職場の「フレネミー」攻略法。敵でも味方でもない相手との正しい距離の取り方

フレネミー

あなたのそばに、こんな行動が見える人物はいますか?

一緒に仕事をするときは協力的なのに、見えないところでは、あなたの成果を自分の手柄のように上司へ報告していたり、あなたにとって不利な方向で勝手に話を進めていたり……。

モヤモヤしますよね。

このような人物のことを「フレネミー(frenemy)」といいます。「Friend(友人)」と「Enemy(敵)」を組み合わせた造語で、友人と敵の両方の特徴をあわせ持つ人を意味します。*1 2015年には「ユーキャン新語・流行語大賞」の候補にノミネートされているので、ご存じの方も多いかもしれません。

こうした関係はストレスの原因になりますが、見方を変えれば、自身の成長を促すきっかけにもなります。この関係性に悩まされているなら、ぜひ現状打破のヒントにしてみてください。

フレネミーは昔からいた?

「フレネミー」を、ネット由来の若者言葉と思う方も多いのではないでしょうか。しかし実際には、アメリカ合衆国カンザス州ノートン市で発行された1891年12月17日号の『Champion』紙に、すでにこの言葉が掲載されていました(「オックスフォード英語大辞典」より)。*1

つまり、130年以上も前に「フレネミー」の概念の原型があったのです。それだけ長いあいだ、フレネミーという存在は身近にいて、私たちはそれと共存してきた(せざるをえなかった)ということです。

いまこそ向き合い、攻略法を見つけましょう。

攻略

フレネミーが心理的負担になりやすい理由

フレネミーとの関係が難しいのは、「親しさと違和感(または敵意)」が同時に存在するためです。心理学では、このような相反する感情が共存する状態を「アンビバレント(両価的)な関係」と呼びます。ポジティブとネガティブが同居するこの関係は、その複雑さが心理的な負荷につながると指摘されています。*2

味方だと思っていたのに裏切られたら、精神的ダメージが大きくなるのは当然のこと。また、フレネミーの存在は「いまは褒めているが、このあとどこで、どう裏切るのか」と予測不能で、常に気を抜けません。そうした慢性的な緊張感が続いたら、神経がすり減ってしまうでしょう。

つまり、完全に敵である関係よりむしろ、「フレネミー」はタチが悪いということです。

フレネミーは必ずしも悪い存在ではない

ただ一方で、職場のアンビバレントな人間関係に関する、こんな研究報告もあります。*3

  • 相反する行動の促進 同僚に対して「好き・嫌い」「信頼・不信」といった割り切れない感情を抱いている場合、相手を「手助けする行動」と「足を引っ張る行動」の双方が高まる。
  • 親和目標による増幅 周囲や相手と良好な関係を築きたい、仲良くしたいという強い対人目標(親和欲求)をもっている人ほど、感情の揺れが大きくなり、結果として「手助け」と「足を引っ張る」どちらの行動もより強く引き起こされる。

つまり、フレネミーは人一倍足を引っ張ることもあるけれど、人一倍助けてくれる可能性もあるということ。このフレネミーがもつ強いエネルギーは、適切なアプローチさえとれば、自身の成長を加速させる強力なエンジンへと転換できるかもしれません。

でも、その "適切なアプローチ" こそが難しいんですよね……。そこで、フレネミーとの関係を前向きに活かす、2つのポイントをまとめました。

フレネミーとの関係を前向きに活かす2つのポイント

今回紹介するのは、今日から誰でも実践できる、シンプルな2つのアプローチです。

1. 脳のバグを防ぐ「分割ノート」

フレネミーに翻弄される原因のひとつは、頭のなかで「相手の行動(事実)」と「自分の感情」が混ざり合ってしまうことにあります。これを防ぐために、事実と感情を分離させましょう。

やり方は簡単です。事実を書いたら、それを丸で囲みます。そこに感情は入り込めません。感情はその丸の周囲に書き、因果関係は矢印で示します。たとえば、このような感じです。

ノートに手で書いた分割ノート

  • 丸の中【事実(Fact)】 例)「私の前では賛同していたのに、見えないところで私の企画のデメリットを指摘していたらしい」
  • 丸の外【感情(Emotion)】 例)「無理がある発想だって……!? 本当にムカつく!」

