”ビジネス英語”が苦手な人が知らない『説得の型』とは?|ベストセラー著者が教える「仕事の英語」の作り方

「海外クライアントとの商談で成果を出したい」「英語プレゼンで質疑応答に詰まらずに話せるようになりたい」——グローバルビジネスの現場では、こんな課題を抱える方が多いのではないでしょうか。

私は「英語職人」として、おかげさまでベストセラーとなった『英文法の鬼100則』などの著書を通じて、多くの方々の英語力向上をサポートしてきました。

また、スタディーハッカーのシニアリサーチャーとして、ENGLISH COMPANYやそのYouTubeチャンネルを通して、英語指導に携わっています。そんな中で、受講生や視聴者の方から「ビジネスで英語が使いたいけれど、どう勉強すればよいか迷っている」「ある程度ビジネス英語と名のつくものを勉強したけれど、現場に出るといまいち使えない」という声を頻繁に耳にします。

じつは、これらの課題には、シンプルかつ強力な解決方法があるのです。今回は、現場で使える英語力を身につけるための具体的な方法をお伝えしていきます。

ビジネス英語の本質を探る

ビジネス英語とは何か

「ビジネス英語」という言葉をよく耳にしますが、その本質はなんでしょうか。単純に言えば、それは「ビジネスで使う英語」です。では、ビジネスの現場では、どのような場面で英語を使うのでしょうか。

海外クライアントとの商談、役員会議でのプレゼンテーション、国際チームとのミーティング——。形式はさまざまですが、これらには共通の目的があります。それは「相手を説得する」ということです。商談では自社の製品やサービスの価値を、プレゼンテーションでは自らの提案の有効性を、会議では自分の意見の妥当性を、相手に納得してもらう必要があります。

つまり、「ビジネス英語」とは、本質的に「相手を説得できる英語」なのです。

なぜ定型フレーズだけでは通用しないのか

「海外クライアントからの予期せぬ質問に、言葉が出てこなくなった」
「プレゼン資料は英語で用意できても、質疑応答で途端に詰まってしまう」

こうした経験をお持ちの方は少なくないはずです。では、なぜこのような状況に陥ってしまうのでしょうか。

多くの場合、「ビジネス英語」というと、ビジネスメールの定型文やプレゼンテーションのための洗練されたフレーズ集を思い浮かべます。たしかにこれらは実務では重宝する知識です。しかし、グローバルビジネスの現場では想定外の展開が日常的に発生します。単なる定型句の暗記だけでは、実践的な英語コミュニケーションは困難です。

真に求められるのは、相手の文化や背景を理解した上で、自分の提案や主張を説得力のある形で伝える戦略的なコミュニケーション能力なのです。

説得の核心:体系化された「型」の威力

「日本語なら十分に説明できるのに、英語になると論理が組み立てられない」—この悩みは、ビジネスパーソンから最も多く耳にする声の一つです。

グローバルな商談で提案を通すには、解決策の有効性を論理的に示し、相手に「これなら確実に効果が見込める」と確信させる必要があります。プレゼンテーション、交渉、国際チームでのプロジェクト推進—いずれの場面でも、単なる説明ではなく、相手の納得を引き出す論理の筋道が不可欠です。

じつは、この「相手を納得させる」ための論理展開には、再現性の高い定型パターンが存在します。この型を理解し、実践を重ねることで、予期せぬ質問にも冷静に対応し、自分の主張を確実に通す英語力が身につくのです。

ビジネス英語における「型」の実践

では、具体的にどのような「型」があり、それをどう活用すればよいのでしょうか。ここでは、英語プレゼンや商談で即座に使える、最も基本的かつ効果的な型を、ひとつだけ例にとってご紹介します。

何かを説明するための「型」

「説得の型」の代表例として、「General → Specific」という情報構造化の手法があります。この型を使うことで、混乱しがちな情報提供を整理し、説得力を高めることができます。

たとえば、新規アプリケーションを説明する際、次のように説明してしまうことはありませんか?

「私たちの新しいアプリには自動リマインド機能があって、既存のカレンダーとも同期できます。締切管理の精度が80%向上することが実証されていて、日々の業務管理がとても効率的になります」

このような説明では、聞き手は情報の優先順位や全体像を掴みにくく、要点が分散してしまいます。

一方、General → Specificの型を使うと、こう変わります。

General:「これは日常業務の管理を効率化するアプリケーションです」

Specific:
・自動リマインド機能を搭載
・既存カレンダーとの完全同期
・締切管理の精度が80%向上

この構造により、相手はまず「このアプリが何のためにあるのか」という本質を理解し、その後で具体的な機能を順序立てて把握できます。シンプルな型を意識するだけで、プレゼンの説得力が大きく変わるのです。

説明の型(General → Specific)

さまざまな場面での応用

「General → Specific」の型は、製品説明だけでなく、海外拠点とのミーティング、プロジェクトの進捗報告、新規事業の提案、さらにはチーム紹介まで、ビジネスのさまざまな場面で活用できます。

