社員の英語力を効果的に向上させるコツは?【英語研修導入ポイント完全解説】

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「グローバル人材を育成したいが、社員の英語力がなかなか向上しない……」

このような悩みを抱える人事担当者は非常に多いのが現状です。実際、日本人のTOEIC平均スコアは561点と、ビジネスで活用するには不十分なレベルにとどまっています。社員の英語力が伸び悩む背景には、学習モチベーションの維持や効果的な学習時間の確保など、様々な課題が隠れています。

本記事では、社員の英語力向上が企業にもたらす具体的なメリットと、英語力が伸びない主な理由を徹底分析。さらに、効果的な英語研修の選び方や、社員の英語学習を継続させるためのポイントを詳しく解説します。

英語力の向上は単なる個人のスキルアップだけではなく、海外展開による収益増加など、企業の競争力強化に直結します。たとえ社内で日常的に英語を使う機会が少なくても、適切な研修プログラムと支援体制を整えることで、社員の英語力は着実に向上します。

外国籍の社員とのコミュニケーション力も高まるため、海外展開を推進する企業にとっても英語は必須のスキルといえるでしょう。外国人部下とのコミュニケーションにも役立つので、外国人部下を効果的にマネジメントするコツ を知りたい方にも、ぜひ参考にしてみてください。

 

【この記事はこんな方におすすめ】

  • 社員の英語力向上に課題を抱える人事・研修担当者や管理職の方
  • グローバル展開を推進中で組織全体の英語力強化を必要としている企業の方
  • 限られたリソースで効果的な英語研修を導入し、投資対効果を最大化したい経営層・マネジメント層

社員に求められるビジネスレベルの英語力とは?

ビジネスシーンで活用できる英語力を客観的に測る指標として、多くの企業がTOEIC©️Listening & Reading(以下、TOEIC)のスコアを活用しています。一般的には、TOEIC 700~800点程度あれば、日常的な会話や基本的なメール対応、会議やプレゼンテーションなど、ビジネス上の英語コミュニケーションをおおむね円滑にこなせるとされています。

ビジネスで求められる英語力の目安

TOEIC 700点台 社内でのやりとりや簡単なプレゼンテーション、メール対応は問題なく行なえるレベル。細かいニュアンスや専門的な内容を伝える際に若干の苦労があるものの、基本的には業務上のやりとりに支障はありません。

TOEIC 800点以上 ビジネスにおける複雑なテーマでのディスカッションや交渉、より専門的な資料の読解なども対応できるようになります。会議での発言量やプレゼンテーションの説得力も向上し、国際的なビジネスシーンで活躍しやすいといえます。

一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会のPROFICIENCY SCALE

TOEICプログラムを運営する一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が公開する「PROFICIENCY SCALE」では、英語力をA~Cまでの段階にわけています。以下はごく簡単な目安ですが、詳細は公式資料を参照してください

TOEICスコアに基づく英語の習熟度レベル

たとえばCレベルに相当するスコア帯であれば、基本的なやりとりはこなせるものの、会議で積極的に発言したり、英語圏の取引先と交渉したりするにはもう少し力を伸ばす必要があります。企業が社員の英語活用を促進するには、最低限CレベルからBレベルへの向上を目指すケースが多いでしょう。

スピーキング力を客観的に測定することも重要

TOEICは英語力を測る上で有用なテストですが、測定するスキルがリスニングとリーディングであるため正確なスピーキング力を測るにはVersant Speaking & Listening等を活用してスピーキング力を客観的に測るのがおすすめです。実際のビジネスシーンでは、読み書きだけでなく即時的な英語でのスピーキングスキルが求められるケースが多いためです。

実際、VersantはTOEICスコアとVersantスコアの関連を調査しています。

TOEICスコアとVersantスコアの相関関係を示すグラフ
VERSANT日経スコア活用 BOOKより

グラフから見てわかるとおり、TOEIC900点以上の方でもVersantのスコアが低い人もそれなりにいることが伺えます。

TOEIC700~900のレンジでみると多くの受験者はA2レベルのスコア帯にいることがわかります。つまり、TOEICの点数が高いからといって、スピーキング力が必ずしも高いわけではないことが読みとれます。

