経費精算、たまった書類の整理、気の重い相手へのメール返信。「やらなければ」と思いながら、つい後回しにしてしまう作業は誰にでもあります。
「やりたくない作業でも、もう少しラクに進められないものか……」
じつは、ちょっとした行動をセットにするだけで、面倒な作業がスイスイ片づくようになります。本記事では、「ながら」の力を借りる、少し意外な先延ばし対策を紹介します。
対策1 「歌いながら」やってみる
気が進まないタスクに取りかかるときは、歌いながら動いてみましょう。大きな声でも、小声で鼻歌を歌うのでもかまいません。
歌うことは気分に関わる脳内物質の分泌をうながし、ポジティブな気分を高めると考えられています。結果として、「作業したくないな」という嫌な気持ちがやわらぐのです。
実践のコツ
- 歌詞を覚えていて口ずさみやすい、テンポのよい曲を選ぶ
- 作業を始める30秒ほど前から歌いだす。そのままの勢いで、「やり始める」といういちばん重いハードルを越えやすくなります
研究による裏づけ
ある研究では、参加者が30分間歌ったところ、ポジティブな気分がはっきりと向上したことが報告されています。*1
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対策2 「実況中継しながら」やってみる
気が進まないタスクに取りかかるときは、自分の動作をアナウンサーのように実況中継しながら進めてみましょう。
「メールを開いた!」「宛名を入力完了!」というように、いましていることをそのまま声に出すのです。これは「セルフトーク」と呼ばれる方法で、声に出した言葉が注意の置き場所になり、余計な雑念が入り込みにくくなります。意識が目の前の作業に向かい、集中しやすくなるのです。
実践のコツ
- 最初のひとことは「よし、〇〇を始めるぞ!」のように、動作の宣言からスタートする
- 恥ずかしければ、声に出さず口のなかでつぶやくだけでもかまいません
- 気分が乗らない作業ほど、「(自分の名前)、メールを開いた」と自分の名前で実況すると、感情と少し距離を置きやすくなります
研究による裏づけ
心理学の研究では、自分の名前を使って自分に語りかける話し方(第三者視点のセルフトーク)が、感情に振り回されずに物事へ取り組む助けになることが示されています。*2
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対策3 「ガムを噛みながら」やってみる
気が進まないタスクに取りかかるときは、固めのガムを噛みながらやってみましょう。
咀嚼(そしゃく)運動によって脳の血流量が増えると、思考や判断を司る「前頭前野」の働きが高まります。結果として、頭がすっきりして作業に取りかかりやすくなるのです。
実践のコツ
- 噛みごたえのある固めのガムを選ぶ
- 「このガムを噛み始めたら作業を始める」というように、毎回同じガムを作業開始のスイッチにすると効果的
研究による裏づけ
複数の脳画像研究をまとめたレビューでは、脳の血流を計測するfNIRSという手法を用いた研究において、ガムを噛むと前頭前野の血流が増えることが報告されています。*3
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歌いながら、実況中継しながら、ガムを噛みながら。今回紹介したのは、やりたくない作業に別の行動をセットにして、心のブレーキをゆるめる工夫です。どれも数十秒で始められるので、「まずは試してみよう」くらいの軽い気持ちで、作業がスイスイ進む感覚を体験してみてくださいね!
よくある質問(FAQ)
Q. 「〜しながら」の工夫は、どんな作業にも使えますか?
Q. 3つの方法のうち、まず何から試せばいいですか?
*1: Frontiers in Behavioral Neuroscience|An Analysis of Endocannabinoid Concentrations and Mood Following Singing and Exercise in Healthy Volunteers
*2: Journal of Personality and Social Psychology|Self-Talk as a Regulatory Mechanism: How You Do It Matters
*3: Brain Sciences|The Neural Correlates of Chewing Gum—A Neuroimaging Review of Its Effects on Brain Activity
柴田香織
大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。