「書き殴って捨てる」で脳が軽くなる|思考整理のシンプルな方法

思考整理のために紙に書き殴り、丸めて捨てる直前のメモ

筆者が実際に書いて捨てたメモ
※記事内の実践画像はすべて筆者が作成した

「まとまらない思考をあとで整理しようと思って書いておいたスマートフォンのメモ。結局見返すこともなく、解決せずにそのままになっている……」

「感情を吐き出したメモを久しぶりに見返すと、そのときの気持ちがよみがえってモヤモヤが再発してしまった」

それならいっそのこと、メモに残さずに「書いて捨てる」を実践してみませんか?

残したメモは「未解決の課題」として脳に居座り続けます。考えがまとまらないときは、「残す」よりも「捨てる」ほうが賢明です。

この記事では、思考を軽くするシンプルで効果的な方法(ジャーナリング)を科学的根拠を交えながら紹介いたします。

ステップ1. タイムリミットは3分。思考を書き殴る「ジャーナリング」

まずは、手近にある紙を1枚用意します。裏紙でもかまいません。

今日の悩み、気になっていること、心のなかのモヤモヤなど、頭のなかで渋滞している思考をすべて書き出してみましょう。これは心理学の分野で「ジャーナリング(書く瞑想)」とも呼ばれる手法です。

通常のジャーナリングには決まった時間制限はありませんが、今回はあえて「3分間」というタイムリミットを設けます。 時間を区切ることで「きれいに書こう」とする迷いを断ち切り、強制的に脳のアウトプットを加速させるためです。

文法も誤字脱字も気にする必要はありません。箇条書きでも問題なし。 思いついた順に、とにかく出すことに集中します。

筆者は手元にあったリングノートに書き出してみました。きれいに書こうとせず、殴り書きです。

3分間で頭の中のモヤモヤを書き出したリングノート

筆者が実際に3分間で書いた「頭のなかで渋滞している思考」

意外と3分間は長く感じますし、自分の思考がどんなことにとらわれているのかを客観的に知ることができたのが収穫でした。

筆者の場合、最近迎えた仔犬のことで頭がいっぱいだったようです。 お世話がとにかく大変で余裕がなく、気づいたら一日が終わっているような毎日。 余裕がない理由なんて当たり前に気づけそうなものですが、書いてみるまで自覚がありませんでした。

🟢 書き出すことで得られる気づき

頭のなかで渋滞していた思考が落ち着き、脳に余白が生まれます。

実際、脳のワーキングメモリは保持できる容量に限界があり、情報があふれるとうまく処理できません。 思考を紙に書き出すのは、デスクトップの不要ファイルを削除し、容量を確保するようなもの。 つまり、思考空間の確保につながるのです。

📘 アメリカの心理学者キティ・クライン氏とアドリエル・ボールズ氏の研究(2001)*1

内容 結果
大学新入生が大学生活の感情について書く 「些細な話題」について書いた学生より、7週間後にはワーキングメモリの容量が向上
ネガティブ経験を書いた学生 ポジティブな話題を書いた学生より、ワーキングメモリの容量の大幅な改善と侵入思考の減少

ストレス経験を書き出すと繰り返し頭に浮かんでくることが減り、脳資源が解放される。

もし「考え事が頭から離れず集中できない」と感じたら、3分間だけ時間をつくり思考を書き殴りましょう。 短い時間だからこそ集中しやすく、脳の滞りが流れ始める感覚を味わえます。

3分間の書き出しで思考を整理している様子

📖 もっと知りたい方へ

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脳の「ワーキングメモリ」を鍛える方法。仕事の能力、勉強の効率アップには、ワーキングメモリの強化と解放が効く!

ステップ2. 書いたら読まずに捨てる【ストレス解消の科学】

次のステップでは、書き終えた紙を読み返さずに捨てます。 少し勇気が必要ですが、これが非常に効果的です。

もちろん、書いたなかには解決が必要な課題もあるでしょう。 しかし「考えても仕方がないこと」「いまさらどうにもならないこと」で頭がいっぱいになっているのなら、 その思考は手放すほうが賢明です。

「あのときああ言えばよかった」「もうイヤだ」など、 こうしたネガティブな思考は脳の大切なリソースを奪うからです。

ネガティブな思いを書き出したものを捨てることの有用性は、名古屋大学の川合伸幸氏らの研究で実証されています。怒りを感じた状況を紙に書かせたあと、その紙をどう扱うかで感情がどう変化するかを調べたところ、興味深い結果が得られました。2

