話題が豊富な人になりたいなら、ニュースの読み方を変える。会話のネタを増やす『深掘り』4ステップ

ノートにニュースの5W1Hと図解を手書きでまとめた実践例(机に開かれたノートとペン)

「会食や雑談の場で『あの人、話題豊富だな』と感じる相手がいる一方、自分は相づちしか打てない」「知識の幅を広げたいけれど、毎日ニュースを読んでも自分のなかで広がっている実感がない」——そんな焦りを、抱えた経験はありませんか。

「話題豊富になるには」と検索すると、出てくるのはたいてい会話術の話。聞き上手になる、相づちのコツ、オープンクエスチョン——もちろん大切ですが、どんなに技術を磨いても、肝心の中身がスカスカだったら話はつまらないものです。相づちが上手でも、相手の話題に乗れない。質問は投げられても、自分の見解を返せない。話題の豊富さは、技術ではなく中身——自分のなかにある知識と考えの幅からしか生まれません。

ではどうすれば、その中身を増やせるのか。本記事で提案するのは、ノートとペン1本で始められる「ニュースの深掘り」という習慣です。具体的にどういうことか、筆者の実践例も交えながらお伝えします。

「小さなニュース」を深掘りすると、知識の幅が広がる

「中身を増やすために、ニュースを読もう」と言われると、多くの人は政治や為替、国際情勢といった「大きなニュース」に向かおうとするかもしれません。それらは縦方向に知識を掘り下げる話。本記事で扱うのはそれとは別の、知識を「横」に広げる方向性の話です。会食や雑談で「あの人、話題豊富だな」と感じる人がもっているのは、たいてい横の広がりのほうです。

そこでおすすめしたいのが、ふだんなら見出しだけで流してしまうような「小さなニュース」を、1本だけ選んで深く読んでみること。隣の自治体の制度、知らない業界の慣行、聞いたことのない地域の取り組み——自分の関心の地図にまだ載っていない領域のニュースこそ、知識を横に広げてくれる素材になります。

理由はシンプルで、こうした小さなニュースは、読者が前提知識を持たないことを前提に、解説的に書かれているからです。「全員制とは全員が同じ給食を食べる方式」「自校方式は学校内で調理」——必要な背景が、本文中にきちんと差し込まれている。だから専門外でも、丁寧に読めば理解できる。それでもわからない言葉が残れば、その場で少し調べればいいのです。

小さなニュースを深掘りして知識の幅を広げるビジネスパーソン(カフェで新聞を片手にノートを開いて読み込む様子)

「自分の頭で考える力」が、話題豊富さのもうひとつの要素

とはいえ、知識を仕入れるだけでは、まだ会話は面白くなりません。話題豊富な人がもっているのは、知識に加えて事実に自分の考察を一言乗せる力です。たとえば——

A.「コンビニのおにぎり、また値上げしたよね」

B.「コンビニのおにぎりまた値上げしたね。お米は国産しか使えないから、輸入で調整がきかないんだよね」

話していて面白いのは、明らかにBです。話題豊富な人は、ニュースを「知っている」だけでなく「なぜそうなっているのか」を自分なりに考えるクセがついているので、雑談のなかでも自然と一歩奥の事情に触れられるのです。

この「考察を一言乗せる力」こそ、後述する4ステップの最後——「自分の考えや印象を一行にまとめる」——を毎日続けることで鍛えられます。ニュース1本につき一行、自分なりの見方を言葉にする。地味なようでいて、考える筋肉のトレーニングになります。

さらに、自分の頭で考える力は情報に流されないためにも欠かせません。生成AIの台頭でフェイクニュースや、一部を切り取って印象を操作する情報があふれる今、メディアリテラシー——一般社団法人日本メディアリテラシー協会代表理事の寺島絵里花氏の言葉を借りれば「コンテンツの意図を読み解き、情報を適切に活用する力」*1——を養うことの重要性はますます高まっています。能動的に深掘りする姿勢が、会話を豊かにすると同時に、情報に振り回されない自分も作ってくれるのです。

プロの文章を毎日読むことで、書く力・伝える力も鍛えられる

「業務チャットの文章がいつも長くなる」「要点を簡潔に伝えられない」と感じている人にも、ニュースの深掘り習慣はおすすめです。ニュース記事は、プロの記者が書いた「事実を正確に、無駄なく伝える文章」の宝庫。読むだけでなく、文章そのものを観察対象にすると、自分の書き方も変わっていきます。

