悩みが少ない人に共通する「鈍感力」。イヤなことを “さらっと受け流す” には大事なコツがある。

悩みとひとことでいっても、その内容は人によってさまざまです。なかには、「悩みが多いことが悩み」という禅問答のような悩みを抱えている人もいるかもしれません。

そんな人に向けてアドバイスをくれたのは、「目標実現の専門家」であるメンタルコーチの大平信孝(おおひら・のぶたか)さん。大平さんのコーチングのベースは、アドラー心理学です。どんな方法で悩めるビジネスマンを救ってくれるのでしょうか。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

すべての悩みは対人関係の悩み

アドラーという心理学者の名前を聞いたことがあるでしょうか。フロイト、ユングと並ぶ三大心理学者のひとりですが、これまで教育に携わる人にはなじみがあったものの、日本ではそれほど知名度はなかったかもしれません。それが、2013年に出版された『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)がベストセラーとなったことで、広く知られるようになってきました。

そのアドラーが唱えているのが「すべての悩みは対人関係の悩み」だという考え方です。一見して対人関係とは無関係の悩みに思えても、突き詰めていけば対人関係に帰着する――。たしかにそのとおりだと、わたしも思います。

仕事の悩みといっても、多くは上司や部下、取引先との関係に関する悩みではないですか? わたしはスポーツ選手のサポートもしていますが、彼らの悩みもほとんどは競技そのものに関するものではなく、監督やコーチ、チームメートとの対人関係によるストレスが発端となっているものです。プレー自体にはいっさい手を入れなくても、ストレスの原因となっている対人関係の問題がクリアになれば、競技でも結果を残せるようになる。そういうことは決して珍しくありません。

勉強にしてもそうでしょう。会社の意向で、ある勉強をしないといけないとします。周囲との対人関係が良好であれば、邪魔されることなく勉強に励むことができるでしょう。でも、対人関係になんらかの問題があれば……足を引っ張られるということもあるはずです。

対人関係には自分との付き合い方も含まれる

しかも、対人関係といった場合だと普通は自分と他人との関係を思い浮かべますが、自分自身との付き合い方も広義の対人関係といえます。自分とうまく付き合えていない、自分と仲が良くない、自分と喧嘩している――。悩みの根源をたどっていくと、自分との付き合い方に問題があるという人も少なくないはずです

やらなければならない仕事や勉強があるのに、自分のなかで迷いがある、葛藤を抱えていたとしたらどうでしょうか? そんなことでは、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなものですよね。もちろん、前に進めるはずもありません。自分との付き合い方ということも人間関係に含めれば、まさしくすべての悩みは対人関係の悩みだといえそうです。

そして、悩みが少ない人、自信がある人は、総じて自分との付き合い方が上手です。それは、見方を変えると、自分を客観視できているということでもあります。たとえば、どうにも仕事がはかどらないというときには「自分はこれを食べればやる気が出る」という具合に、自分がどういう人間なのかをきちんととらえているのです。客観視ですから、「自分にこれを食べさせれば」という表現のほうがより正しいかもしれませんね。

もしかしたら、それはただの思い込みかもしれない。でも、たとえ思い込みであっても、自分をコントロールし、しっかり結果につなげることが重要なのです。だったら、確固たる思い込みを持っておくほうがよっぽど自分のためになるのではないでしょうか。

悩みをなくし自信を持つには鈍感さが重要

悩みが多い人や自信がない人の多くに共通しているのは、自分を客観視できていないために、他人の言葉をもろに受け止めてしまう傾向が強いということです。真面目すぎる人が多いということも影響しているのでしょう。周囲からのネガティブな言葉もまともに受け止めて、気にしすぎてしまうのです。

でも、悩みが少なく自信がある人はちがいます。自分も納得できる言葉であれば、真剣に受け止めることもあるでしょうけど、そうでなければ、他人の言葉をさらっと受け流すことができるのです。加えて、そういう人は自分自身を認めている、「自分にOKを出す」ことができています

仕事でも勉強でも、予定通りに完璧にできるという人はそう多くはないでしょう。でも、自分に自信がある人は、「できていないところではなくてできているところ」を見ています。自分を完全否定しないというわけです。

できているところがあれば、そこをベースにして「より良くするにはどうすればいいか」と考えられる。仕事上でクレームを受けたとしても、「改善点を教えてくれてありがたい」という発想にもなるのです。たとえ失敗しても、そういう人にとっては学びか成長しかない。いっさいのマイナスがないのです。そうなれば、まさに無敵ですよね(笑)。悩みが多い人、自信がない人には、そういうある種の鈍感さのようなものが必要なのだと思います

仕事や勉強で成果を出すには、完璧にやろうとすることは大きな足かせとなります。わたしがノート術を教えたある方は、「自分にとってのベストなノートを見つけてからはじめます」といっていました。でも実際は、家や職場で余っているノートなどでもいいんです。条件づけをしすぎずに、まずは小さくはじめること、行動に移すことが大事なのです。そうして少しでも動き出すことで、自然と悩みも気にならなくなり自信も持てるようになっていきます。

【大平信孝さん ほかのインタビュー記事はこちら】 「10秒アクション」が先延ばし癖解消に効く脳科学的根拠。脳をだませば “行動できる人” になれる! 「やる気が出ない」は1枚の紙で解消可能。“9つの過去” を書き出すだけで行動力がみなぎるワケ。

『本気で変わりたい人の行動イノベーション』

大平信孝 著

大和書房(2019)

【プロフィール】 大平信孝(おおひら・のぶたか) 1975年生まれ、長野県出身。株式会社アンカリング・イノベーション代表取締役。第一線で活躍するリーダーのためのメンタルコーチ。中央大学卒業。会社員時代、自身が部下育成に悩んだ経験から、脳科学とアドラー心理学を組み合わせた独自の目標実現法「行動イノベーション」を開発。これまで1万人以上のリーダーの部下育成に関する悩みを解決してきた他、アスリート、トップモデル、ベストセラー作家、経営者など各界で活躍する人々の目標実現・行動革新サポートを実施。その功績により、メディアからの注目も増加中。リーダー向けの企業研修やパーソナルコーチングは現在3カ月待ちとなっている。主な著書に『たった1枚の紙で「続かない」「やりたくない」「自信がない」がなくなる』(大和書房)、『今すぐ変わりたい人の行動イノベーション』(秀和システム)、『指示待ち部下が自ら考え動き出す!』(かんき出版)『本気で変わりたい人の行動イノベーション』(だいわ文庫)などがある。

【ライタープロフィール】 清家茂樹(せいけ・しげき) 1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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