自由に過ごせる「休日」。人それぞれ、思い思いの過ごし方をしていることでしょう。しかしなかには、普段の仕事から解放されてリフレッシュしたいと思っているにもかかわらず、仕事のことが頭から離れない……と、お悩みの人もいるはず。
「仕事を忘れて休日を有意義に過ごしたい!」という方のために、具体的な方法をお教えします。どうやら「金曜日の夜」から勝負は始まっているようですよ。
「仕事のための休日」になっていないか?
『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』の著者であり広告代理店に勤務する東松寛文氏は、かつて “社畜寸前” の生活を送っていました。平日は終電近くまで働くか、付き合いの飲み会でタクシー帰り。休日も夕方まで寝て過ごす。そんな日々を過ごしていたのだそう。
しかし、無理矢理もらった休みに海外旅行をしたのがきっかけで、海外旅行にハマることに。以降、“週末に海外旅行に行く” という弾丸生活を始めました。すると、働き方も自然とよい方向へ変わっていったのだといいます。つまり、休日を明確に “海外旅行のための日” と決めたことで、平日の仕事が効率化されたのです。
週末で海外へ行く場合、金曜日の夜のフライトで出発することが多いです。そのため、旅行に行く週の金曜日は早めに仕事を終わらせて、空港に向かわなくてはなりません。となると、それまでのようにエンドレスで残業しているとフライトに間に合わないため、週の初めから週末を意識して計画的に働くようになりました。
(引用元:東洋経済オンライン|日本人の非効率な働き方は「休み方」が原因だ ※太字は筆者が施した)
訪れた国は50カ国を超え、いまでは “リーマントラベラー” の肩書も得た東松氏は、「全力で休みを満喫するべき」と説きます。休日まで心身が仕事漬けになるのはもってのほか。「“仕事のために” 休日は体調を整える日にあてる」ことすら、東松氏にしてみればもったいないのだそう。
仕事のことを忘れるのはもちろん、“月曜日からの仕事のために……” なんて考えもバッサリ捨て、休日を本気で満喫する方法を模索してみませんか。詳しく解説していきます。
1. 金曜日の夜には「オフへの切り替え儀式」を
休日に入る前の “前日準備” があると説くのは、『世界のエリートがやっている 最高の休息法』の著者でもある、医学博士の久賀谷亮氏です。
久賀谷氏は休日前の準備を「パブロフの犬」に例えています。金曜日の仕事終わりの「オフへの切り替え儀式」をあらかじめ決め、毎回実行することで、脳が休息モードに入りやすくなるのだそう。
久賀谷氏は「ヘアカット」をすすめていますが、何を「切り替え儀式」とするはご自身で決めてよいでしょう。行きつけのお店に足を運ぶ、好きなミュージシャンの音楽にひたるなど、毎週実行しやすいものを選んでみてください。
仕事で使うパソコンやスマートフォンを見えない場所に片づけるのも、よい儀式になります。 また、日頃のストレスをノートに書き出したうえでノートを片づけてしまうのも有効なのだそう。
いずれにせよ、ただなんとなく休日を迎えてしまわぬよう、脳をオンからオフに切り替えるための行動をルーティン化するのが大切なのです。
2. 休日朝の寝坊は厳禁。“いつもどおり早起き” が基本です。
休日の朝はアラームをかけずに思いっきり寝坊したい、という人も多いかもしれません。平日は仕事で早起きしなければいけないぶん、休日に睡眠時間を取り戻したい……と、つい思ってしまいますよね。
しかし、 脳生理学者の有田秀穂氏は、気分をポジティブにさせたり身体の調子を整えたりしてくれる神経伝達物質「セロトニン」活性化のためには、朝の過ごし方が重要だと説きます。
セロトニンは太陽光を浴びると分泌されるので、朝、カーテンを開けてなるべく太陽光を浴びるようにしましょう。
さらにお勧めなのは、朝のウォーキング。太陽光を浴びることができるのはもちろん、ウォーキングのようなリズミカルな運動は、セロトニンを分泌する細胞を活性化させるのです。
(引用元:THE21オンライン|ストレスに強くなる「朝と夜の過ごし方」とは? ※太字は筆者が施した)
休日を振り返って「充実させられなかった……」と後悔する原因の一端が朝寝坊にもあるのならば、絶対に “いつもどおり早起き” したいもの。そのぶん休日を長く使えますし、上で述べたように心身にもいい影響がもたらされるのですから、一石二鳥ですね。
3. 休日の日中は結局「好きなことをする」のがベスト(※ただし怠けないように)
肝心の休日日中の過ごし方ですが、これといった決まりは特にありません。とにかく自分の好きなことをするのがよいでしょう。
ちなみに、前出の久賀谷氏は「近場で行ったことのない場所を訪れてみる」「友人らと顔を合わせて笑いながら食事をする」「ショッピングに行く・おいしいものを食べたいだけ食べるなど願望をはじけさせる」などを提案しています。ポイントは、ある程度 “アクティブ” であること。野球が好きであれば草野球に出かけてみたり、映画好きであれば映画館に足を運んでみたりするのもよさそうですね。
また、休日の空き時間に簡単に取り入れられるリラックス方法として、Apple創業社であるスティーブ・ジョブズ氏も行なっていたマインドフルネスも有効でしょう。日本マインドフルネス学会理事長の越川房子が、こう述べます。
私たち人間は、過去の嫌な出来事を思い出して病気になったり、まだ分からない未来のことを思い煩っては病気になったりするもの。ストレスをわざわざ自分でためてしまうわけです。幸せに生きるには、そうした過去や未来のしがらみから離れることが大切です
(引用元:日経doors|ジョブズも実践 「マインドフルネス」ってどんな効果が?)
