計画は「約束」ではない。それでも計画を立てる理由と、計画の "正しい使い方" とは

スケジュールが押して困っている女性また計画どおりにいかなかった。いつも目標どおりにいかない。自分はだらしない人間なんだろうか。

そうやって落ち込んでしまう。その裏側には、論理的には「成功者は計画をいつも守る立派な人間である」という考えがあるはずです。でも、研究はまったく逆の事実を示しています。実は計画は、達成されないのが当たり前なのです。

計画は決して「守られる約束」ではない。では、私たちは計画や目標をどう捉え、どう向き合えばいいのか。今日は、目標ということについて考えてみます。

計画は、達成されないのが当たり前

心理学者のビューラーらが、卒業論文に取り組む学生37人に完成日を予測させた実験があります。予測の平均は33.9日。ところが実際にかかったのは平均55.5日で、予測どおりに終えられた学生は約3割でした。*1

しかも、「すべてが最悪に進んだ場合」を想定させた悲観予測の平均は48.6日。最悪を見積もっても、実際にはまだ届かないのです。

この学生たちが特別に甘いわけではありません。同じパターンは、仕事や日常の課題でも繰り返し確認されています。計画どおりにいかないのは、あなたがだらしないからではなく、人間の見積もりがもともとそういう性能だからです。

甘い見積もり

それでも計画を立てるのは、「基準」になるから

守られないとわかっていて、それでも私たちが計画を立てるのは、基準があったほうがいいからです。

そもそも、自分がどこまでやれるかなんて、事前にわかるはずがないのです。その間になにが起こるかわからない。状況は変わるし、体力も変わる。自分の能力のことだって、わかっているつもりでわかっていない。だから計画は「守られる約束」ではなく、考えるための定点、つまり「基準」なのです。

基準があるから、ズレが情報になります。先ほどの実験でいえば、「33.9日」という予測があったからこそ、実際の55.5日が「3週間の見積もり超過」という具体的な情報になりました。予測がなければ、ただ日々が過ぎただけです。

だとすれば、達成までの道のりの本体は、計画を守り抜くことではありません。基準とのズレを測り、直しながら進むこと。軌道修正こそが、達成の本体作業なのです。

達成する人は、毎週「見直し」ている

実際、達成する人は軌道修正を織り込んで動いています。手帳を使った目標達成コーチングを手がける高田晃さんは、STUDY HACKERのインタビューで、どんな計画も初めに立てたとおりに進むことはまずないと述べ、自身も週1回、手帳で目標の到達度を振り返って軌道修正していると語っています。*2

予定の見直し

見直しは挫折の後始末ではなく、達成する人が毎週やっている定例作業なのです。

目標設定理論でも、目標の難易度や具体性に加えて、進捗へのフィードバックを組み合わせるとモチベーションが高まりやすいと指摘されています。*3

一例。10分でできる『目標の再見積もり』

では、具体的にどう見直すか。一例として、スマホのメモ帳と10分でできる流れを挙げます。

ステップ1 目標と現状を1行ずつ並べる(3分)

できた・できなかったの評価はせず、事実だけを書きます。並べれば、ズレの大きさと原因(時間か、水準か、やり方か)に見当がつきます。

例)半年で資格取得する → テキストはまだ半分

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ステップ2 ズレの原因を選び、1か所だけ変える(5分)

時間の見積もりが甘かったなら期限を、水準が高すぎたなら大きさを、やり方が生活に合わないなら方法を変えます。気合いで上乗せしないのがコツです。

例)毎日30分勉強する → 平日15分+休日1時間

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ステップ3 来週の行動をひとつ決める(2分)

遠い目標ではなく、来週やる行動をひとつだけ。その程度で十分です。

例)平日の昼休みに15分だけテキストを開く

1週間たったら、また10分。事実を並べて、ズレていれば1か所だけ動かす。この繰り返しです。

複雑な問題ほど小さな単位に分解し、それぞれに達成できる具体的な目標を置くとよい。心理学者カール・ワイクが示した「小さな成功」の考え方です。*4 単位が小さいほど、確認も調整も軽くなります。

トライアンドエラー

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また計画どおりにいかなかった。その事実は、あなたがだらしない証拠ではなく、基準とのズレという、ただの情報です。測って、直して、また進む。達成は、その繰り返しの先にあります。

よくある質問(FAQ)

Q. 目標を「下げる」ことと「見直す」ことは、どう違いますか?
「下げる」は達成基準そのものを緩めることですが、「見直す」は期限・大きさ・方法のいずれかを調整することです。目的(何のためにその目標を立てたか)が変わらなければ、期限や方法を調整しても目標を諦めたことにはなりません。
Q. 期限・大きさ・方法のうち、どれを変えればいいか迷います。
ズレの原因から選びます。時間の見積もりが甘かったなら期限、水準そのものが高すぎたなら大きさ、いまのやり方が生活に合っていないなら方法です。まず「なぜズレたのか」に見当をつけると、変える場所は絞れます。
Q. 目標を頻繁に変えると、逆に成果が出にくくなりませんか?
目的を見失って行き当たりばったりに変え続けると、たしかに成果につながりにくくなります。大切なのは、現在地とのズレを確認したうえで調整すること。感覚だけで変えるのではなく、事実に基づいて見直すことがポイントです。
Q. どのくらいの頻度で目標を見直せばいいですか?
記事内では1週間ごとの確認を例として紹介していますが、目標の性質によって適切な頻度は異なります。短期的な目標なら週1回、中長期的な目標なら月1回など、無理なく続けられる頻度を選ぶとよいでしょう。
Q. 目標を変えることに罪悪感があります。それでも見直していいのでしょうか?
目標を決めた時点といまとでは、置かれている状況が同じとは限りません。仕事の担当が変わった、想定より時間がかかったといった変化があるなら、目標を見直すのは意志の弱さではなく自然な対応です。大切なのは感覚だけで投げ出すのではなく、現在地を確認したうえで見直すことです。
Q. 目標を小さく分解すると、なぜ続けやすくなるのですか?
達成が難しく感じる目標をひと息にやり遂げようとすると、最初の一歩を踏み出すこと自体が難しくなります。実行可能な単位に分解してひとつずつクリアしていく方が、行動を継続しやすいとされています。

【ライタープロフィール】
澤田みのり

大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。