感情がどんなにあふれても、書くのは丸の外なので、混ざり合うことはありません。

分割ノートのシミュレーション

出来事をノートに構造化して書く作業は、「メタ認知」を強制的に働かせます。脳内だけで処理しようとすると感情が事実を歪めてしまいますが、紙に書き出して外化することで、客観性が生まれるはずです。

なにしろフレネミーは、「手助け」のターンと「足を引っ張る」ターンを予測不能に繰り返します。「事実」と「感情」を物理的に切り離す作業は、脳の認知負荷を下げてくれるでしょう。

2. 主導権を握る「2つのシンプル行動」

「感情のコントロール」には時間がかかりますが、「行動のコントロール」は今日からでも可能です。全面降伏(我慢して仲良くする)でも、全面戦争(敵対する)でもない「部分協働」というスタンスを取ることで、相手の「手助け」のメリットだけを都合よく引き出せるかもしれません。

そのための、2つのシンプル行動はこちらです。

行動① 目的(タスク)だけを会話の主語にする

前出の研究報告にあったように、フレネミーはライバルであると同時に、「優れたサポーター」になりうるエネルギーを秘めています。そのためにも、フレネミーとの会話では、共通のビジネスゴール(課題)だけを中心に据えましょう。

  • 「このプロジェクトの納期を動かすには?」
  • 「目標数値を達成するには?」
  • 「過去のデータから見える最適な手段は?」

こうすることで、あなたと競争するより協働するほうが得だと、フレネミーに印象づけていきます。

行動② 相手の強みを「教材」として利用する

相手への人間的な好悪は横に置き、「自分の戦闘力を上げるための無料の教材」として、徹底的に利用してしまいましょう。たとえば、こんな感じです。

  • 「あの人の根回し力すごすぎ」→(具体的な記録)
  • 「あのプレゼン技術は盗もう」→(具体的な記録)
  • 「クライアントを説得したロジックは次の商談でコピー」→(具体的な記録)
  • 「相手の懐への入り方、情報の引き出し方」→(具体的な記録)

この蓄積は、相手を知るための貴重な資料にもなりうるはず。また、客観的な観察は、自分の感情をコントロールし、冷静さを取り戻す助けになります。

こっそりスキルを盗んで、相手を知り、冷静さも手に入れる。

これなら一石三鳥です……!

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複雑な人間関係は面倒ですよね。しかし、さまざまな人間が交差する職場では避けられません。それならいっそのこと、自身の成長につながる機会として見直してみましょう。

あなたには、向き合い方を選ぶ権利があると考えてください。

相手のスキルをノートに書き留める

よくある質問(FAQ)

Q. そもそも「フレネミー」とはどんな意味ですか?
「フレネミー(frenemy)」は、「Friend(友人)」と「Enemy(敵)」を組み合わせた造語で、友人と敵の両方の特徴をあわせ持つ人を指します。表向きは協力的でも、見えないところで足を引っ張るような相手が典型例です。日本では2015年に「ユーキャン新語・流行語大賞」の候補にノミネートされました。
Q. フレネミーは、はっきりした敵よりも厄介なのですか?
心理的には厄介になりやすいといえます。フレネミーは「親しさ」と「敵意」が同居するアンビバレント(両価的)な関係で、いつどこで裏切られるか予測しづらいのが特徴です。この予測不能さが慢性的な緊張を生み、完全な敵よりも神経をすり減らしやすいと考えられています。
Q. フレネミーとは縁を切るべきですか?
必ずしもそうとは限りません。研究では、アンビバレントな関係にある相手は「足を引っ張る行動」だけでなく「手助けする行動」も強く出やすいとされています。全面対決でも全面降伏でもなく、共通の目的だけを軸にする部分協働のスタンスを取ることで、相手の強みを味方につけられる可能性があります。
Q. フレネミーに感情を振り回されないコツはありますか?
「事実」と「感情」を紙の上で物理的に分ける分割ノートが有効です。相手の行動という事実を丸で囲み、そこに湧いた感情を丸の外に書き出すことで、メタ認知が働き、感情に事実を歪められにくくなります。書いて外化する作業そのものが、脳の認知負荷を下げてくれます。

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部

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