言語化能力が高い人が必ずやっている|ビジネスで使えるインプット&アウトプットの基本

言語化スキルを活かして会議で自分の意見を伝え合うビジネスパーソンの男女

会議で自分の意見がうまく伝わらない。
企画書を書いても、上司から「結局何が言いたいの?」と返される。
部下への指示が曖昧になり、期待した成果物が上がってこない。

こうした悩みの根本には、「言語化」のスキル不足があります。

「マーケターのように生きろ」の著者、井上大輔氏は言語化について下記のように述べています。

①事象・具象(世の中のできごと)をよく観察すること。そこから、②複数の事象の共通点を見つけ出し、③話を伝える相手のことをよく理解して、④相手にわかりやすく表現する。

(引用元:AdverTimes|言語化ブームからマーケターは何を見るべきか?【Adver Times Day 2019 Spring】

つまり「言語化」とは、単に頭で考えていることをそのまま言葉にするだけではなく、物事を自分なりに噛み砕いて相手に伝えるまでの一連の流れを指す技術なのです。

本稿では、ビジネスパーソンが言語化能力を高めることで得られる具体的なメリットと、明日から実践できるトレーニング方法を解説します。

「言語化」がビジネスにもたらす3つのメリット

【メリット1】プロジェクトの軸がブレなくなる

新規事業の立ち上げ、中長期の戦略立案、あるいは日々の企画業務。
いずれにおいても、最初に掲げたコンセプトや目的が、プロジェクトの進行とともに曖昧になっていく経験はないでしょうか。

人間の記憶は非常に忘れやすいものです。
どういった企画にしたいか、どのように進めていこうかと考えているうち、最初のテーマからかけ離れてしまっていた……ということは意外と多くあるのではないでしょうか。

この場合、言葉として見える形で残しておくことで、思考のスタートからゴールまでを一貫してたどることができます

言語化された情報は繰り返し参照できるため、プロジェクトの「軸」が組織全体で共有され、意思決定の一貫性が保たれるのです。

【メリット2】自分の思考を客観視できる

思考や感情を客観的に把握することは、ビジネスにおいて重要な視点です。
言語化を通じて視覚化する方法のひとつに、「筆記開示」があります。

たとえば、上司に叱られてイライラしてしまったとき。
ひと呼吸おいて「なぜ私は上司にイライラしているのか」と紙に書き出し、その理由についても書いてみます。
そうすれば、「自分はこんなことを考えていたのか」と、感情を客観的に捉えることができるようになるというわけです。

ペンシルバニア州立大学で生物行動学の教授をしているジョシュア・スミス氏らの研究チームによれば、トラウマ体験の筆記を通して、その体験を肯定的に見ることができるようになるという結果が示されています。

「つらい」「悲しい」といった感情を抱えているとき、「〇〇がつらい」「〇〇だから悲しい」などと言葉に起こして視覚化することで、「自分が真に何を考え感じているのか」を冷静に捉えることができます

重要な意思決定の前に、「なぜ自分はこの選択をしようとしているのか」「どんな感情がこの判断に影響しているか」を書き出してみる。
このシンプルな習慣が、より合理的な判断を可能にします。

【メリット3】要約力が身につく

言語化を普段から行なうようにすると、要約力も身についてきます。

要約力とは、「ひとことで表現できる力」です。
自分の考えや感情を自分自身が理解していなければ、相手へ正確に伝えることはできません。
頭のなかにどれだけ良いアイデアが浮かんでいたとしても、きちんと整理して表現できないと、相手にはうまく伝わらないのです。

さまざまなメディアで国語力やコミュニケーションについて説いている明治大学文学部教授の齋藤孝氏は、要約力の低さがもたらす結果について、自身の著書『子どもに伝えたい<三つの力>』内で次のように述べています。

対話力やコミュニケーション能力の根本をなすのは、要約力である。対話が不毛になる原因のもっとも大きなものは、要約力の低さであると私は考えている。

(引用元|齋藤孝 (2001),『子どもに伝えたい<三つの力>』, NHKブックス.)

自分の考えすべてをそのまま相手に伝えると、結局何が言いたいのか相手はわからなくなってしまいます。
その状況を改善するには、言語化能力を駆使した要約がとても役立つのです。

言語化のためにノートを手に思考を整理するビジネスパーソン

「言語化」ができるようになる、効果的な方法とは?

