Z世代のマネジメントに悩むあなたへ──世代間ギャップを越え、歩み寄るための3つのアクション

大勢に指示を出す様子を紙人形で表現している画像

「あの若手、なんで指示を出しても動かないんだろう……」

「報連相が少なくて、何を考えているのかわからない……」

会議後のデスクで、あなたはZ世代の若手社員の表情を思い返しています。

  • 伝えた内容に対してリアクションが薄く、理解しているのか確信がもてない
  • 言葉のニュアンスや伝達方法には敏感に反応する場面もあり、対応に迷うことがある

このように「いまどきの若手のマネジメント、正直やりづらい」と感じていませんか?

Z世代のマネジメントに悩むのは、あなただけではありません。

本記事では、Z世代の価値観を理解し、戦略的にマネジメントすることで、組織としての成果を目指す具体的なアクションをご紹介します。

Z世代の「傾向」をマネジメントに活かす

「最近の若手はマネジメントしにくいな……」

こんなふうに、Z世代への戸惑いを口にする管理職の声は決して少なくありません。

その背景には何があるのでしょうか。

まず、簡単にZ世代について整理してみましょう。

◆Z世代(2025年現在で、30歳頃までの若手社員層)とは?

  • 1990年代後半から2010年代前半に生まれた世代
  • デジタル技術やインターネットが日常生活に深く浸透した環境で育った *1

◆Z世代に比較的見られる傾向

  • 社会貢献や持続可能性への意識が高い
  • 「なぜこれをやるのか」を理解してから動きたい
  • ワークライフバランスを重視する
  • 将来への不安が強く、自己成長を望んでいる  *1と *2を参考にまとめた

30~40代の価値観とは異なる点が多く、マネジメントに戸惑うのは自然なことです。

このようなZ世代の傾向を把握し、それをガイドラインとして活かしてみると、マネジメントに手応えを感じられるのではないでしょうか。

ただし、注意すべきなのは「Z世代はこういう性質だ」と決めつけないこと。

同じ世代でも、性格や価値観、育った環境や職場経験によって、行動や考え方には大きなばらつきがあります。

読者のみなさんも「ゆとり世代は競争心がない」「ロスジェネ世代だから根性がある」などと一括りにされて、違和感を感じた経験がありませんか?

Z世代も同様で、実際にはさまざまなタイプがいます。

大切なのは、「Z世代だから、こうするのがいいだろう」と一般化するのではなく、「そうした傾向をもっている可能性がある」という程度にとらえ、あくまでも目の前の相手自身を観察し、対話を重ねていくこと。

それが若手を動かす効果的なマネジメントにつながります。

対話するビジネスパーソンたち

今日から実践できる! 戦略的マネジメントの具体的手法

世代間に価値観のギャップがあるのは必然です。

管理職としては、若手の価値観を理解することが、結果として組織のパフォーマンス向上につながることを念頭に置きましょう。

以下に、管理職がZ世代のマネジメントに取り入れやすい3つの実践例をご紹介します。

1. 指示は「背景・目的」とセットで伝える

「とりあえずこの資料まとめておいて」

「先方には丁寧に対応して」

このように指示をしたら、戸惑った顔をしたり、思っていたのとは違う成果物が返ってきたりした経験はありませんか?

背景を説明せずに指示だけを出すと、Z世代には「なぜそれをやるのか」がわからず、納得感をもって動くことがしづらい傾向にあります。

マネジメントに詳しい、EVeM代表取締役CEOの長村禎庸氏は、「若手メンバーが、なぜこの業務をやる必要があるのかと理由を問う時、上司世代は『反発されている』と勘違いすることがよくある」が、「メンバーは決して反発しているわけではない。疑問を持ちやすい環境で育った世代にとってはごく当たり前の質問」だと説明します。*2

つまり、指示の背景や目的をセットで伝えることで、管理職が望む成果物をスムーズに得られるようになるのです。

たとえば、以下のように指示を出してみてください。

  • 「この資料は、来週の営業会議で新サービスの方向性を共有するために使います。(目的)要点が一目でわかる構成にしてください。(指示)」
  • 「先方は契約更新を迷っている状況です。(背景)不安を払拭できるよう、これまでのサポート実績や対応の改善を丁寧に説明してください。(指示)」
  • 「この業務を通じて、クライアントの課題を整理する力や提案スキルが身につくはず。(目的)まずは全体像を把握してから進めてみてほしいと思っています。(指示)」

