
筆者はカメラマン時代にインタビュー現場を後ろから見ていて、やっぱりインタビュー上手な人っているよなーとつくづく感じたものでした。そして、ライターになってからは、その真似をしてなんとかいっぱしのインタビュアーを気取ることもできるようにもなりました。
そこで今回は、現場で見たそんな「聞き上手」「インタビュー上手」な人の特徴をまとめてみます。皆さんの仕事や職場での会話のヒントにしてください。
聞き上手の人には、共通する特徴がある
インタビューがうまい人には、いくつか共通する特徴がありました。
インタビュー上手な人に共通する6つの特徴
1~3はノンバーバルコミュニケーションの基本中の基本
1~3は、HR系のメディアやコミュニケーション関係のメディアでもよく紹介されているテクニックでいまさらかもしれません。
内容にもよりますが笑顔は基本。話の邪魔をしない程度に「なるほど」と言葉を発したり、うんうんと頷いたり、驚きの声を上げたり……という反応、相槌は必須のテクニックでしょう。
カメラマン(筆者のこと)が話に反応して笑ったりするだけで、インタビューが捗ったこともありました。「話が伝わっている」とインタビューイーが感じるだけで盛り上がりはまったく変わってきます。
「言い換え」も基本ですが、話の内容が込み入っているときや、専門性の高い内容のときほど、このテクニックは重要だったように思います。インタビューイーが、「自分の話がどう理解されているか」を確認できるからです。食い違いがあると分かれば、説明を足してくれるし、インタビュアーの知的水準を相手に理解してもらうという効果もあったと思います。
笑顔と相槌で「話が伝わっている」と感じてもらう。込み入った話ほど、言い換えて返して理解のずれを確かめる。

敬語を少しくずすだけで、場の空気は変わる
4「少しだけくだける」は、相手にもよりますが、失礼にならない範囲で少しだけくだけた言い方、話し方にするということです。
ずっと丁寧語、敬語で通してしまうと、相手も話がしにくいということがよくあります。市井の人など、取材慣れしていない人ほどその傾向があり、こちらがくだけて話すことで、相手もリラックスして話してくれるようになる、という現場をよく目にしたものです。
ただ、これはくずしすぎると失敗することも。筆者がライターになってからこれを真似していたら、ある人の取材で「お前馴れ馴れしすぎ」と怒られたことがありました。相手をよく見ることと(ちょっとコワモテの人だった)、くずす程度は要注意です。
失礼にならない範囲で言い回しをくずすと、取材慣れしていない相手ほどリラックスして話してくれる。くずす程度は相手を見て決める。
聞き上手なのに、なぜかよく喋っている
5「自分の話もちゃんとする」は逆説的ですが、「聞くためには話す」ということです。
あるミュージシャンのインタビューのときに、冒頭でいきなりライターさんが「いかにアルバムの構成が良かったか」ということを延々と語ったのには驚きました。インタビュー嫌いで有名だったのでライターさんも準備してきたのでしょう。最後にはミュージシャンも根負けして笑顔になり、ものすごく話してくれたので、作戦成功といったところでしょうか。
「自分はこう思うけど、どうですか」と自分の考えを先に出すのは、心理的安全を醸成する効果もあります。こちらから「ここだけの話なんですけど」「これは内緒にしておいてほしいんですけど」という打ち明け話をするのも効果大です。
一種のミラーリングかもしれませんが、自己開示をすると、相手からも自己開示が返ってきやすくなるのは、心理学の研究でも指摘されています。*1
自分の考えや打ち明け話を先に出すと、相手からも自己開示が返ってきやすくなる。聞くためには、まず話す。
用意した質問を、そのまま読み上げない
取材によっては、事前に質問を渡しておくことがよくあります。しかし、それを順に読み上げていくようなインタビューは、必ずしもうまくいくとは限りませんでした。
もちろん、聞きたい内容はおそらく聞けます。しかし、「はみ出してくる」ものがない。じつは面白いインタビュー記事というのは、通り一遍の質問だけじゃなく、相手がついポロっと言ってしまったような、通り一遍からはみ出した言葉があるものです。質問を読み上げているだけでは、そういう言葉を拾うことはできません。
また、敬語にも通じますが、いかにも取材っぽい取材に終始してしまうことが多く、アンケートに答えてもらってるみたいで、「これ別にインタビューじゃなくてもよくない?」みたいな内容になりがちです。
まあ、用意した質問を読み上げて、順番に答えてもらうという取材は、原稿を書きやすい、というメリットもあるのかもしれませんが……カメラマンとして見ていても、取材もあまり面白くなかったし、原稿もあまり面白くなかった気がします(すみません)。
質問を順に読み上げるだけでは、相手がつい漏らす「はみ出した言葉」を拾えない。アンケートのような取材は、読んでも面白くならない。
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テクニックより先にある「心構え」
話を聞く、インタビューするには、このようにさまざまなテクニックがありますが、本質はもっと別のところにあるのかもしれません。筆者が尊敬するあるライターさんが言っていたのは、
「インタビューが決まってから原稿を書き終えるまで、相手のファンになれ」
ということでした。
好きになれば、自然と相手のことを知りたくなりますよね。だから下準備も入念になりますし、原稿も好意的に書くことができます。
そして何より、インタビューで嘘をつかずに済みます。好きでもない相手に「あの曲好きなんです」と言うのは、やっぱりどこか嘘っぽくなる。でも本気でファンになっていれば、その言葉に嘘がなくなる。芸能人に限らず、人は嘘に敏感です。
そのライターさんは、取材した芸能人とすごく仲良くなっていました。興味を持つこと、好きになること。聞き上手の正体は、テクニック以前にそういうところにあるのかもしれません。
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取材のインタビューというと、なんだか特殊なことのように思われるかもしれません。しかし、このテクニックは日常生活、職場、仕事での会話など、さまざまに使えると思います。取材以外で役立つと筆者が感じるのは、社外との交渉やミーティング、それから、知らない人との飲み会です。今日のちょっとした会話から、どれかひとつ、ぜひ試してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. インタビュー以外の場面でも使えますか?
Q. 前のめりの姿勢は、誰にでも有効ですか?
Q. 敬語を崩すのは失礼になりませんか?
Q. 聞き上手になるために、まず何から始めればいいですか?
Q. 「自分の話もする」と「聞き役に徹する」は矛盾しませんか?
*1: 相川充・大城トモ子・横川和章 (1983), 心理学研究, 54(3), pp.200-203|魅力と返報性に及ぼす自己開示の効果
蔵前直樹
ライター・編集者。書く仕事、デザイン、プランニング、時々農業、狩猟。デザイナー→カメラマン→ライター→編集者と転身してきた「多芸は無芸」「器用貧乏」を地で行くタイプ。STUDY HACKERで仕事を始めてから、全然関係のないフィナンシャルプランナー2級を取ろうと考えているあたり、全然懲りてない。