「苦手な相手」とでも「心地よく付き合える」人は、この4つを心がけている

「苦手だけど付き合わなきゃいけない」ストレスを減らすコツ01

「どうもそりが合わないようで、彼とは仕事がやりにくい」
「あの人は態度が高圧的で、こちらの話を聞いてくれない」

職場で苦手な人に遭遇するのは、社会人なら誰しもが通る道かもしれません。プライベートなら距離を置けばよいのですが、ビジネスではそうはいかないのがつらいところ。ここでは、そんな「苦手な相手と付き合わなければいけない」ストレスを減らすためのコツを4つ紹介します。

「なんとなく苦手」なら、あえて相手の名前を呼んでみる

仕事術に関して多数の著書をもつトレスペクト教育研究所代表・宇都出雅巳氏は、意識的に相手(=苦手な人)の名前を呼ぶことをすすめています。

「初対面のときから、この人はなんとなく苦手」「理由ははっきりしないものの、彼とは合わない気がする」のような漠然とした理由で苦手意識をもってしまうのは、脳が勝手に「好き・嫌い」のレッテルを相手に貼ってしまっているのが原因。精神科医の樺沢紫苑氏によると、脳の扁桃体は危険を回避するために、0.02秒の速さで相手を「自分にとって好ましい相手か、そうでないか」を判断するのだそうです。

この「好き・嫌い」のレッテルは、過去の人間関係に起因すると樺沢氏は述べています。たとえば、前の職場に感情的で怒りやすい上司がいた場合。その人が細身の高身長だと、新しい職場で細身で背が高い人と接したときに「この人も危険な人物なのでは」と脳が瞬時に判断してしまうのです。

宇都出氏いわく、脳のレッテル貼りによって苦手な人ができてしまった場合は、話しかけるときに相手の名前を呼ぶほか、「○○さんはどう思いますか?」というように、意図的に相手の名前を会話の主語にするのが効果的だそう。過去の苦手な人とは別人だと脳にわからせることができれば、「なんとなく苦手」という居心地の悪さが解消されるかもしれませんね。

「苦手だけど付き合わなきゃいけない」ストレスを減らすコツ02

自慢話や嫌味にうんざりしているなら、リアクションを薄くする

「いつも上から目線で、自慢話ばかりするので腹立たしい」
「仕事の不満をぶつけてくるから、一緒にいるとストレスがたまる」

自慢話や嫌味、愚痴や不満が多い……。こうした人に苦手意識がある場合は、不快な態度には表情を変えず、快をもたらすときだけ笑顔を見せるとよい。そう説くのは、臨床経験8万件以上の心理カウンセラー・大嶋信頼氏です。

大嶋氏は大学時代、教授に対して試みた実験で「ある法則」を見つけたと言います。実験対象となった教授は、話す際に教室を歩き回る癖があり、クラスの学生たちはそのせいで集中力が乱され困っていたのだそう。そこで学生は一致団結して、教授が教室の左端に立ったときだけニコニコしながらうなずいて話を聞くといった「よいリアクション」をとり、教室を歩き回ったら下を向いて「悪いリアクション」をとるようにしました。その結果、教授は教室に入ったときから教室の左端に立つようになったのだとか。これをふまえて大嶋氏は、こちらの反応次第で相手の態度を変えることができると伝えています。

大嶋氏の説を職場で応用し、苦手な相手に自慢話ばかりされたり不満をぶつけられたりしたときは表情を変えないようにし、極力リアクションを薄くしましょう。そして、周囲の話を聞こうとしたり相手を思いやる発言をしたりしたときだけ笑顔をつくって、「そうですね!」とよいリアクションをするのです。相手の不快な態度に愛想笑いを返すような、無理をする必要はありませんよ。

「苦手だけど付き合わなきゃいけない」ストレスを減らすコツ03

しつこく誘う人が苦手なら、明確な「断る理由」をもつ

「仕事終わりにしつこく誘ってくる同僚が苦手」
「あの人からのランチの誘いには付き合えても、プライベートの誘いまで乗りたくない」

しつこく誘ってくる相手が苦手で困っているなら、なんとなく誘いを受け入れてしまわないために、明確な「断る理由」をあらかじめもっておくことが大切です。前出の樺沢氏によれば、断る理由がないからといって迷ったそぶりを見せると、相手は脳で「この人には断る明確な理由がない」と察知して、よりいっそうしつこく誘うようになってしまうのだそう。