このように背景や目的を共有することで、Z世代は納得感をもち仕事に前向きに取り組むようになります。

その結果、組織として成果をスムーズに得ることができるようになるはずです。

ノートパソコンを見ながら話し合うビジネスパーソンたち

2. 適度な距離感で業務効率を上げる

「お互いをよく知れば、そのぶんいい仕事ができる」――こうした価値観は、多くのビジネスパーソンがもつ自然な発想かもしれません。

しかし、就職・採用アナリストの斎藤幸江氏は、Z世代はそのような考え方に違和感を覚えやすく、「仕事上の付き合い」であると割り切る傾向が強いと述べます。

彼らは「仕事はちゃんとやっているし、気持ちよく対応しているのだから、十分では?」と考えているのです。*3

大切なのは、職場において「相手を知ること」は目的ではないということ。

相手と適度な距離感を保つことで、余計な干渉や感情的な負担を減らし、業務に集中しやすい環境が生まれます。

仕事を円滑に進めるための合理的なマネジメントとして、Z世代とも適度な距離感を保ちながらコミュニケーションをしましょう。

以下のような声かけを参考にしてください。

  • 「この作業、正確ですね。助かりました。」と、業務の成果にフォーカスしたコメントを伝える。
  • ミーティング後に「進行、スムーズでした。次回もこの流れでお願いできますか?」と、業務改善に直結する声かけをする。
  • 雑談を交えるにしても、「最近○○の進め方で気になる点はありますか?」など、業務に関する話題を挙げる。

こうしたやり取りにより、管理職にとってもZ世代にとっても合理的なコミュニケーションが成立します。

「業務に必要な範囲の会話」を丁寧に積み重ねることがZ世代との信頼関係構築に役立ち、ひいては組織としての成果につながるのです。

木の人形で人と人の距離感を表現した画像

3. 「キャリア安全性」をマネジメントに活かす

「適度な距離感を保ち、ハラスメントなどもなかったはずなのに、若手が離職してしまった」

このように人材管理に苦労した経験はありませんか?

この背景には、「キャリア安全性」の不足があるかもしれません。

コミュニケーション改善や主体性発揮に詳しい、Kakedas代表取締役社長の東宮美樹氏によると、キャリア安全性とは「自分のキャリアについて長期間安全な状態でいられると認識できるかどうか」という概念のこと。*4

そのため、マネジメントにおいては業務指導だけでなく、キャリアの見通しや役割の意義を言語化し、定期的に伝えることが求められます。

このことで、若手のエンゲージメントが高まり、離職リスクの低減や安定した人材確保につながるのです。

  • キャリアについての対話の機会を意識的に設ける

1on1で「どんなスキルを伸ばしたいか」「今後やってみたい業務はあるか」などを定期的に確認することで、若手に「ここでの成長イメージ」を描かせることができます。

  • 組織で得られるスキルや経験を言語化する

過去に在籍した社員のキャリアパスや、習得したスキル・資格などを一覧にすることで、組織の一員としてキャリアを積むイメージや、業界で通用するイメージを抱かせることができます。

  • 適切に裁量のある仕事を任せる

「あなたの判断を信じている」「この経験は今後に必ず役立つ」と伝えることで、期待されている実感とキャリア形成の手応えを抱かせることができます。

若手に対して「キャリア形成を支援する意思がある」と明確に示すことは、単なる配慮にとどまらず、長期的な人材確保と組織の生産性維持につながる重要なマネジメント施策なのです。

笑顔で対話するビジネスパーソンたち

***
業務を円滑に進め、組織として最大の成果を挙げるために「相手の思考やスタイルを理解しようと努める」ことはマネジメントの一環です。

若手の価値観を理解することは、管理職の意図を浸透させ、組織のパフォーマンスを向上させることにつながります。ぜひ、Z世代のマネジメントを前向きにとらえてみてください。

※引用の太字は編集部が施した

【ライタープロフィール】
柴田香織

大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。

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