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社員の英語力向上が必要な理由

グローバル化が加速する現代ビジネス環境において、英語力は単なる個人スキルではなく、企業の成長戦略に直結します。TOEIC運営元であるIIBCが公開している法人向けのホワイトペーパー(以下、TOEICの法人向けWP)のデータは、英語力向上の重要性を明確に示しています。

今後のビジネスパーソンに最も必要なスキルは「英語」

TOEICの法人向けWP(P3)で「今後必要なスキル」について企業・団体にアンケートをとった結果、「英語(リスニング・スピーキング・ライティングなど)」が最多回答となりました。ビジネスのボーダレス化が進む現代において、英語はまさにグローバル共通言語として不可欠なスキルなのです。

同時に「社員に不足しているスキルは何か」という問いにも、同様に「英語」が最多回答となっていました。つまり、企業側は「英語力が必要」と強く認識している一方で、実際には十分に英語を使いこなせる社員が圧倒的に不足しているという現状があるのです。

2023年の日本人のTOEIC平均スコアは561点

さらに、IIBCの発表によると、2023年の日本人のTOEIC平均スコアは561点。この点数は基礎的な英語力がある程度身についていると考えられますが、ビジネスシーンでの活用となるとまだ心もとないレベルです。TOEIC 700点前後をビジネス初級~中級レベルとする場合、平均的な日本人ビジネスパーソンは、もう一段のステップアップが必要な状況といえるでしょう。

TOEICの法人向けWP(P7)によると、多くのビジネスパーソンが「英語で挨拶ができる」「英語でメールのやりとりができる」「簡単な業務連絡ができる」と回答しているものの、これはあくまで初中級者レベルにとどまることが多いという実態も指摘されています。さらに「英語を話せない」と回答した層が13.7%も存在するため、組織によっては英語研修や教育体制の整備が不可欠といえます。

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社員の英語力が向上しない5つの原因

せっかく英語研修を導入しても、社員の英語力が期待通りに向上しないケースは少なくありません。ここでは、TOEICの法人向けWP(P8)で挙げられている「ビジネスパーソンが英語力向上において抱えている課題」をもとに、英語学習が進まない主な原因と解決策を詳しく解説します。

多くの社員は以下のような要因によって学習を継続できずに挫折したり、そもそも効果的な学習に着手できなかったりしています。

  • 英語学習のモチベーションが続かない
  • 英語を学ぶ時間を十分に確保できない
  • 効果的な英語の学び方がわからない
  • 英語を実践する機会が社内で少ない
  • 英語研修の内容が社員のニーズに合っていない

 

社員個人の意欲ももちろん重要ですが、企業として学びやすい環境を整え、継続的なモチベーション向上策を講じることが不可欠です。

1. 英語学習のモチベーションが続かない

TOEICの法人向けWPによれば、「英語力の向上が評価につながらない」「業務で英語を使う機会がほぼない」という理由から、学習意欲の維持が難しいという回答が多く見られます。英語学習に挫折した経験がある社員や、もともと英語が苦手・好きではない社員ほど、学習に対するハードルは高くなります。

特に英語初心者・初級レベルの社員は、基礎学習に時間がかかるうえに「すぐには業務で役立たない」と感じやすいものです。英語力向上を評価に直結させる仕組みづくりや、小さな成功体験を積み重ねられる工夫が不可欠といえるでしょう。

2. 学習時間を十分に確保できない

英語力を効果的に伸ばすためには、インプットとアウトプットの双方を継続的に行なう必要があります。しかし、TOEICの法人向けWP(P9)によると、ビジネスパーソンの平均学習時間は週4時間、1日あたりわずか34分ほど。忙しい社会人にとって、まとまった学習時間を確保するのは容易ではありません。

特に家庭をもつ社員や、残業が多い部署に所属する社員は、帰宅後の限られた時間を家事や休息に充てる必要があります。短時間でも効率的に学べる環境を整備することが、社員の英語学習を促進する重要なポイントになるでしょう。

