英語学習をハックせよ! あなたの英語学習から「ムダな努力」を取り除く”科学的戦略”

英語学習のロードマップ

英語学習において、「努力すること」は目的ではありません。にもかかわらず、多くの人が「努力の量」にとらわれ、本来の目的である「成果」から遠ざかっているのではないでしょうか。

StudyHackerでは、その名のとおり「Study(学習)をHack(効率化)する」をモットーに、第二言語習得研究をベースにした「英語パーソナルトレーニング」のジムを提供しています。その実践から見えてきた発見は、単純明快です――効果的な努力の方向性を知ることが、英語習得の最短ルートを決定づけるということ。

「英語は会話を重ねれば自然と身につく」「語彙と文法を完璧に暗記すれば話せるようになる」「学習量こそが大事」――こうした一般的な「常識」は、じつは日本人の英語上達には不向きなのです。英語圏で暮らす環境と、日本で大人が英語を学ぶ環境は根本的に異なります。

ここでは、言語学や第二言語習得研究をもとに、科学的に裏づけられた「英語学習の戦略」をご紹介します。

これは、日本の社会人が忙しい日々のなかでも着実に英語力を伸ばしていける「登山ルート」。従来の「根性論」や「ネイティブ環境神話」とは異なる、この少し"ズレた"戦略こそが、じつは最短の近道なのです。

なぜ英語学習には効率的な「ルート」がある

英語力が「できる」と言えるようになるまでには、ある程度決まったルートがあります。「文法・語彙の習得」(0合目)から「リーディング・リスニングの強化」(1〜5合目)、そして「スピーキング・ライティング」(6〜8合目)へと順を追うイメージ。いきなり難しい英会話に挑んでも、基礎なしで山頂にワープするようなもの。結果的に遠回りになってしまうのです。

一方で、「次のフェーズに進む前に、前のフェーズを完璧に極める」という必要はありません。テニスで、素振りのフォームを完璧にしてから実戦に臨む……そんな潔癖な学習スタイルではずっと前に進めませんよね。

英語も同じ。基礎知識をある程度押さえたら、リーディングやリスニングを並行し、徐々に重点を移していく。そうやって段階的に、かつ柔軟にスキルを積み重ねていくのが「最短ルート」です。

英語学習の効率的ルート

「英語シャワー信仰」は卒業せよ。英語は「鍛える」もの

まず「ネイティブと話せば自然と英語が身につく」という幻想を捨てましょう。

その理由を説明します。

まず、アメリカやイギリスなどの英語圏は「ESL環境」と呼ばます。その社会において英語が主要言語であり、そのなかで英語を第二言語として使いながら学ぶような環境のこと。当然、膨大なインプット・アウトプットが自然に確保できます。

一方、日本は「EFL環境」。日常で英語がほとんど使われないなかで学ぶ環境です。そのため、同じ「英語シャワー」戦略は成立しにくい。

ここで重要なのが「学習の戦略」と「高負荷のトレーニング」です。

自分がいま、英語学習の道のどのあたりにいるのかを見極め、それに応じた対策を講じることで、圧倒的な近道が見えてくる。「なんとなく英会話に通えば伸びるでしょ」という雑な発想から卒業し、自分に合ったトレーニングを選ぶ。この「学習戦略」が、長期的な時間短縮と成果アップにつながります。

そしてもうひとつ重要なのが、英語はある程度までいくと、「学ぶ」ものから「鍛えるもの」へと変わるということです。

すばやく読むとか、聞き取って理解する、とか、スムーズに話すということは、学ぶこと、たとえば問題集を解いて覚えるというようなことだけでは身につきません。それらは多分に「身体的」な要素を持っているから。身体的なものだから、「学ぶ」ことより、「鍛える」ことが重要である、ということです。

日本はEFL環境です。みなさんの周りは、英語が日常的に飛び交い、英語なしではコミュニケーションができない、という環境ではないはずです。そんななかで、英語のスキルを身につけるためには、「意図的に」負荷をかけたトレーニングが必須です。

そうしないと、やたら時間がかかってしまうことになります。

オンライン英会話をいきなりトライして挫折する初心者

基礎づくり:語彙・文法を「使える」状態に高める

英語学習は、まず「語彙と文法」という基礎知識がなければ始まりません。ただし、ここで立ちはだかる「単語の樹海」をどう突破するかがカギ。単語は星の数ほどあり、すべてを完璧に覚えようとすると挫折することになるでしょう。

受容語彙を増やす:「わかる」から始めるアプローチ

語彙には、「読んだり聞いたりしてわかる」受容語彙知識と、「話したり書いたりすることができる」産出語彙知識があります。産出できる語彙は、受容できる語彙の一部。(下の図参照)