🟢 名古屋大学 大学院情報学研究科教授 川合伸幸氏の研究2

行動 怒りの変化
捨てる 侮辱前と同程度まで低下
保持する/箱に入れる ほとんど減らない
シュレッダー 怒りが減少

つまり「書いて捨てる」行為は、思考や感情を整理する方法として科学的にも理にかなっているのです。

筆者も書きなぐった紙を丸めて捨ててみました。

筆者が書き殴った紙をまるめた様子

筆者が書き殴った紙をまるめた様子

実際に捨てる行為を通して、「いまはもういいや」と気持ちが軽くなりました。

「まさにいま怒りを感じている」「嫌なことが頭から離れない」――このようにネガティブの渦中にいるときほど効果を実感できます。

⚠️ 捨てる際の注意点

書き出した内容には本音が詰まっています。職場であればシュレッダーにかける、自宅であればゴミ箱の底に押し込むなど、誰にも見られないように完全に処分することで、安心して思考を吐き出すことができます。

📖 もっと知りたい方へ

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ネガティブ感情を「書きなぐって捨てる」と心がスッキリするワケ。

【応用編】寝る前の3分間リセット術【睡眠の質を上げる】

「あのときもっと別の言い方をすればよかった」「誤解されていないかな」 寝る前に後悔が押し寄せてくる――そんな経験はありませんか?

寝る前の思考は睡眠の質に悪影響を与えます。 疲れがとれず、仕事のパフォーマンスにも影響が出ます。

医学博士の白濱龍太郎氏は質の良い睡眠のために、「『頭を空っぽにする』ことも大切」だと述べています。 白濱氏自身も、寝る前に「その日のうちに解決できないことをアウトプットすることで、頭の中から追い出してしまう」ことを実践しているそう。*3

寝る前の3分間は、頭のなかのリセットタイム。枕元に紙とペンを用意し、気になっていることをすべて書き出してしまいましょう。

🟢 寝る前に書き出すポイント

  • 中途半端になっている仕事のこと
  • 明日への不安
  • 心にひっかかっている同僚から言われたひとこと
  • 後悔している出来事

紙にすべて書き出し、最後はクシャクシャっと丸めて捨てる。 これが翌日を軽やかに迎える準備になります。

寝る前3分を「明日のパフォーマンスのための準備時間」にしましょう。

寝る前にベッドで気になることを書き出している女性

📖 もっと知りたい方へ

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あなたはどんなナイトルーティン? おすすめの夜習慣13選

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思考を整理するメモは、残すためではなく手放すためのもの。紙とペンさえあれば、今日から始められます。

「書いて捨てる」――この3分間の習慣が、翌朝の頭を驚くほど軽くしてくれるはずです。

よくある質問(FAQ)

Q. なぜスマホのメモではなく紙に書くのですか?

紙に手書きすることで、脳がより積極的に情報を処理するためです。また、「丸めて捨てる」という物理的な行為が感情の手放しを促進します。スマホのメモでは削除しても「どこかに残っている」感覚が残りやすく、心理的なリセット効果が薄れてしまいます。

Q. 3分間で書ききれない場合はどうすればいいですか?

3分間はあくまで目安です。書き足りない場合は5分程度まで延長してもかまいません。ただし、長くなりすぎると「整理しよう」という意識が働き、本来の目的である「吐き出す」ことから離れてしまうため、最長でも10分程度に留めることをおすすめします。

Q. 書いた内容を見返してから捨てたほうがいいですか?

いいえ、見返さずに捨てることをおすすめします。名古屋大学の研究でも、紙を「保持する」場合は怒りがほとんど減らなかったのに対し、「捨てる」場合は怒りが大幅に低下しました。見返すと感情が再燃する可能性があるため、書いたらそのまま丸めて捨てましょう。

Q. 毎日続けないと効果がありませんか?

毎日続ける必要はありません。「考え事が頭から離れない」「イライラが収まらない」と感じたときに実践するだけで十分です。ただし、寝る前の習慣として取り入れると、睡眠の質向上や翌日のパフォーマンスアップに継続的な効果が期待できます。

【ライタープロフィール】
澤田みのり

大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。

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