3. 効果的な英語の学び方がわからない

英語学習の意欲があっても、「どのように勉強すればよいかわからない」という声は少なくありません。たとえば、効果的な目標設定の立て方や具体的な学習計画の組み方、効率的なアウトプット方法など、学びのプロセスは人によって適した方法が異なります。

自己流で手当たり次第に勉強をしていると、成果を実感しにくく、やがてモチベーションの低下を招きがちです。まずは正しい学習法のレクチャーや、社員が自分の苦手分野を客観的に把握できる仕組みを整えることが大切です。

4. 英語を実践する機会が社内で少ない

英語学習を継続するには、習得した英語を実践する機会があるかどうかが大きなポイントです。英語は「使わないと忘れてしまう」典型的なスキルといえます。特に、社内に英語を使う部署がほとんどない場合や、海外拠点とのやりとりが限定的な場合、アウトプットの場をつくりづらく、上達を実感しにくいのが実情です。上達を感じられないほど、モチベーション維持が困難になります。

5. 英語研修の内容が社員のニーズに合っていない

企業が英語研修を実施しても、必ずしも社員の英語力が向上するとは限りません。たとえば、英語の基礎力である語彙や文法の知識が不足している状態でスピーキング偏重の研修を行なうと、スピーキングの場面で思うように話せず、社員が苦手意識を強める可能性があります。

一方でTOEICのスコアアップだけを目指すあまり、実践的な英語を話す機会がほとんどない研修になってしまうケースもあります。こうなると「読む・聞く」力は伸びても「話す・書く」力までは身につかず、結局ビジネスシーンで役立てるレベルに到達できません。

さらに、研修の効果検証が十分でないまま漫然と続けていると、コストだけがかさみ、社員のモチベーションも低下しがちです。企業としては、受講後のフィードバックや効果測定をしっかり行ない、必要に応じて研修内容の改善や追加サポートを検討することが大切です。

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社員の英語力を効果的に向上させる2つの重要ポイント

社員の英語力を確実に向上させるには、質の高い研修プログラムの選定と、学習を継続するための包括的なサポート体制の構築が重要です。ここでは、企業が取り組むべき具体的なアプローチ方法を紹介します。

1. 効果的な英語研修プログラムを厳選する

社員の英語力を効率的に伸ばすうえで、研修の質と内容は成果に大きく影響します。まず重要なのは、社員のレベルと目的に合った研修を選ぶこと。初級者層には英語の基礎力強化、中上級者には実践的なビジネス英語など、習熟度に応じた内容を提供しないと学習効果が得られず継続も難しくなります。

また、研修会社の選択肢が多い場合は、自社の予算や研修期間、業務特性に合ったコースを慎重に選定することが重要です。講師の質や指導方法、社員が意欲を維持しながら続けられるカリキュラム設計かどうかも、事前にしっかり確認しましょう。

さらに可能であれば、自社の業種・職種に合わせてカスタマイズ可能な研修を選ぶと、学習効果がより高まります。たとえば、特定の業界用語や実際の業務シーンに基づいたケーススタディを組み込み、社員が研修内容を仕事にすぐ活用できるように設計しておくと効果的です。

法人向け英語研修サービス ENGLISH COMPANY for biz 累計受講者数が28,000名以上、法人導入企業数が260社以上のENGLISH COMPANY for bizでは研修ニーズやご要望に合わせた多様なプランを用意しており、目的・期間・予算に応じて研修内容をカスタマイズすることも可能です。受講生一人ひとりの課題を詳細に分析し、英語教育のプロフェッショナルが最適な学習をサポート。インプットと呼ばれる「読む・聞く」とスピーキングやライティングのアウトプットのバランスをとりながら、社員の英語力を効率的に伸ばすことが期待できます。

2. 社員の英語学習継続を組織的にサポートする

英語力を確実に伸ばすには、研修だけで完結させるのではなく、日々の英語学習を習慣化することが不可欠です。研修が終われば学習も終わり、という状態だと、せっかく習得した知識やスキルはすぐに薄れてしまいます。そこで企業としては、「途中でやめさせない仕組みづくり」を整備することが非常に重要です。