■ プロの記者の文章から、語彙力と構成力を学べる

■ 無駄を削ぎ落とした文章なので、「何をどこまで書くか」の取捨選択の感覚も鍛えられる*2

4ステップの「(2)自分の言葉で要約する」を続けると、この効用はとくに大きくなります。プロの原文と自分の要約を見比べることで、「ここを冗長に書いてしまうな」「プロはこの順序で並べるのか」と、自分の書き方の癖と改善点が見えてくるのです。

ニュースを深掘りすることで書く力・伝える力を磨くビジネスパーソン

ニュースを深掘りする4ステップ:ノートの書き方

では実際に、小さなニュース1本ぶんの深掘りをやってみましょう。ノートに書き出しながら、知らなかった言葉や仕組みをひとつずつ自分のものにしていく——ただそれだけの作業です。なお、書き出す際は紙に手書きがおすすめ。手書きは脳を活性化し、デジタル入力よりも記憶への定着が高まることが研究で示されています。*3

筆者は次のニュースで実践してみました。

朝日新聞|神奈川県藤沢市、中学給食を全員制に 2030年度から

実際に書き上げたノートが、こちらです。

ニュースを5W1H・要約・図解・疑問点・所感の4ブロックで手書きで整理した実践ノート

(画像は筆者にて作成)

(1)5W1Hで情報を整理

新聞記事は、ニュースをわかりやすく正確に伝えるために5W1Hを意識して書かれています。*4 そこでまずは、ノートの左上にニュースの5W1Hを書き出します。Who(誰が)、When(いつ)、Where(どこで)、What(何を)——これらを書き出すうちに、ぼんやりしていた話の輪郭がはっきりしてきます。

(2)自分の言葉で要約する

「読んだだけでわかったつもり」にならないために、5W1Hをもとに自分の言葉で要約します(ノート右上)。書き手の言葉をそのまま貼り付けるのではなく、自分の口で説明できる形に置き換えるのがポイントです。

(3)用語や疑問点を整理する

ここが深掘りの主役のステップです。知らない用語や引っかかった疑問点を書き留めます。本文中に補足があればそれをメモし、足りなければその場でひと言ふた言、調べて書き足す。ニュース1本から複数の新しい知識が手元に残ります。

(4)自分の考えや印象を一行にまとめる

「へ〜そうなんだ」で終わらせないために、自分の考えや印象を一行でまとめます(画像右下の四角枠内)。短くてよいので、「自分はどう感じたか」を言葉にする。仕入れた知識を自分の文脈につなぐ仕上げの一歩です。

とはいえ、毎日4ステップすべてを実践するのはハードルが高いもの。忙しい日は、取り組めそうなステップだけでも構いません。

💡 取り組めそうなステップだけでもOK
  • 5W1Hだけ書き出す
  • 知らない用語だけ調べる
  • 気になったことだけメモする

***

会話術を磨くより先に、まずは中身を増やすこと。ふだんなら素通りする小さなニュースを1本、ノートに書き出してみるところから始めてみませんか。

よくある質問(FAQ)

Q. 話題豊富な人になるには、会話術を学べばよいのですか?

会話術も大切ですが、それだけでは限界があります。自分のなかにある知識と考えの幅が薄いと、どんなに聞き上手でも会話そのものが浅くなってしまうからです。話題豊富な人がもっているのは、技術ではなく「中身の幅」。その中身を増やすために、毎日のニュースを深掘りする習慣がおすすめです。

Q. なぜ「小さなニュース」がおすすめなのですか?

政治や為替のような大きなニュースと違って、小さなニュースは読者が前提知識を持たないことを前提に、解説的に書かれているからです。専門外のテーマでも、丁寧に読み込めば理解できるよう、書き手が手を貸してくれています。それでも引っかかる言葉があれば、ノートに書き留めて少し調べるだけで足ります。

Q. 必要な道具はありますか?

紙とペンだけで始められます。手書きは脳を活性化し、デジタル入力よりも記憶の定着が高まることが研究で示されています。

【ライタープロフィール】
澤田みのり

大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。