つまり、まずは「読めばわかる、聞けばわかる」単語の範囲を拡大することが先決なのです。英語の文章をある程度理解するには、5000〜1万語レベルの受容語彙が必要とも言われます。この「外側の円」をまず大きくしていけば、やがてそこから「話せる、×」という産出語彙が自然と増えていきます。

高速反復の効果:瞬時認識で読解力を上げる

「知っている単語」と「使える単語」は違います。たとえば「2〜3秒考えないと意味が出てこない」状態では、リアルな読解や聴解のスピードには追いつけません。目標は「見た瞬間に意味が浮かぶ」レベル。

これにはアプリを使った高速反復が効果的。20〜50語を1セットにし、一気にざっと発音と意味を確認。その後、英単語だけを表示させて意味を思い出してみてください。わからなければ即意味を再チェック。これを何周も回していく。

単語帳から「わかるもの」を除外していくやり方より、わかる単語も含めて全体をぐるぐる回したほうがいいんです。これは、50語を回しているうちに、「忘れる」が生まれるから。

脳は、忘れかけたものを思い出したときに、記憶を定着させていきます。これは「出力依存」と呼ばれる働き。この働きを利用することで、長期間に渡って単語を覚えておきやすくなるのです。

文法は感覚で:ネイティブの処理方法を学ぶ

文法は「公式暗記」的に形を覚えるより「ネイティブがどうとらえているか」を感覚でつかむほうが近道です。これを「認知文法」といいます。

たとえば「be動詞」は「いまから説明するよ」の合図。"Taro is a boy."なら、「Taroに『少年』という属性を付加する」イメージです。

"Taro is eating sushi."なら、「Taroに『寿司を食べている状態』を付加する」だけ。学校で習った文型が違うとしても、ネイティブ的には同じメカニズムで処理しています。

こうした感覚的な理解を得ると、逐一訳さずに頭のなかで「英語のまま」英語を処理でき、スピードアップにつながります

パターンプラクティスをする女性

読解力強化:「前から読む」で速度を上げる

チャンクリーディングの威力:和訳なしで理解する

英語の文にはチャンクと呼ばれる「意味のかたまり」があります。一語一語読むのではなく、意味のかたまりごとに区切り、前からどんどん理解していく。これがチャンクリーディングというものです。

たとえば、こんな文があるとします:

My brother is playing baseball with his friends in the park.

これを以下のようなチャンクで理解します:

My brother is (私の兄は)

playing baseball with his friends (友達と野球をしている)

in the park (公園で)

一語一語訳しながら読むと時間がかかりすぎる。でも、全部まとめて処理するには文が長すぎる。だからチャンク(かたまり)ごとに処理していくことで、自然に読解速度が上がっていきます。

これをトレーニングをすれば、和訳に戻ることなく自然に読解速度が上がっていきます。

音読の科学:なぜ声に出すと読むのが速くなるのか

そして特に「速く読む」ことに意外なほど効くのが「音読」。英語の文を読むとき、私たちの脳内では、

目で文字を捉える→脳のなかで音にする→脳のデータベースを照合→意味を探し当てる

というプロセスが起こっています。

この、「文字を音にする」ということの負荷を意図的に引き上げるのが「音読」です。音読を行なうと、正しい発音やリズムが身についていき、音への変換がスムーズになります。結果として、黙読も含めたリーディングが高速化するのです。

「音読?」と思うかもしれませんが、発音練習はリーディングスキル向上を裏から支える要素。カタカナ発音のままでは、頭のなかで情報処理がもたつきやすい。できる範囲で英語らしい発音に近づけるだけでも、理解スピードは確実に変わります。

さらに、この音読は「意味がわかっている文」で行なうのがポイント。賢明な読者の方はお気づきでしょう。先ほどのプロセスで、音に変えたあとどうしていたでしょうか? 

そう、「脳内のデータベースに照合」でしたね。当然、脳内に「意味」がそもそも存在しないと空振りするわけです。

音読は、音に変えて照合するスピードを高める活動ですから、既に知識(データ)がある=意味がわかっている、ということが重要なのです。

柔らかい表情で音読する女性

リスニング強化:効率的な耳作りの手順

リスニング力をアップさせるには、ひたすら聞き込むこと。そんな量に頼るやりかたはやめましょう。「聞き取れない理由」を押さえ、適切に取り組めばリスニングこそ、もっとも伸ばしやすい技能です。

ディクテーションで音の理解を深める

まずは細かい音の聞き取りから見ていきましょう。

みなさんは、英語を聞いて「速くて聞き取りにくいな」とお感じになったことはありませんか? じつはこれ、必ずしも正しいわけではないのです。

リスニングができない本当の理由。それは「英語特有の音声変化」に馴染んでいないから。

英語のネイティブスピーカーは、必ずしも「正しい」音で発音しているわけではありません。音が速いのではなくて、「違う」のです。想定していない「違う」音で発音されたら、聞き取れるはずがありませんよね。