インプット|「言葉の引き出し」を増やす

言語化が苦手な人に共通するのは、語彙力の不足です。
頭のなかにあるイメージを適切に表現する言葉を持っていなければ、アウトプットの精度は上がりません。

南カリフォルニア大学の言語学名誉教授Stephen Krashen氏が提唱した「ナチュラル・アプローチ」理論では、理解可能なインプットを十分に積み重ねることが、言語習得の土台になるとされています。

ビジネス書、業界レポート、優れたプレゼン資料など、質の高い言葉に触れる機会を意識的に増やしましょう

アウトプット|「5W1H」で思考を構造化する

グロービス・マネジメント・スクールの講師を務める渡邉光太郎氏は、思考を整理するフレームワークとして「5W1H思考」を推奨しています。

When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が・誰に)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)──
これらの問いを自分の考えに投げかけることで、曖昧な思考が明確な言葉へと変換されます。

たとえば、「売上を伸ばしたい」という漠然とした目標も、5W1Hを適用すれば「来期末までに(When)、国内市場で(Where)、営業部門が(Who)、新規顧客獲得数を(What)、既存顧客の紹介を活用して(How)、前年比20%増とする。なぜなら市場シェア拡大が中期計画の柱だから(Why)」と、実行可能な計画に変わります。

普段から、5W1Hを使って自分の考えを整理したあと、整理できた内容を周囲の人にアウトプットしてみてはいかがでしょうか。
言語化能力の向上が実感できるはずです。

***

今日の会議で感じたこと、読んだ記事の要点、上司へのフィードバック。
身近な場面から、言葉にする習慣を始めてみてください。
言語化能力は、トレーニング次第で誰でも高めることができます。

FAQ(よくある質問)

Q1. 「言語化」とは、結局なにを指しますか?

A. 頭のなかの考えや感情を "そのまま言う" ことではなく、観察 → 共通点の抽出 → 相手理解 → わかりやすい表現、という流れで「相手に伝わる形に変換する」スキルです。

Q2. 言語化ができると、仕事で何が一番変わりますか?

A. 目的や論点がブレにくくなり、意思決定が速くなります。加えて、指示の曖昧さが減るため、成果物のズレ(手戻り)も減ります。

Q3. 言語化が苦手な原因は「頭が悪い」からですか?

A. ほとんどの場合は違います。原因は「語彙(言葉の引き出し)不足」か「思考の構造化不足(何をどう言うかの型がない)」に分解できます。

Q4. まず最初にやるべきトレーニングは何ですか?

A. 一番簡単なのは "書く" ことです。会議後に「何が起きた?(事実)」「何を感じた?(感情)」「次はどうする?(行動)」を3行でメモするだけでも、客観視が進みます。

Q5. 「5W1H」はどう使えば、言語化に効きますか?

A. 自分の考えに対して、When / Where / Who / What / Why / How を順に当てていくと、曖昧な部分(根拠・対象・期限・手段)が浮き彫りになります。最後に1文で要約すると、伝わる形に整います。

Q6. 語彙力(言葉の引き出し)はどう増やせばいいですか?

A. おすすめは「良い言い回しのストック化」です。読んだ記事や資料から "使えそうな一文" を抜き出し、似た状況で言い換えてみる(自分の仕事に置き換える)と定着しやすくなります。

Q7. 要約が苦手で、話が長くなります。コツはありますか?

A. 先に結論を1文で決めてから、理由を2〜3点に絞るのがコツです。「ひとことで言うと? → 理由は3つ → 具体例は1つ」くらいの制限をかけると、自然に短くなります。

Q8. 感情の言語化は、どんなときに有効ですか?

A. イライラ・不安・落ち込みなどで判断がぶれそうなときに有効です。「何が起きたか」「なぜそう感じたか」「本当はどうしたいか」を書くと、感情と意思決定を切り分けやすくなります。

Q9. 効果が出るまで、どのくらいかかりますか?

A. 体感は早い人だと数日〜1週間で出ます。ポイントは "毎回100点を狙わず、短くてもいいので継続する" ことです。

Q10. 言語化で気をつけるべき落とし穴はありますか?

A. 「言葉を飾りすぎる」「情報を詰め込みすぎる」ことです。伝える相手が理解できる前提(知識量・関心・時間)に合わせて、削る勇気を持つほど伝わります。

(参考)

AdverTimes|言語化ブームからマーケターは何を見るべきか?【Adver Times Day 2019 Spring】
日経TECHラーニング|メタ思考のススメ
Psychology Today|Expressive Writing
Joshua Morrison Smyth, Rebecca Helm (2003), "Focused expressive writing as self-help for stress and trauma", Journal of Clinical Psychology, Vol.59, No.2, pp.227–235.
齋藤孝 (2001)『子どもに伝えたい〈三つの力〉』NHKブックス.

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部

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