
「仕事中の雑談は非効率だ」「業務に集中しなければ」。そう感じて、職場での雑談をできるだけ避けていませんか?
リモートワークの普及もあり、職場の雑談は減っています。週1日以上リモートワークをしている人の5割超が「雑談する機会が減った」と回答した調査もあります(一般社団法人日本能率協会が2021年に正規就業者1,000人を対象に実施)。*1
一方、同じ調査では全体の6割超が「雑談は業務の生産性や創造性を高めることにつながっている」と回答しています。*1
雑談を「無駄」と切り捨てるその判断が、かえって職場の生産性や創造性を削いでいるのかもしれません。本記事では、雑談の効果と、それを引き出す「意図的な雑談」の習慣を紹介します。
- 仕事ができる人が取り入れている雑談テーマ
- 「なんでもいい」わけではない。雑談の効果は内容とタイミングで変わる
- マネージャーが実践すべき意図的な雑談戦略
- 雑談が職場にもたらす科学的効果
- よくある質問(FAQ)
仕事ができる人が取り入れている雑談テーマ
新入社員がチームの一員として動き出す時期。馴染みやすい雰囲気づくりに悩む先輩も多いかもしれません。仕事ができる人が取り入れている、職場に好循環をもたらす雑談テーマを紹介します。
「新人の頃、機密書類を誤ってシュレッダーして焦ったよ。隠したらもっと大事になってさ。それ以来、すぐまわりに相談するようにしてる」
失敗談をユーモアを交えて話すことで、「先輩でも失敗する。それでもなんとかなる」という安心感が生まれます。失敗への過度な不安が和らぎ、親近感も高まるでしょう。
「先週末、話題のラーメン店に行ったんだけど、2時間待ちで……」「来週の台風、かなり大きいみたいだね」
仕事の話だと気を張ってしまう新人も、関係のない話題なら心を開きやすくなるものです。
実際、何気ない雑談は働く人の気分を高め、良い仕事ぶりや同僚への協力につながることが示されています(ラトガース大学のジェシカ・メソット准教授らの研究による)。*2
気軽な雑談は単なる仲良くなる手段ではなく、協力して仕事を進めるための土台を養うものでもあるのです。
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「なんでもいい」わけではない。雑談の効果は内容とタイミングで変わる
ただし、雑談は内容とタイミングしだいで、チームを活気づけもすれば空気を悪くもするのです。
「部長からこんなこと言われたんだけど、現場のことわかってないと思わない?」「Aさんっていつもミスばかり……」
つい愚痴をこぼしたくなる場面もあるでしょう。しかし、批判や悪口が常態化すると心理的安全性を損ない、「自分も陰で言われているかも」という不安から発言は減り、チームの活力も失われていきます。
「ランチや飲み会で内輪ネタばかりが盛り上がり、話に入っていけない……」
内輪のエピソードや一部のメンバーしか知らない話題が続くと、輪に入れない人が疎外感を覚えます。話題はその場にいる全員が参加しやすいものを意識しましょう。
締め切りに追われている人や、集中している人への声かけは逆効果になりかねません。「いま話しかけて大丈夫か」を見極められる人こそ、雑談上手と言えるでしょう。

マネージャーが実践すべき意図的な雑談戦略
忙しいマネージャーほど「とにかく効率よく」と考えがちです。しかし逆説的に、部下との雑談を意図的に確保することが、チーム全体の生産性向上につながります。
前述のラトガース大学の研究では、雑談を多く交わした日ほど働く人の活力や気分が高まることが示されています。*2
この効果を引き出す鍵は、「偶発的」ではなく「意図的」な設計。週に1回程度、報告・連絡・相談とは別枠で、部下と一対一で近況を話す時間をカレンダーに組み込みましょう。「自分の話を聞いてくれる上司がいる」という安心感が生まれ、伝えづらいことも相談しやすくなります。
上司が自分の失敗と、そこからどう対処したかを語ることで、「このチームでは失敗しても大丈夫」というメッセージが部下に伝わります。心理的安全性の構築に直結し、部下がアイデアや質問を出しやすくなるでしょう。
雑談が自然発生しにくいオンラインでは、意図的な仕組みが必要です。オンライン会議の開始前に早めに入って近況を話す、朝礼で業務前に雑談時間を設けるなどの仕掛けが有効でしょう。
雑談が職場にもたらす科学的効果
ここまで紹介してきた雑談の効果は、感覚的なものではありません。研究によって、業務成果との関連が示されています。
Googleが生産性の高いチームの共通点を調査した「プロジェクト・アリストテレス」は、チームの効果性を左右する最重要因子として心理的安全性を挙げています。*3
雑談でお互いの人柄がわかれば、何気ないことも相談しやすくなります。「気軽に相談できる人がいる」という安心感は心理的安全性へとつながり、質問や提案のしやすさの土壌を育てるのです。
日本の労働者600名を対象にした調査では、職場での体験を共有するユーモアを含む会話が、従業員の創造性に好影響を与えている可能性が示唆されました(中京大学の丸山淳市氏と筑波大学の藤桂氏による研究)。*4
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適度な雑談は心理的安全性を高め、創造性や生産性にも好影響をもたらします。鍵は「内容」と「タイミング」です。

・失敗談や気軽な話題で「話しかけやすい雰囲気」をつくる
・愚痴や内輪話に偏らない
「仕事の邪魔」と思っていた雑談が、チームのパフォーマンスを底上げする最初の一手になるかもしれません。
よくある質問(FAQ)
Q. 雑談は本当に仕事の生産性を高めるのですか?
Q. どんな雑談でも効果があるのですか?
Q. マネージャーが部下との雑談の時間を確保するコツは?
*1: 一般社団法人日本能率協会(PR TIMES)|2021年「ビジネスパーソン1000人調査」【雑談機会と効果】
*2: Rutgers University|Here’s Something You Never Thought You’d Miss: Office Small Talk
*3: Google re:Work|「効果的なチームとは何か」を知る
*4: J-STAGE(産業・組織心理学研究)|職場ユーモアが創造性の発揮に及ぼす影響
澤田みのり
大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。