日本語でも「ありがとうございました」を「あざした!」とか、「こんにちは」を「ちわ!」とか言ったりすることがあります。乱暴にいうと、それと同じようなことが英語でも起こっています。

そういう現象を「音声変化」と言います。この音声変化、じつは5つのルールを覚えるだけで格段に理解度があがります。

  • 連結(あとの単語とくっついて発音される)
  • 同化(found you → founju)
  • ら行化(Saturday → Saraday)
  • 脱落(every night → evri naiッ)
  • 弱形(be動詞や前置詞を弱く短く発音する)

これらを理解し、ネイティブに近いリズムで発音できるようになれば、聞き取るハードルが一気に下がります。

これをマスターするのに有効なトレーニングは「ディクテーション」と呼ばれるもの。音源を聞いて、それを書き取るというシンプルなトレーニングです。

書けないところ=聞けなかったといころ、となりますから、聞けない理由を音声変化に当てはめて分析。あとは、それを意識しながら発音練習をすれば「音声変化していて聞き取れない」という問題は比較的簡単に、解決します

シャドーイングで自動化:脳の処理速度を上げる

次に、どんどん音が流れてきて理解が追いつかないという問題にフォーカスします。

これは、そもそも脳が音の連続的な処理の負荷に耐えられていない状態です。これを解決するには「シャドーイング」というトレーニングがとても有効です。

シャドーイングとは、流れてくる音をワンテンポ遅れて発音する、という練習です。

つまり、シャドーイングは、「聞き取る」ことと「声に出す」ことを同時に行なうことになります。普通に聞いている時より負荷が高くなるのです。

この負荷の高さは、リスニングの「自動化」に繋がります。自動化とは、それ(ここでは、聞くことですね)を意識しなくても、自然とそれができてしまう状態のことです。

普通に聞くより負荷が高い方法をとることで、時短で効果が得られるということですね。これ、筋トレ的ですよね。普段持たない、持つ必要もないような思い持ち上げることで、筋肉がもりもり発達する。そんなイメージです。

相手の英語を聞き取っている

効率化の秘訣:完璧を目指さない勇気

「前置詞はinかatか」「冠詞はaかtheか」と細部にこだわって立ち止まるのは非効率的。言語はある程度の曖昧さを許容するものです。大筋が理解できれば先に進んでOK。

量をこなしていくなかで「あれ? ここはinだとなんか変だな」といった感覚が自然に磨かれていきます。「全部完璧にしてから次へ」の潔癖主義は、学習スピードを著しく落としてしまう。むしろ「雑なまま前へ進む」勇気こそが大人の英語習得には必要です。

完璧は目指さなくてもOK

科学的トレーニングの時代:あなたに最適な学習法とは

第二言語習得研究によって、「どうすれば外国語が身につくのか」というメカニズムはかなり解明されています。独自の奇抜な勉強法や圧倒的努力でなんとかするより、科学的理論に基づく「最短ルート」を使ったほうがずっとスマート。

そしてやはり重要なのが、「鍛える」という意識をもつことです。トレーニングですね。

現在ではさまざまなことがわかっており「科学的なトレーニング」というものが多く見つかっています。筋トレと同じように、「効かせたいところに効果のあるトレーニング」をするということです。

日本という環境で効率的に英語を習得するには、「現在地を把握」「段階ごとの最適トレーニング」「完璧主義を捨てる」を意識しましょう。

StudyHackerの英語パーソナルジムでは、ひとりひとり異なる「現在地」を分析し、その段階でもっとも効果的なトレーニングを、マンツーマンで行なうことで英語学習をHackします。

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頑張っているのに成果が出ないのは、最適でないことに時間を割いているからかもしれません。そんな「回り道」は避けるべきだと考えています。

【プロフィール】
岡 健作(おか・けんさく)

スタディーハッカー 代表取締役社長
1977年生まれ、福岡出身。同志社大学(文学部英文学科)在籍中から英語教育に関わる。大手学習塾の講師・教室長を経て、2010年に京都で恵学社(現:スタディーハッカー)を創業。“Study Smart”(学びをもっと合理的でクールなものに)をコンセプトに、第二言語習得研究(SLA:Second Language Acquisition)などの科学的な知見を実際的な学びの場に落とし込んだ予備校を立ち上げる。予備校で培った英語指導ノウハウを活かした社会人向けの英語のパーソナルジムENGLISH COMPANYを2015年に設立。その他、学びやスキルアップにまつわるアプリ開発なども行なっている。

会社案内・運営事業

  • 株式会社スタディーハッカー

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
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    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
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