自分でビジネスを始めてみたい。プライベートであんなことに挑戦してみたい。誰もが、心のどこかで夢を持っていることでしょう。しかし、それを実現させられる人はごく一部。現実には、大半の人が、そもそもチャレンジをためらったり諦めたりしています。
夢に向かって歩き出すために、自分の背中を押してくれる何かが欲しい――そんな人は、ぜひこの記事を読んでください。正しいマインドの持ち方、そして行動の起こし方をご紹介します。
「人は挫折しやすい生き物だ」という事実
アメリカの作家ナポレオン・ヒルが手がけた『Grow Rich! With Peace of Mind』に、興味深い記述があります。およそ3万人を対象に、「何かにチャレンジしたとき、何回壁にぶつかったら諦めるか」とたずねたところ、大部分の人が “たった1回” で挫折することがわかったのです。
みなさんも自分の過去を振り返ってみてください。たった一度きり困難にぶつかってしまっただけで、その物事をやらなくなったなんて経験はないでしょうか。あるいは、そもそも困難にさえ出遭っていないにもかかわらず、「なんだか大変そうだな」「本当にうまくいくだろうか」といった迷いや疑いから、挑戦の意欲が次第に薄れていったなんてことも……。人は挫折しやすい生き物なのです。
だからこそ、まず、夢は意識して持ち続けるようにしてください。そして、その夢を叶えた自分を思い描き続けてください。『思考が現実化する』には、自分自身の夢を頭の中に思い続けていれば叶いやすいと書かれています。この現象は心理学的には「プライミング効果」とも呼ばれ、科学実験でも確からしさが実証されているほど。
じつは、人の脳幹には、脳に入る情報を仕分けする役割を担う「RAS(網様体賦活系)」があります。普段からネガティブなことを考えていると、RASから脳にマイナスな情報ばかりが送られるため、「もういいや……」などと諦めの気持ちが芽生えてしまいがち。しかし、ポジティブに考えるようにすると、脳にはプラスの情報が送られるため、前向きに行動できるようになるというわけです。それが遠からず夢の実現につながっていきます。
怖がっていないで “とりあえずやってみる” のが吉
とはいえ、未来に対するネガティブなイメージを完全に取り払うのは難しいもの。どんなに自信家な人であっても、「失敗するかもしれない……」という気持ちから完全に逃れるのは困難です。それでも、なにかと理由をつけて挑戦しないより、早めに挑戦しておいたほうがずっといいのは、いろいろな理由があります。
まずは、人間の心理的な話。「行動非行動の法則」をご存じでしょうか。これは、「物事を行なった結果得た後悔よりも、何もしないで得た後悔のほうが大きい」という心理効果です。挑戦した結果として失敗してしまったらまだ諦めがつくかもしれませんが、挑戦しなかった後悔は、たしかにあとを引きそうですよね。
加えて、挑戦して仮に失敗したとしても、反省点や至らなかった点を見直して再チャレンジできるのもメリット。PDCAをすばやく回せるぶん、よりよい結果をたぐり寄せることができますよ。
「とにかくやってみる」という気持ちの重要性を説くのは、精神科医の和田秀樹氏。次のように述べています。
年を取ってからの失敗は痛いですが、若いうちの失敗は許してもらえます。(中略)若いころは先延ばししないで、『まず手を出すんだ』と自分に対して言い聞かせることが大事ですよ
(引用元:furi-kake|真面目な人ほど出世できない!? 仕事の「先延ばし癖」をやめる3つの習慣)
あれこれ悩んだり怖がったりする前に、まずは行動してみましょう。当たり前ですが、それが夢を叶えるための第一歩なのです。
行動を促すには「マンダラート」がおすすめ
では、実際のアクションをとっていくにはどうすればいいのでしょうか。行動することの大切さはわかっていただいたと思いますが、「そもそも何から始めればいいのかわからない」という人も多いはず。そんな人におすすめなのが、あの大谷翔平選手も高校時代にやっていたという「マンダラート」です。
これは、デザイナーの今泉浩晃氏が考案した発想法。3×3の9マスを用意して、中心部に自分の夢や目標を書いたのち、周囲の8マスに、その夢や目標を実現させるための方法を8つ書き出きます。そして、それら8つについて、それを実現させるための方法をさらに8つずつ書き出していくのです。
大谷選手は高校1年生のときに、「“ドラ1” 8球団」を中心の目標として掲げました。そして、それを「体づくり」「メンタル」「コントロール」「スピード160km/h」などと具体化。さらに、「柔軟性」「可動域」「頭は冷静に心は熱く」「体幹強化」「軸をぶらさない」「肩まわりの強化」「可動域」など、それぞれの要素を実現させるための方法を細分化して考えました。プロ入り後の活躍は言うまでもありませんが、その裏には、マンダラートを使った計画的なアクションがあったのかもしれません。
たとえば、「自分でビジネスを始めてみたい」という人。そう思い描くのは簡単ですが、そのためにやるべきことやできそうなことは何でしょうか。
経営やマーケティングに関する本を読む、起業したいと考えている人と交流する、すでに独立して活躍している人とコネクションを作る――いろいろ考えられるでしょう。
さらに、それらを実現するには何をすべきでしょうか。週1冊本を読むようにする、2週間に1回ビジネス交流会に参加する、いますぐにTwitterのダイレクトメッセージを送って約束を取りつける――具体化されたぶん、ずっと行動しやすくなりましたね。
こんなふうに、自分の夢を起点として、それを叶えるための行動をどんどん細分化していってみてください。そして、それらを着実にこなしていければ、夢にも少しずつ近づいていけるのです。
マンダラートについては、こちらの記事も読んでください→勉強にも仕事にも! 大谷翔平も使う『目標達成マンダラート』がすごい
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たとえ小さなことでも、それをやり続けるかどうかで、未来は大きく変わってきます。誰もが心の中で持っているに違いない「夢」。その実現に向けて、今日から動き出してみませんか?
(参考)
ナポレオン・ヒル(1999),『思考は現実化する』, きこ書房.
東洋経済オンライン|「口ぐせが現実を変える」が科学的に正しい訳
アラン・ピーズ, バーバラ・ピーズ(2017),『自動的に夢がかなっていくブレイン・プログラミング』, サンマーク出版.
トーマス・ギロビッチ(1993),『人間この信じやすきもの―迷信・誤信はどうして生まれるか』, 新曜社.
furi-kake|真面目な人ほど出世できない!? 仕事の「先延ばし癖」をやめる3つの習慣
今泉浩晃(2004),『「成功」を呼び込む9つのマス』, 全日出版.
NewsPicks|大谷を怪物にした花巻東高校の「目標達成用紙」
【ライタープロフィール】
亀谷哲弘
大学卒業後、一般企業に就職するも執筆業に携わりたいという夢を捨てきれず、ライター養成所で学ぶ。養成所卒業後にライター活動を開始し、スポーツ、エンタメ、政治に関する書籍を刊行。今後は書籍執筆で学んだスキルをWEBで活用することを目標としている。