
「また同僚の一言が気になって、一日中モヤモヤしている」
「上司の何気ないメールの文面を何度も読み返して、『怒ってるのかな?』と不安になる」
「小さなミスをいつまでも引きずって、『私ってダメだな』と自己嫌悪が止まらない」
こんな経験、ありませんか?
職場で起こる些細な出来事や人間関係のちょっとした変化が、なぜかずっと心に引っかかってしまう。家に帰ってもその悩みが頭から離れず、「なんで私はこんなことで疲れているんだろう」と、さらに自分を責めてしまう――。
じつは、このような心の疲れを感じやすい人と感じにくい人の違いは、ものの考え方・とらえ方にあるのです。
今回は、「心が疲れない人」になれる3つの思考法をご紹介します。明日からすぐに実践できる具体的なストレス対処法を知って、強いメンタルを手に入れましょう。
心が疲れない人は、嫌なことの半分の数だけ「いいこと」を探す
心療内科医の村上正人氏は、些細な出来事や人間関係にストレスを感じやすい人は、物事を0か100かで考える傾向があると指摘しています。ちょっとしたことで「あの人を許せない」「私はダメだ」と全否定的に考えるため、必要以上に大きなストレスを感じることになってしまうのです。
たとえば、上司から指摘を受けたとき、「完全に否定された」「もう信頼されていない」と極端に解釈してしまったり、同僚との小さな意見の違いを「この人とは絶対に合わない」と決めつけてしまったりする経験はないでしょうか。このような二極化思考は、日常の出来事を過度にネガティブに捉えさせ、本来なら軽く受け流せる程度のことでも深刻な悩みに発展させてしまいます。
心が疲れない人になるためには、この「0か100か思考」を改め、「物事にはいい面も悪い面もあるよね」と、中立的かつ多面的なものの見方をすることが大切。
そこで取り入れたいのが、村上氏が提唱する「2:1」で物事をとらえる思考法です。ネガティブなことが「2」あった場合、その半分にあたる「1」くらいの割合で、ポジティブな部分を探してみる――こうすると、ストレスを緩和することができるそう。
たとえば……
この「2:1」の思考法を続けることで、感情的な反応を抑制し、より建設的な問題解決に向かいやすくなるという効果も期待できます。物事を極端に考えがちな方は、ぜひこの「2:1」で考える癖をつけてみましょう。

心が疲れない人は、「問題の解決策」を考える
心の疲れをため込まないためには、ストレスの原因になっている問題の解決策を、その場ですぐ考える習慣も大切です。
精神科医の樺沢紫苑氏によると、そもそも「悩み」とは、問題に対処・解決する方法がわからず、「どうすればいいんだろう?」と堂々めぐりしてしまう状態のこと。多くの人が経験する「夜中に布団の中で同じことを何度も考えてしまう」「通勤中に昨日の出来事を繰り返し思い出してしまう」という状況は、まさにこの「悩み」の典型例です。
この堂々めぐりこそが、心を疲れさせる要因。問題そのものよりも、「解決策が見えない不安」や「どうしようもない感覚」が、継続的なストレスを生み出してしまいます。
ではどうすれば「悩み」を解決できるかというと、答えはシンプル。問題の解決策を見いだし、それを実行するだけです。そうするための手順として、樺沢氏は次の6ステップを提唱しています。
- 悩みを書く
(例)嫌味を言ってくる同僚がいる。どう接すればいいんだろう……。 - 対処法を調べる
(例)コミュニケーションに関する本を読む - やってみる(最低でも1~2週間は継続する)
(例)「笑顔でさらりとかわす」という方法で対処する - うまくいっていない点を3つ書く
(例)
- まだ笑顔がぎこちない気がする
- 嫌味を “かわす” 言葉の語彙が少ない
- 怒りを隠しきれないときがある
- うまくいっている点を3つ書く
(例)
- 嫌味を言われる頻度が減った
- 嫌味を言われても、それほどストレスに感じなくなった
- ギスギスした関係が緩和された
- 次のToDoを3つ書く
(例)- もう少しゆとりをもった言い方で “かわす” ようにする
- 怒りを感じたときは、ゆっくり息をして心を落ち着ける
- 返答のセリフをあらかじめ考えておく
この6ステップの最も重要なポイントは、「問題を具体的に分析し、改善点を客観視できる」ことです。ステップ4と5でよい点・悪い点を明確に分けることで、感情的な判断を避け、より効果的な次の行動を決められるようになります。
「どうしよう……」と悶々と悩んでいる状態を我慢し、問題を放置し続けると、心の疲れはたまる一方。ですが上記の手順で「こうすれば解決しそうだ」ということが見えてくれば、心の “霧” は晴れると樺沢氏は述べています。
ストレスを感じたときは、「何か有効な解決策はないか」と一考する癖をつけましょう。いい方法が見つかれば、悩みは消え、心を疲れさせずにすむはずです。

心が疲れない人は、「いまこの瞬間」に専念する
それでも解決できない悩みがある場合は、「いまこの瞬間」の物事に全神経を傾けることをおすすめします。その悩みについて考えないようにするのです。
精神科医で禅僧の川野泰周氏は、「つらい」「苦しい」といった負の感情を抱えているときには、脳や身体にある「疲労を促進する因子」が活発に働きやすくなると解説しています。
つまり悩みをクヨクヨと頭のなかで反芻していると、それだけでエネルギーロスが大きくなり、心(脳)の疲労がさらに膨らんでしまうのです。
さらに川野氏は、複数の情報を同時処理する「マルチタスク」も、脳を疲れさせると指摘。「何かについて悩みながら、仕事などの別のことをする」という状態が続けば、それだけで脳に負荷がかかり、疲労感や知的パフォーマンスの低下などにつながる恐れがあるのです。
つまり、いまこの瞬間にやっていること・感じていることに集中すれば、上記の2要因(ネガティブ感情による疲労、マルチタスクによる疲労)が解消され、心の疲労感を楽にできると言えます。

では、どうすれば「いまこの瞬間」に集中できるようになるのでしょうか? ひとつのアプローチとして川野氏は「目の前の物事を楽しみ、じっくり味わう」ということを提唱しています。
◆「いまこの瞬間」に集中する例
- 食事をじっくり、時間をかけて味わう
- 料理に没頭する
- アロマの香りを楽しむ
- 仕事の作業に没頭する
- 趣味に没頭する
- ゆっくり景色を眺め、色の移り変わりを観察する
- 呼吸に集中する(瞑想・マインドフルネス)
重要なポイントは、「楽しむ」という感情を意識的に持つことです。単に集中するだけでなく、その活動から得られる小さな喜びや満足感を味わうことで、より自然に「いまこの瞬間」に意識が傾きます。
継続的に実践すれば、日常的に悩みに振り回されにくい思考パターンを身につけることができますよ。
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ネガティブな面が2つあったら、1つのポジティブな面を見つけて、極端な思考を避ける
悩みを書き出し、対処法を調べて実行、改善点を分析して次のアクションを決める
目の前の物事を楽しみ、じっくり味わうことで、悩みの反芻を止める
心が疲れやすいと感じる方は、以上3つの思考法を参考にしながら、ストレスを適切に処理しましょう。
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ダイヤモンド・オンライン|精神科医が知っている「悩みがまったくない人の考え方」
川野泰周(2018),『「精神科医の禅僧」が教える 心と身体の正しい休め方』, ディスカヴァー・トゥエンティワン.