無駄話が成果を生む──“戦略的雑談力”をAIでトレーニングせよ

屋外で雑談するビジネスパーソン

「備蓄米、20万トンの追加放出が決定したらしいですね」

たとえばそんな一言から始まる雑談が、ビジネスの信頼構築に役立つのはビジネスパーソンならおわかりかと思います。

会話の自然な入り口を切り出せるかどうかが、社内外での信頼や情報共有の差につながるのです。

とはいえ、雑談に苦手意識をもっている方もいらっしゃるでしょう。

本記事では、ChatGPTを練習相手にして、雑談を信頼に昇華させる方法を3つのステップで解説します。

実践的な雑談力を、AIで壁打ちしながら磨いてみませんか?

雑談力はスキルである

一見無駄に思える雑談も、じつは仕事の成果につながっています。

モルガン・スタンレーやGoogleを経て経営コンサルタントとして活躍するグジバチ・ピョートル・フェリクス氏は、仕事ができる人は「長期的で建設的な人間関係を構築するため」に雑談を活用していると話します。*1

人間関係がこじれてしまっていると、助けが必要なときに協力を得られなかったり、チームの連携ミスによる業務の停滞が発生したり、仕事の成果に悪影響をもたらしかねません。

逆に、良好な人間関係を築ければ、次のようなメリットを得られます。

  • 人脈が広がり、仕事のチャンスが増える
  • 協力関係を構築できるので、生産性向上につながる
  • 雑談によって得られた情報が仕事に役立つ

戦略的な雑談は無駄話ではなく、相手の心をつかむ手段であり、仕事の成果に直結するのです。

ここでポイントとなるのは「戦略的」という点。

同氏は「仕事ができる人は、欲しい成果から逆算して物事を考え」、雑談の内容も欲しい成果につながるように意識して話すと言います。*1

たとえば、信頼関係の土台をつくるために雑談を活用するならば、自分語りばかり繰り広げたりはせず、相手を知ろうとする姿勢を見せるなどです。

つまり、雑談とは単なるおしゃべりではなく、信頼関係を築き、協力を得るための戦略的な手段で、欲しい成果を意識し磨くべきスキルなのです。

立ち話をするビジネスパーソンたち

ChatGPTが練習相手として最適な理由

雑談は相手がいてこそ成り立つものですから、ひとりで鍛えるのは難しいでしょう。

とはいえ、いきなりリアルな場で実践するのは気が引けるかもしれません。

そんなときに頼れるのがChatGPTです。

ChatGPTは24時間いつでも対応してくれる、気疲れしない練習相手

以下のように、ChatGPTだからこそのメリットもあります。

  • 自分のペースで会話の練習ができる
  • 話題の選択を間違えても、実際の人間関係には影響しない
  • フィードバックを求めれば、改善点も教えてくれる
  • 人間相手だとためらってしまうようなことも、AIなら気兼ねなく試せる

「この聞き方って失礼かな?」「こう言い換えたほうがいい?」と悩んだときでも、ChatGPT相手に壁打ちをしながら試行錯誤できるので、安心して練習できる環境なのです。

ノートパソコンでChatGPTを使用する人

雑談力を仕込むトレーニング

コミュニケーションで大切なのは、「問いを立てる力」です。*2

会話の引き出しをどんなに多く用意していても、自分の話ばかりだったり、会話を広げようとしなかったりすれば、相手の心をつかめません。

では、自分がどのくらい「問いを立てる力」があるかどうか知るにはどうすればよいのでしょうか?

コミュニケーション戦略研究家の岡本純子氏が言うには、雑談における30分間で3つ以上質問できているかどうかで「問いを立てる力」の有無を確認できるのだそう。*2

だからといって、相手を質問攻めにするのも考えものです。

「問いを立てる力」の土台となる、次の3つの力を意識しながらコミュニケーションをとるといいでしょう。

  1. 傾聴力…相手が話したいことを聞く
  2. 発話力…相手が聞きたいことを話す
  3. 展開力…相手が聞きたいことに反応しさらに会話を広げる *3よりまとめた

コミュニケーションにおいて、主体は常に相手にあるのです。

岡本氏によると、この3つの力をふまえたうえで「問いを立てる力」を磨くには、「『ど』の言葉に置き換えられ」る6W1Hから質問を始めると鍛えていけるのだそう。*3

What――どう、どんな
Who――どの(人)、どんな(人)、どなた
When――どんなとき、どのタイミング
Where――どこに、どこで
Why――どうして
Which――どれ、どっち、どちら、どの
How――どう、どうやって、どうしたら、どのように *2

以上をふまえ、雑談力を鍛える「問いを立てる力」を磨くために、上記6W1Hを意識した雑談の練習をしてみましょう。

まずは、次のようなプロンプトでChatGPTに指示を出します。

プロンプトを入力した様子

プロンプトを入力した様子
  • 目的(雑談力を鍛えたいという前提)
  • どんなことをしたいか(6W1Hを使いたい)
  • 雑談相手との関係性
  • 期待する成果
  • 想定シーン

を指定しました。

そうすると、このように会話を広げるための足がかりをつくってくれます。

ChatGPTが回答した様子

ChatGPTが回答した様子

これを参考に、「お疲れ様です! いつもスマホでゲームされていますが、なんのゲームをされているんですか?」と質問してみた結果がこちら。

雑談例を入力してみる

雑談例を入力してみる

6W1Hのどれを使って会話を展開していけばいいか、例を出してくれました。

ChatGPTのアドバイスに沿って会話を練習していった様子がこちら。

ChatGPTのアドバイスに沿って会話を練習

ChatGPTのアドバイスに沿って会話を練習

やり取りを続ける

やり取りを続ける

質問が続いたので、「これまでのやりとり、立て続けに質問している気がしますが、質問攻めになっていませんか?」と相談してみると、次のようなフィードバックを得ました。

ChatGPTとやり取りが終了するまでの画像

フィードバックに加え、アドバイスもしてくれる様子
※ChatGPTとのやり取りの画像はすべて筆者が作成した

相手の返答を受けての自然な質問なので問題ないというフィードバックにあわせて、合間に共感や自己開示を挟むことで相手が会話疲れしないように配慮できるというアドバイスもしてくれました。

以上のようにChatGPTに質問を投げかけ、アドバイスに沿って返答していく練習を積み重ねていくと、雑談のイメージトレーニングになったと感じます。

雑談のイメージ

ChatGPTで “話しやすい人” になる

雑談力を高めるためには、「傾聴力」「発話力」「展開力」を土台とした「問いを立てる力」が大切だとわかりました。

その練習の場として、ChatGPTは最適です。

ただし、ここで得た型をそのまま現実の会話にもち込もうとするのでは、あなた自身の言葉や温度感が失われてしまいます。

ChatGPTとの対話で身につけた型は、あくまで下地として活用し、そのうえにあなたらしい言葉や関心、温度感を乗せることが大切です。

ChatGPTで練習したことを「完璧に再現しなければ」と自分を追い込む必要はありません。

むしろ大切なのは、目の前の相手に関心をもち、「もっと知りたい」「話していて楽しい」と思う気持ちです。

練習で得た土台を活かしつつ、ぜひ楽しみながら実践を積み重ねていきましょう。

会話を楽しむビジネスパーソンたち

***
ChatGPTとの対話を通じて、会話に自信をもって臨める自分を育てていきましょう。

※引用の太字は編集部が施した

【ライタープロフィール】
澤田みのり

大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。

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