そのために、「今この瞬間に意識を向ける」マインドフルネスがいいのです。マインドフルネスの手法はさまざまですが、基本は以下のように行ないます。
- 背筋を伸ばして椅子に座り、肩の力を抜く
- 目を閉じ、呼吸に集中する
- 30分程度、途中でやり直してもよいので続ける
たったこれだけですが、習慣として続けることで、不安やストレスが減少し、また気持ちに余裕が持てるようになりますよ。
自分が最もしたいことをして、空いた時間に無理なくマインドフルネスを取り入れる。それぐらいの塩梅がよさそうですね。
4. 日曜日の夜は「親や家族とゆっくり食事」がいい
日曜日の夜に、次の日の仕事のことを考えて憂うつになることを「サザエさん症候群」とも呼びます。思い当たる人も少なくないはず。ブルーな気持ちを紛らわす意味も含めて、休日を最後まで満喫しようと遅くまで遊び歩いてしまう人も多いのではないでしょうか。
しかし、「仕事のことを忘れて休日を過ごす」のが本記事のメインテーマとはいえ、翌日からまた仕事が始まってしまうのは事実。日曜日の夜ぐらいは自宅でゆっくりと、できれば家族や親と一緒に食事をとるのがよいかもしれませんよ。
『1億稼ぐ営業の強化書』などの著書がある、ファーストヴィレッジ代表取締役社長の市村洋文氏は、どんなに忙しくても日曜日は家族で食事をとることにしているのだそう。ブレない自分をつくるうえで、家族への「孝行」が大切だからだそうです。
自分の軸がない人は、休日に親孝行をしましょう。遠くにいる人は、親に感謝するだけでもいい。なぜなら、自分の軸をつくるうえで、「孝」の精神は欠かせないものだからです。
仏教の教えとされる「父母恩重経」というものがあります。子が父母から受けた10の恩を説いたものです。(中略)そうした恩の重さを感じることは自己肯定感と自信につながります。
(引用元:プレジデントオンライン|なぜ"1億稼ぐ人"は休日に親孝行するか-ブレない自分をつくる方法)
もちろん、必ずしも夜である必要はありませんが……。せっかく時間をとれる休日にこそ、こういった親孝行や家族サービスもしてあげたいものですね。
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休日にまで仕事のことを考えてしまうのは、日本人の悪い癖です。休日は文字通り「休日」。質の高い休みを過ごすことが質の高い仕事にもつながっていくことを、決して忘れないでください。
(参考)
東洋経済オンライン|日本人の非効率な働き方は「休み方」が原因だ
ダイヤモンド・オンライン|夏疲れリセット!「脳疲労」に効く休日の過ごし方は…
THE21オンライン|ストレスに強くなる「朝と夜の過ごし方」とは?
日経doors|ジョブズも実践 「マインドフルネス」ってどんな効果が?
プレジデントオンライン|なぜ"1億稼ぐ人"は休日に親孝行するか-ブレない自分をつくる方法
【ライタープロフィール】
武山和正
Webライター。大学ではメディアについて幅広く学び、その後フリーのWebライターとして活動を開始。現在は個人でもブログを執筆・運営するなど日々多くの記事を執筆している。BUMP OF CHICKENとすみっコぐらしが大好き。