もう忘れない!仕事の成果が上がる「記憶ノート」術

記憶ノートのつくり方4

「プレゼンで使うデータが頭に入らない」
「業界知識や専門用語を効率的に覚えたい」
「年齢とともに新しい情報を覚えるのが苦手になってきた」

このような課題を抱えるビジネスパーソンは少なくないでしょう。

そこで今回ご紹介するのは、司法書士として活躍し、『頭のいい人は暗記ノートで覚える!「時間は半分、成果2倍」の勉強法』の著者でもある碓井孝介氏がすすめる「暗記ノート」メソッドです。

碓井氏は大学在学中に司法書士試験、卒業後に公認会計士試験に合格という実績を持ち、10代からこの手法を実践し続けてきました。 このメソッドは単なる暗記術ではなく、必要な時に確実に引き出せるようにする「ビジネス情報管理術」としても応用可能です。

ビジネスで活きる「暗記ノート」3ステップメソッド

暗記ノートを使った勉強方法には、次の3つのステップがあります。

  1. 暗記する情報をしぼる
  2. 整理してまとめる
  3. 図で覚える

それぞれを以下で詳しく見ていきましょう。

ステップ1. 暗記する情報をしぼる

まずは「基礎を学ぶための資料」「応用を学ぶための資料」「実践事例・ケーススタディ」の3つを準備します。そして【問題集 → 基礎 → 応用】の順番で読み進めます。

たとえば、新規事業のマーケティング戦略を学ぶなら、マーケティングの教科書(基礎)、最新のデジタルマーケティング書籍(応用)、成功企業の事例集(実践)といった具合です。

ここで重要なのは、【実践事例 → 基礎 → 応用】の順番で読み進めることです。「基礎知識がないのに事例から?」と思われるかもしれませんが、実際のビジネスケースから始めることで、どの知識が実務で重要なのかを最初に把握できます。

この時点では完全な理解は必要ありません。むしろ「なぜこの企業は成功したのか」という疑問を持ちながら読むことが大切です。 3つの資料をすべて読み終えたら、2つ以上の資料に共通して登場した情報のみを暗記ノートの「しぼる欄」に書き出します。

このとき、資料に書いてあるとおりに書き写すのではなく、自分の言葉にしてわかりやすく書き換えたり、シンプルな文章に要約したりすることがオススメです。

記憶ノートのつくり方5

ステップ2. まとめる

次は、情報を記憶に定着させることを目的とした「まとめる」作業です。単語や情報をひとつひとつ覚えるよりも、関連した情報や単語などと一緒にまとめて覚えることで、暗記しやすくなりますし、効率もアップします。

ケンブリッジ大学で神経科学を研究するダニエル・ボア博士によると、まとめる作業によって、記憶できる量が格段に増えるそう。これはワーキングメモリーという、脳に情報を短期的に記憶するシステムが影響しています。

通常であれば私たちは、4つ程度の情報しか保持することができません。しかし、似ているものや関連するものをグルーピングすることによって、覚えられる量を増やせるとのこと。

しぼる欄に書いた内容を、まとめる欄に書き直し、その情報から連想することを書いていきましょう。

ステップ3. 図で覚える

最後は、図解を使って覚えましょう。まとめた情報のなかから、特に覚えたい内容を可視化し、内容をより徹底的に脳に刷り込みます。

以下の2種類の方法があるので、覚えたい内容や自分に合っている方法を状況に応じて選び、ビジネスにも活用しましょう。

  • トライアングルの図:覚えたい情報(「答え」)とその理由(「なぜ」)、思い出すきっかけ(「つまり」)をトライアングルの図に書き込んでいく方法です。
  • チャート:ストーリーの流れを書き込む方法です。ストーリー性のある記憶は残りやすいため、その特性を利用し、物事の過程や時間経過を図式化しましょう。

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実際にやってみた

筆者が実際に記憶ノートを実践してみたので、ぜひご参考ください。

まずは覚えたい情報をしぼり、関連する事柄や単語と一緒に自分の言葉でまとめました。

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今回は、特に直近に試験などは控えていなかったので、個人的に興味のある脳科学に関する勉強をしています。

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そして、記憶に定着させるために、「トライアングルの図」と「チャート」もつくりました。

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実際にやってみて、内容がしっかりと脳に定着する感覚がありました。

まず、大事なポイントを「しぼる」ということを意識しながらインプットをすると、資料を読んでいる時点での注意力が上がります。そして、関連するワードなどと一緒にまとめることで、内容の理解がより深まりました。

テキストの理解ができていないと、自分の言葉でまとめることはできないので、まとめている段階で勉強になります

図を使って覚える作業も非常に有効です。「誰かに(もしくは自分に)説明できるか」チェックすることで、覚えたことをアウトプットできるレベルに達しているか確認できます

ただ、今回は初めて「暗記ノート」を実践したので少し丁寧につくりすぎたかもしれません。暗記ノートは作成自体が目的ではなく、あくまでも効率的な暗記をする補助。あまりノートづくりに時間をかけすぎないよう、つくり込みすぎないことも重要なポイントです。

つくっていく途中で、自分にとって使いやすいようにカスタマイズし、自分に最も適した暗記ノートを作成できるようになったら、さらにレベルアップできると思います。

ビジネスパーソンのための実践ポイント

最後に、このメソッドを仕事で活用する際の重要な3つのポイントがあります。

・ 時間配分に注意 | ノート作成のみが目的化しないよう、1テーマ30分程度を目安にする

・ デジタルツールとの併用| 手書きノートの他、マインドマップソフトなども活用可能

・ 定期的な見直し| 作成したノートは週1回程度見返し、記憶を強化

情報過多の時代において、本当に必要な知識を効率的に習得し、実務で活用できる形で定着させることは、ビジネスパーソンにとって重要な競争優位となります。暗記ノートメソッドは、そのための強力なツールとなるでしょう。

***
暗記が苦手で困っている人は、ぜひ暗記ノートを実践してみましょう!

(参考)

*1 碓井孝介(2016)|『頭のいい人は暗記ノートで覚える! 』, 三笠書房。
*2 THE 21 ONLINE|情報を刻み込む! 「記憶ノート」の作り方
*3 Zapier|The Science of Memory: Top 10 Proven Techniques to Remember More and Learn Faster
*4 Daniel Bor (2012)|The Ravenous Brain: How the New Science of Consciousness Explains Our Insatiable Search for Meaning, Basic Books.

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部

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