具体的には、明確な目標スコアの設定や詳細な学習計画のサポート、人事評価へのTOEICスコアの組み込みなど、学習継続のための動機づけを明確にするとよいでしょう。また、ノー残業デーを設定し、社員が学習時間を確保できる環境づくりも効果的です。

ENGLISH COMPANY for biz なら、学習継続しやすい環境を構築 。一般的な英語コーチングサービスでは1日あたり3時間以上の学習時間を求められることが多く、多忙な社員には大きな負担となる場合があります。一方で、ENGLISH COMPANY for bizでは「目標達成に本当に必要な学習」に絞り込むことで、1日1〜1.5時間の学習時間でも大きな成果を出せるのが大きな特徴です。

また、科学的アプローチである行動科学マネジメント®の手法を取り入れ、学習記録を専用アプリで可視化。担当する講師が進捗を徹底管理するため、人事担当者の管理負担も大幅に軽減されます。社員ごとに1日の学習計画を細かくプランニングするため、英語学習の習慣化のハードルを下げることが可能です。

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英語研修導入時に注意すべき4つの重要ポイント

いざ英語研修を導入するとなると、研修会社の選定やスケジュールの設計、進捗管理など、検討すべき事項が多数あります。以下のポイントを押さえておくと、研修効果を最大限に引き出し、投資対効果の高い英語研修を実現できるでしょう。

1. 英語研修の目的とゴールを明確に設定する

最初に、「なぜ社員の英語力を伸ばす必要があるのか」という研修目的を具体的に定義することが重要です。ターゲットとなる社員層(新入社員・中堅社員・管理職など)や、どの部門で優先的に英語力を高めたいのかを明確にしましょう。さらに、TOEICスコアの向上目標や受講後の業務改善指標など、数値化可能な目標(ゴール)を設定しておくことで、研修の効果測定も容易になります。

2. 上司や管理職の協力を積極的に得る

英語研修は、受講生本人のモチベーションだけでなく、上司からの継続的なサポートによって学習効果が大きく変わります。特に、忙しい業務を抱える社員ほど、上司からの定期的な声掛けや励ましがあると研修を継続しやすくなります。研修後に業務で英語スキルを活用できた場面では、成果を適切に評価し、ほめることで、さらにモチベーションを高められるでしょう。受講生の周囲を戦略的に巻き込みながら支援することが、研修成功の重要な鍵となります。

3. 長期的な視点で英語力向上に取り組む

英語力は短期間で劇的に向上するものではありません。短期集中型の研修にも一定の効果はありますが、ビジネスレベルの英語力を定着させるには、少なくとも半年以上の中長期的なスパンを見据えた取り組みが重要です。「今期中に一定のスコアアップを目指す」など期限を設ける場合でも、現実的で無理のない計画を立て、徐々に成果を実感できるようにしましょう。

4. 研修会社の体験レッスンを積極的に活用する

研修会社によっては、体験レッスンや説明会を無料で提供しているケースも多くあります。講師の教え方や研修の進め方、使用教材などが自社の社員に適しているかどうかは、実際に試してみないと正確に判断できません。受講予定の社員にも体験レッスンを受けてもらい、率直なフィードバックを収集することで、研修選定のミスマッチを未然に防ぐことができます。

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社員の英語力向上は組織的な取り組みで実現する

社員の英語力を効果的に向上させるには、質の高い英語研修の導入と、組織全体で学習を継続的にサポートする体制構築が不可欠です。英語力が伸び悩む原因を正確に分析し、社員の現状レベルや業務ニーズに合った最適なカリキュラムを選定することで、学習意欲の維持や業務への確実な定着が期待できます

まずは、英語研修の目的・達成目標を具体的に定め、自社の業務特性や社員の英語レベルに合わせた最適なプランを慎重に検討しましょう。英語力は一朝一夕で身につくものではありませんが、適切な支援体制と継続的な取り組みによって、確実に向上します。社員の英語力向上は、企業のグローバル競争力強化と収益拡大に直結する重要な投資なのです。

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