「わかりにくい文章」に共通する特徴――読まれる文章は“ここ”が違う

デスクにて、ノートパソコンを見ながら悩んだ様子で仕事をしているビジネスパーソン

「報告書をまとめても、『結局何が言いたいの?』と返されてしまう」

「企画書を提出しても、意図と違う解釈をされ、手戻りが発生してしまう」

こうしたすれ違いの多くは「文章の書き方」に原因があります。

その原因への対策を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

わかりやすい文章をつくる考え方は、対面でのコミュニケーションにも活かせます。

仕事の効率化や信頼関係の構築に役立て、仕事力を向上させていきましょう。

「わかりにくい文章」に共通する特徴1. 自分が伝えたいことをそのまま書く

自分の頭のなかにある情報をそのまま垂れ流すだけだと、相手は迷子になってしまいます。

伝える力がある人は「伝達力」をもち、「伝達力とは、同じことを伝えるにも相手の知識などによって使う言葉を変えるなど、より相手に伝わりやすくなるように工夫する力」だと説明するのは、伝える力【話す・書く】研究所所長の山口拓朗氏。*1

たとえば、次のようなチャットやメールを例に考えてみましょう。

👩‍💼上司からのチャット

「次のMTGの日程をフィックスしました。今回のプロジェクトにAさんをアサインするつもりなので、そのように伝えておいてください。今日はAさんは外出後NRなので、早めに伝えておいて。」

🙇‍♂️入社したての新入社員

「『MTG』ってミーティングのことかな……。『アサイン』『NR』って何?」

入社したての新入社員にもわかるような言葉のチョイスができていない


🧑‍💻WEBページ制作会社の担当者からメール

「弊社ではCMSをベースにレスポンシブ対応のUI/UX設計を行ない、SEO内部施策も加味したモバイルファーストなサイト構築をご提案します。」

💻顧客

「(CMS? UX? 何のことかわからないから、自分に必要なのかもわからないな……)」

顧客の知識レベルに合わせた説明になっていない

「自分にとって当たり前」が相手にとっても当たり前とは限らないということを、あらゆる場面で意識する必要があるでしょう。

Point:相手の理解度に合わせる

スマートフォンでのチャットやノートパソコンでのメールの様子

「わかりにくい文章」に共通する特徴2. 一文が長い

普段の文章を見返してみて、一文にいくつもの「、」がありませんか?

「、」がいくつもあったとすれば、その文章は「長過ぎる」ことを示しています。冗長な文は理解に時間がかかり、読み手にとっては「わかりにくい文章」です。

前出の山口氏は、「1文を長くても60〜70字にする」ようにすすめます。*1

例文(修正前)
「今期の売上が想定よりも伸び悩んでいる原因としては、競合他社の積極的な広告展開や市場全体の消費者動向の変化に加えて、当社自身の販売チャネルの強化が十分ではなかったことなどが挙げられます。」

→ 一文が92字と長く、3つの原因がスッと頭に入ってきません。

例文(修正後)
「今期の売上が想定よりも伸び悩んでいます。原因は以下の3つです。」

  • 競合他社の積極的な広告展開
  • 市場全体の消費者動向の変化
  • 当社自身の販売チャネルの強化の不十分さ

→ 原因を説明する一文が20字以下となり、理解がスムーズになりました。視覚的な見やすさも理解のスピードを助けます。

Point:「一文一義」を徹底して、スッキリと読みやすい文章にする

バインダーに挟まれたビジネス文書

「わかりにくい文章」に共通する特徴3. 余計な言葉が多い

「一文一義」を実践するにあたり、「余計な言葉を削ぎ落とす」という観点が大切です。

『バナナの魅力を100文字で伝えてください』(かんき出版)など多くのベストセラー書籍を担当してきた編集者・庄子錬氏は、次の7つの言葉は文章をわかりにくくすると指摘します。*2をまとめた

チェックすべき「7つの言葉」

  1. 予防線を張るような言葉(「個人的には」「誤解を恐れずに言うと」など)
  2. なくても通じる修飾語(「非常に」「とても」「かなり」など)
  3. 「こと」の多用
  4. 「という」の多用
  5. こそあど言葉(この・その・あの など)
  6. 接続詞の多用(また・そして・したがって など)
  7. 断定を避ける「ではないか」

これらを意識して省くことで、文章がぐっとシンプルで明快になります。

Point:書かなくても通じる「7つの言葉」を省き、文章をシンプルにする

ノートパソコンを操作する人の手元

「わかりにくい文章」に共通する特徴4. 表現が曖昧

自分の書き言葉が想定外のとらえ方をされるのなら、表現が曖昧な可能性があります。

スムーズに仕事を進めるためには、具体的に伝える工夫が必要です。

そこで意識したいのが、「5W3H」「なぜ → たとえば」メソッドで具体化すること。*3

<5W3H>
なるべく多くの要素を当てはめることで、より具体的で伝わりやすくなります。

  • When:いつまでに、どのタイミングで
  • Where:どこで
  • Who:主体や対象は誰なのか
  • What:目的や用件
  • Why:理由や背景、根拠など
  • How:方法や手段など
  • How many:量や回数など具体的な数字
  • How much:具体的な費用・価格

「このプロジェクトをよろしくお願いします。」
→(Why)アプリの操作方法について問い合わせが殺到しています。
(Who)Aさんがリーダーとなって、(When)今月末までに、(What)既存アプリのUI改善を、(How)ユーザーインタビューをもとに進めてください。

<「なぜ→たとえば」メソッド>

「A案が一番いいと思います。」

→(なぜ)コストと効果のバランスが取れているため、A案が一番いいと思います。
(たとえば)導入コストは20万円と安価ですが、3ヶ月で売上が10%改善した事例があります。

Point:「5W3H」や「なぜ → たとえば」メソッドで、意図を具体的に伝える

ノートパソコンからメールを送ることを表現した画像

***
文章は、仕事の成果や信頼関係の構築を左右するビジネスにおける武器です。

今日からぜひ、自分の文章を見直して「相手に伝わる書き方」を実践してみてください。

※引用の太字は編集部が施した

【ライタープロフィール】
澤田みのり

大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。

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