコミュニケーションが大切であることには変わりありません。自分とは違う視点や情報を与えてくれるほか、対話自体が脳を刺激してくれるからです。

少し前の情報ですが、2011年9月に日本経済団体連合会が発表した調査結果によると、企業が採用選考を行なう際に重視する要素は、8年連続で第1位が「コミュニケーション能力」だったそうです。

コミュニケーションとは、自分と他者間で行なう伝達と共有のこと。そうした行動を支えているのが「社会脳」と呼ばれるものです。

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「社会脳」は、自分と、他人と、社会を結ぶ、脳の働きを指すのだとか。理化学研究所脳科学総合研究センター適応知性研究チームリーダーで、株式会社ハコスコ代表取締役でもある藤井直敬氏は「社会脳」を、

 他者との関係性を処理し、行動に反映させる脳機能

と説明しています。同氏は、他者の存在で人の行動が狭められることを不思議に思い、「社会脳」の研究に取り組み始めたそうです。

行動を狭めているのは自分だった

藤井直敬氏は、ある発見をしたといいます。

2頭のサルがいる場合、最初は同等に威嚇し合うのに、いったん上下関係が決まると、折れたほうのサルは二度と強いほうに歯向かわないそうです。

また、2人の人間に対し、実験上それぞれに「強いほう」「弱いほう」と設定し、お菓子を中間に置いた場合。ずっと「強いほう」が決まったようにお菓子を取り続けていると、ずっとお菓子をとらずに我慢している「弱いほう」が、だんだん嫌な気持ちになってくるそうです。

つまり、本来は人格(猿格?)に上も下もないのに、人もサルも抑圧されると自分の人格が貶められたように感じ、勝手に抑制をかけて行動を狭めてしまうわけです。

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制約をかけないメンタルセットを鍛えよう!

前出の研究に重ね合わせてみると……、たとえば、よくデートをしている「A」が、そうではない「B」と対峙したとします。

人間のクセを考慮すると、「B」のほうが自分は社会的スキルが低いと思い込み、行動を抑制してしまうかもしれません。なおさら「A」に「デートしたこともないの?」なんていわれようものなら、嫌な気分とともにどんどん行動範囲を狭めてしまうでしょう。

だからこそ、前出の研究で、社会的スキルとリーダーシップにおける教師からの格付けが著しく高かった、あまりデートをしていなかった学生は、そうした抑制がかかっていなかった可能性も考えられます。

「ほとんどデートしたり、恋愛したりしていないけど……、それが何か?」

といった具合に、抑制をかけることなく自分の可能性を広げていたわけです。

藤井直敬氏によれば、抑圧状態は常に続くと固定化されてしまうのだとか。どんなにささやかな形でもいいので、さまざまな人と交流し、ひとつの関係性だけが全ではないと考えることが、「社会脳」を良好に保つ秘訣です。

 いま自分はこんな立場だけど、明日は変わるかもしれないし、別の場所では全く違うかもしれない。

藤井直敬氏いわく、上記のようなメンタルセット(心構え)は、どんな人でもある程度は鍛えられるとのこと。 ちょっとだけ、誰かとの対話を増やしてみる。そこから始め、ぜひ、あなたの可能性を広げてみてください。

***
デートをしていなくても「社会的スキル」は良好であること、「社会脳」を良好に保つメンタルセットなどについて説明しました。

とりあえず、いま勉学に励んでいるならば、雑音は気にせず突き進みましょう。

でも、いつか、「その人のそばにいると “好きな自分” でいられる」「自分らしい自分のままでいいと思わせてくれる」といった人に出会ったら、デートに誘ってみてはいかがですか……?

(参考)
Wiley News Room – Press Releases, News, Events & Media|Students Who Do Not Date Are Not Social Misfits
Wiley Online Library|Social Misfit or Normal Development? Students Who Do Not Date - Douglas - 2019 - Journal of School Health 
日本学術会議|日本学術会議近畿地区会議学術講演会|「社会脳から心を探る-自己と他者をつなぐ社会適応の脳内メカニズム-」 
リクルートワークス研究所|研究プロジェクト|第1回 「社会脳」 藤井直敬 氏 
JAGAT|コミュニケーション能力の重要性

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