【チーム紹介の例】

General:「私たちは新製品開発に特化したチームです」

Specific:
・市場動向の徹底的な調査分析
・グローバルパートナーとの協働体制
・年間3製品の安定的な市場投入

このように、どのような内容を伝える場合でも、まず「これは何か」という本質を示してから具体的な実績や特徴を提示することで、相手は情報を整理しながら理解を深めることができます。

ポイントは、細かな情報を列挙する前に、相手の頭の中に「マップ」を作ることです。そうすることで、あとから示す具体的な情報が、それぞれどこに位置づけられる要素なのかを、相手は瞬時に理解できるようになります。

ここまでの型さえ理解できれば、あとは英語に置き換えるだけです。実際の英語でのプレゼンテーションは、このようになります。

General:"We are a team specialized in new product development."

Specific:
・Thorough market trend analysis
・Collaborative framework with global partners
・Stable launch of 3 new products annually

このように、構造さえ押さえておけば、英語での説明も驚くほどスムーズになります。相手は情報を整理しやすく、あなたの伝えたいポイントもしっかりと届くのです。

実践的な型の習得法

「型」習得がもたらす劇的な変化

私はかれこれ40年近く空手の修行を行っています。武道の型には、実戦で活きる重要な要素が凝縮されています。一見、決められた動きの繰り返しに見える型ですが、そこには相手の動きを読み、適切な間合いを取り、力を効果的に使うための英知が詰まっているのです。

ビジネス英語の「型」も同じです。口をついて英語のフレーズが出てくるだけでなく、「何をどの順番で話すべきか」が型によって自動化されることで、スムーズで説得力のあるコミュニケーションを実現し、国際ビジネスを確実に前進させる力となります。

私はこれまで多くの学習者を指導してきましたが、英語の基礎力があっても「説得の型」を知らないために苦戦するケースを数多く目にしてきました。

しかし、この型を習得した方々は、短期間で目覚ましい成長を遂げます。論理的な英語コミュニケーションが可能になることで、自信が生まれ、ビジネスパフォーマンスも向上するのです。

じつは、ここでご紹介した「General → Specific」の型は、ビジネス英語における説得の型の一つに過ぎません。武道に基本型や応用型があるように、ビジネス英語にも、意見を述べる際に説得力を高める「Opinion-Reason」の型や、問題解決を提案する際に効果的な「Problem-Solution」の型など、状況に応じて活用できる型が存在します。

これらの型を組み合わせることで、より複雑なビジネスコミュニケーションにも対応できるようになります。まさに、複数の型を自在に組み合わせることで、あらゆる場面に対応できる武道の達人のようになるのです。

効果的な学習環境の提供

こうした「説得の型」は、体系的な学習と実践を通じて確実に身につけることができます。その効率的な習得の場として、「時吉秀弥のビジネス英語DOJO」を開設しました。

このプログラムでは、各種の「型」を具体的なビジネスシーンに落とし込んだスキット演習やアウトプットトレーニング、当社の海外拠点に在籍するネイティブ講師による定期的な添削指導を通じて、現場で即戦力となる英語力を養成します。海外拠点との添削のやり取りは、それ自体がリアルなビジネスコミュニケーションの実践となり、生きた英語表現も同時に学べる機会となります。

単なるフレーズの暗記ではなく、状況に応じた「型」の選択と応用力を育むカリキュラムにより、10か月で「相手を動かせる英語力」の獲得を目指します。このDOJOは、英語の知識だけでなく、「いかに相手の納得と行動を引き出すか」という戦略的思考を培う場なのです。

DOJOで鍛える「ビジネス英語の型」

「ビジネス英語」の真価は、洗練された表現や ネイティブのような言い回しにあるのではありません。核心となるのは、それらをどう組み立て説得力を生み出すかということなのです。DOJOの説得の論理(型)を活用し、相手の確かな納得を引き出すコミュニケーション力を身につけましょう。

「General → Specific」のような型は、シンプルでありながら驚くほど応用が利き、あらゆるビジネスシーンで効果を発揮します。この型を習得することで、英語は単なるコミュニケーションツールから、ビジネスの成果を生み出す戦略的武器へと進化するのです。

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「時吉秀弥のビジネス英語DOJO」は、この型を軸としたトレーニングを通じて、実践で真価を発揮するビジネス英語力の養成をサポートします。この機会に「説得力のある英語」を身につけ、新たなビジネスステージへの扉を開いてみませんか。

【プロフィール】
時吉秀弥

英語教育者・研究者。神戸市外国語大学卒、米チューレン大学留学。予備校講師として20年以上の指導経験を持つ。日本の認知言語学界の第一人者である西村義樹東京大学教授の下で長年研究し、東京言語研究所にて2010年に理論言語学賞を受賞。現在は(株)スタディーハッカーのシニアリサーチャー兼YouTubeチャンネル「時吉秀弥のイングリッシュカンパニーch」出演。著書に『英文法の鬼100則』『英語脳スイッチ!』(ちくま新書)他多数。自称「英語職人」。

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