あなたは、計画を立ててそのとおりに進めたい人ですか。それとも、締め切りが目の前に来ないとどうにも動き出せない人ですか。
じつはこの二つには名前があります。計画表があるからこそ着手できる「計画駆動」と、締め切りが近づいて初めてエンジンがかかる「締め切り駆動」です。
ちなみに筆者は、生粋の締め切り駆動型です。前もって少しずつ進めたほうが心の余裕も仕上がりも保てると頭ではわかっているのに、「今回こそは早めに」と思いながら、いまだ学習せず同じことを繰り返しています。「そのうち本当に痛い目を見るぞ、自分」と思いつつ、この原稿も締め切り当日に書いています。
- 「計画を立てて前倒しで進める」が理想とされる理由
- ところが「締め切り効果」でしか出ない力がある
- 締め切り駆動型は矯正すべき欠陥ではない
- 締め切り駆動型のための「締め切り増設」設計
- よくある質問(FAQ)
「計画を立てて前倒しで進める」が理想とされる理由
一般的には、事前に計画をたて、前倒しで進行した方が良いとされますよね。これにはもちろん、根拠があります。
締め切りまで余裕があれば、途中で不備があっても修正しやすいし、突然のトラブルにも耐えられる。精神的にも余裕が生まれますよね。
また、「計画を立てる」ということそのものにも良い効果があります。たとえば、目の前の仕事に漠然とした不安を抱えているようなとき。タスクを書き出し、順番と分量を決めているプロセスで、その不安は「輪郭のある作業リスト」に変わっていきます。
こうした理由から、「前倒し」はいつもおすすめされます。
ところが「締め切り効果」でしか出ない力がある
それなのに、世の中はできない人だらけです。前倒しがいいのは知っている。計画も立てた。それでも手が動かない。なぜなのでしょうか。
これには、科学的にわかっている理由があります。過去の研究およそ700件をまとめた調査では、先延ばしの大きな原因のひとつとして「ごほうびや罰がずっと先にあること」が挙げられています(Steel, 2007)。*1
人は、遠い未来のことを実感できません。締め切りまで時間があるほど作業を実際より難しく感じて手が止まり、逆に締め切りが近いというだけで、損得を無視してそのタスクに飛びつく。そんな実験結果も報告されています(Zhu, Bagchi & Hock, 2019/Zhu, Yang & Hsee, 2018)。*2 *3
要するに、人は締め切りが近づかないと動けないのです。意志の弱さも計画の下手さも関係なく、頭がそうできています。
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締め切り駆動型は矯正すべき欠陥ではない
では、締め切り駆動の人は直すべきなのでしょうか。
先ほどの調査は、こうも指摘しています。遠くにあるひとつの締め切りを、いくつもの近い中間目標に組み替えるだけで、先延ばしは軽くなる(Steel, 2007)。*1
締め切り駆動型は、締め切りという装置があって初めて高出力を出すエンジンです。エンジンは壊れていません。装置の数が足りていないだけです。月末に締め切りがひとつしかなければ、全力が出るのも月に一度になります。
ただし、締め切りを破っていいという話ではありません。肯定しているのは、期限直前に集中力が上がる特性です。提出遅れが起きているなら、なおさら締め切りの数を増やす必要があります。

締め切り駆動型のための「締め切り増設」設計
締め切り駆動型は、締め切りによってパワーを出す。これがわかっているならやることはひとつ。「締め切りを増やす」ことです。
以下の3ステップは一見「計画駆動」と似ていますが、目的は近い締め切りを人工的に増やすことにあり、計画表を守る意志は求めません。
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計画で走れる人は計画を、締め切りで走れる人は締め切りを増やせばいいのです。走り方はもともと2種類あるというだけの話です。締め切り増設を偉そうに説くこの記事を締め切り当日に一気に書き上げた筆者も、次回はさすがに実践します。
よくある質問(FAQ)
Q. 締め切り駆動は直したほうがいいのではないですか?
Q. 追い込みだと品質が不安です。
Q. 締め切りのない自主的な勉強はどうすればいいですか?
Q. チームに締め切り駆動の部下がいる場合はどうすればいいですか?
*1: Psychological Bulletin|The Nature of Procrastination: A Meta-Analytic and Theoretical Review of Quintessential Self-Regulatory Failure (Steel, 2007)
*2: Journal of Consumer Research|The Mere Deadline Effect: Why More Time Might Sabotage Goal Pursuit (Zhu, Bagchi, & Hock, 2019)
*3: Journal of Consumer Research|The Mere Urgency Effect (Zhu, Yang, & Hsee, 2018)
STUDY HACKER 編集部
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