
AIのおかげでテキストユーザーインターフェイスが再び主役になりつつあります。社内でもSlackやTeamsなどのツールでテキストコミュニケーションが当たり前になっていますよね。
直接会うことはおろか、電話で話すことさえ少なくなりました。ところがじつは、テキストで済ませるところをあえて声にすると、同じ内容でも「頭の回転が速そう」に見えるという研究結果があるのです。
声にすればいい。電話でも、Zoomの音声でも、ボイスメッセージでも
使うツールはなんでもいい。電話、Zoom、ボイスメッセージ、スマホの録音機能で送るボイスメモ、どれでもかまいません。音声だけを聞いた場合と、映像つきで聞いた場合とを比べても、聞き手の評価はほとんど変わらなかったという研究結果があります。*1
聞き手の評価は、表情や身振りが加わる前に、声が届いた時点で決まっています。対面で会う必要も、顔を見せるビデオ通話にする必要もない。テキストで書こうとしていた内容を、声に変えて届ければ、相手が受け取る印象は変わります。
「電話は時間泥棒だ」という風潮もありますが、大事なところでは、時間を取られるのを承知で電話をかける価値があるかもしれません。
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なぜ声にするだけで「頭がいい」と思われるのか
シカゴ大学の心理学者ニコラス・エプリーらの研究では、同じ自己PRでも、音声で聞いた人は文章で読んだ人より、話し手を知的で有能だと評価する傾向がありました。*1
中身は同じなのに、なぜ印象が変わるのか。
理由1声には文字にない情報が乗っている
ひとつは、声には文字にない情報が乗っているから。声のトーン、間の取り方、抑揚といった要素で、専門的には「パラ言語情報」と呼ばれるものです。文章にするとこうした情報は削ぎ落とされ、残るのは意味だけ。読み手は行間を自分で補うしかなく、誤解も生まれやすくなります。
伝えられる情報の豊かさの違いを「メディア・リッチネス」と呼びますが、テキストは効率的な一方で、情報量そのものは少ないメディアなのです。
理由2声を聞くと「相手にも心がある」と感じやすくなる
もうひとつは、声を聞くと「相手にも心がある」と感じやすくなるからです。*2
文字だけのやり取りでは、相手が何を考えているのか想像で補うしかありません。声を聞くとその想像の余地が減って相手の存在がより立体的に感じられ、これが話し手の「頭の良さ」の印象にもつながっていきます。
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テキストで済ませず、あえて声にしたい場面
「頭の回転が速そう」「仕事ができそう」という印象を残したい場面、言ってみれば勝負どころでは、声を使う価値があります。転職の面接や商談など、本当に重要なやり取りが必ず声を介していることを思い起こせば、当然のことかもしれません。
大事な打ち合わせ内容や、部下や後輩へのフィードバック、認識のズレを解消したい込み入った相談など、日々の業務のなかでも「ここだ」と思うところで声を使えば、同じ内容でも伝わり方が変わるはずです。
普段はメールやLINEだけで業務のやり取りをしているクライアントと、先日久々にZoomで打ち合わせをしたら、先方の若い担当者が「やっぱり話すのはいいですね」と言っていて、なんだか非常に驚いたし、ほっこりもしたものでした。
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テキストが当たり前になった時代だからこそ、声を使うという選択そのものが、ちょっとした特別さを持つようになりました。“ここぞ”という場面では、その特別さを味方につけない手はありません。
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よくある質問(FAQ)
Q. 声を使うなら、電話じゃないとダメですか?
Q. 声で伝えると「知的に見える」というのは本当ですか?
Q. テキストでのコミュニケーションが悪いということですか?
*1: Schroeder, J., & Epley, N. (2015), Psychological Science, 26(6), pp.877-891|The Sound of Intellect: Speech Reveals a Thoughtful Mind, Increasing a Job Candidate's Appeal
*2: Schroeder, J., Kardas, M., & Epley, N. (2017), Psychological Science, 28(12), pp.1745-1762|The Humanizing Voice: Speech Reveals, and Text Conceals, a More Thoughtful Mind in the Midst of Disagreement
蔵前直樹
ライター・編集者。書く仕事、デザイン、プランニング、時々農業、狩猟。デザイナー→カメラマン→ライター→編集者と転身してきた「多芸は無芸」「器用貧乏」を地で行くタイプ。STUDY HACKERで仕事を始めてから、全然関係のないフィナンシャルプランナー2級を取ろうと考えているあたり、全然懲りてない。