樺沢氏いわく、断る理由を意識づけるためには、日々の生活で何を大切にしたいのかを改めて考えるとよいとのこと。「昼休みは資格勉強をしたい」「土曜日はジムに行きたい」……ふと思い浮かんだものでも、それが立派な断る理由になります。

ただし、断り方も重要だと樺沢氏は言います。まずはクッション言葉として感謝や謝罪の言葉をはさんだうえで理由を先に伝え、「断り」は最後に述べましょう。「お誘いいただきありがとうございます。でも昼休みは資格勉強に充てているので、ランチをご一緒できません」と伝えてみてください。

はっきり断ることでギクシャクしたらどうしよう……と思う場合は、同じ理由で平等に断るようにしましょう。相手が誰であれ「資格勉強をしたいからランチを断った」のなら、人間関係に大きなトラブルが起こる可能性は少ないとのこと。この場合、ほかの同僚とのランチの機会もなくなる可能性は否めませんが、そのぶん昼休みは勉強に集中して、仕事終わりにカフェで話すなどコミュニケーションをもつ時間をつくるといいでしょう。なんにせよ、しつこく誘ってくる人に曖昧な態度をとり続けることはNGですよ。

「苦手だけど付き合わなきゃいけない」ストレスを減らすコツ04

話しかけにくい相手には、あいさつとセットで軽めの雑談を

「口数が少なく、気難しい顔をしているあの人への接し方がわからない」
「コミュニケーション不足な取引先の前では、いつもぎくしゃくしてしまう」

このように、話しかけにくい人に苦手意識をもっているなら、あいさつをきっかけに雑談をしてみましょう。これは、ベストセラー『雑談力が上がる話し方』の著者で明治大学教授の齋藤孝氏がすすめるものです。

とはいえ、いきなり長い雑談をして親睦を深めるのは難しいこと。齋藤氏は、雑談は5~10秒程度であっても、積み重ねていけばお互いの印象を変えることができると言います。たとえば出勤時のエレベーターで遭遇したとき、「おはようございます。駅前にオープンしたカフェに行きましたか?」とあいさつにひとこと加えるだけで十分です。エレベーターからオフィスに着くまでの短い時間なら、「会話が途切れたらどうしよう」という心配もありません。

雑談によって親しくなりたい気持ちを伝えるのは、脳科学的にも有効です。樺沢氏によると、脳の扁桃体は相手の態度から「相手が自分をどう思っているか」という非言語的なサインを察知する働きがあるのだそう。そして嫌われている・苦手と思われていると察したら、相手も同じ感情をもってしまうとのこと。だからこそ、こちらから敵意がないことや親しくなりたいことを伝える必要があります。まずは、いつもの「おはようございます」に、ちょっとしたひとことを加えてみましょう。

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職場の苦手な人と付き合うことによるストレスは、接し方をほんの少し変えるだけで減らすことができます。人間関係の悩みを抱える人は、ぜひ実践してみてくださいね。

(参考)
ダイヤモンド・オンライン|脳が「嫌いな人」を生み出す驚きのワケ
宇都出雅巳 (2018), 『自分を変える「脳」の習慣: 「脳科学」×「記憶のマネジメント」で頑張らずにうまくいく』, SBクリエイティブ.
大嶋信頼 (2018), 『「気にしすぎてうまくいかない」がなくなる本』, あさ出版.
樺沢紫苑 (2018), 『学びを結果に変えるアウトプット大全』, サンクチュアリ出版.
ダイヤモンド・オンライン|困った! 会話が続かないときの「雑談力が上がる話し方」のコツ

【ライタープロフィール】
かのえ かな
大学では西洋史を専攻。社会人の資格勉強に関心があり、自身も一般用医薬品に関わる登録販売者試験に合格した。教養を高めるための学び直しにも意欲があり、ビジネス書、歴史書など毎月20冊以上読む。豊富な執筆経験を通じて得た読書法の知識を原動力に、多読習慣を続けている。

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