「成功する人」が絶対にやらない3つのこと。運のいい人は ”あの習慣” が違う

会議で話しているビジネスパーソン

「明日の会議、急にプレゼンを任されてしまった……準備時間もないし、どうしよう」

——なんで、私だけトラブルが多く起こるのだろう?
——部署内の連携もうまくいかない。同期はもっと評価されているのに……。

こんなふうに「周囲と比べて運が悪い」と悩んでいませんか?

じつは「運がいい人」と「運が悪い人」の違いは「思考習慣」にあります。「運も実力のうち」という言葉があるとおり、成功する人は努力だけではなく、運も味方につけているのです。

今回は「運のいい人がしないこと」を3つ紹介します。あなたの仕事運を変えるヒントとなれば幸いです。

1. 「自分は運が悪い」と決めつけない

「自分は運が悪い」という思い込みは、可能性を狭めてしまいます。一方で、運のいい人は根拠がなくても「自分は運がいい」と肯定的に捉える習慣を持っています。

脳科学者の中野信子氏は、「実は『運がいい』と思っている人も『運が悪い』と思っている人も遭遇している事象は大差が無い場合が多い」と述べ、「自分は運が悪い」と思っている人には、「努力の余地」が生まれないと指摘します。*1 この違いは、日常のビジネスシーンで顕著に現れます。たとえば「会議のプレゼンを急に任せられた」という同じ状況でも、受け取り方によって結果は大きく変わってきます。

「会議のプレゼンを急に任せられた」場合
「自分は運が悪い」と思っているAさん
急に依頼がきて困る……準備する時間もないし、断ったら上司から信頼を失う。でも、ミスしたら評価は下がるし……運が悪いなあ
「自分は運がいい」と思っているBさん
急に任されたのは、私が迅速に対応できると上司から信頼されている証拠。ここで成功できたらもっと評価も上がるだろう

この場合、Aさんは「自分は運が悪い」という思い込みから「どうせうまくいかない」と消極的に準備を進めるでしょう。

一方、Bさんは「運がいい」と思っているので、「チャンスだ」と肯定的に捉えて準備に取り組むでしょう。たとえ本番でミスをしても「貴重な経験になった」「次回はもっとうまくできる」と前向きに発表を続けられます。

「運がいい・悪い」という思い込みが、その後の行動を大きく左右します。だからこそ、客観的な根拠がなくても、まずは「私は運がいい!」と思い込むことが重要なのです。

中野氏は上記に加えて、「プラスの自己イメージ」をもつことを提案しています。中野氏がその根拠として紹介するのが、イギリスで行なわれたメンタルローテーションタスクの実験です。*1

メンタルローテーションタスクの実験 
実験内容
始めに図形を表示し、あとで5~6つの回転する図形から前述と同じものを選ぶテスト
パターン①:最初のアンケート調査で「性別」を質問した場合
女子学生の正答率 = 男子学生の64%
パターン②:最初のアンケート調査で「所属大学」を質問した場合
女子学生の正答率 = 男子学生の86%

これは「男性のほうが図形のテストで高得点を取る」という先入観と「自分は優秀な大学の学生だ」という自己イメージの違いが、実際のパフォーマンスに影響を与えることを示しています。要するに、「自己イメージの高さ」が結果を左右したのです。

自己イメージを高めるために、経験やスキルを肯定的に捉え直してみましょう。以下のように、これまでの実績や強みを意識的に言葉にしてみてください。

<営業で顧客と話す前>
「これまで複数の部署との調整業務で培った説明力がある。今回も相手の立場に立って、分かりやすく要点を伝えられるはずだ」
<資格試験に挑む前>
「忙しいなかでもコツコツと勉強を続けて、着実に知識を身につけてきた。この積み重ねがあれば必ず結果につながる」」

大切なのは、自分の強みや可能性を意識的に言葉にして、前向きな自己イメージを定着させることです。思い込みを変えるだけで、行動が変わり、結果も変わっていくはずです。

自己イメージの高い男性

2. 「自分の得ばかり」考えない

「運のよさ」は関わる人によっても左右されるものです。じつは、利己的な人は運を下げる人を引き寄せ、利他的な人は運をよくする人を引き寄せることが、科学的にも説明できます。

京都大学大学院工学研究科教授 藤井聡氏は上記について「認知的焦点化理論」をもとに説明しています。

認知的焦点化理論とは
「人間が心の奥底で何に焦点を当てているか」に着目した心理学理論 *2

藤井氏が注目しているのは「物事に向き合うときに、どのくらい他人のことを配慮できるか」という点です。*2

「競争の激しいビジネス社会で、他人を思いやっても損をするのでは?」と考える人も多いかもしれません。しかし実際には、自分の利益ばかりを追求する人の周りに、心から協力してくれる人が集まることはほとんどありません。なぜなら、私たちは無意識のうちに相手の動機を察知しているからです。藤井氏は次のように説明します。

この人は自分のことを裏切っているなと思うと「嫌」と感じ、距離を置く。ところが協力的な人には、どことなく気持ちよくなり、どんどん近づいて距離が縮まっていく。*2

つまり、私たちは潜在意識(=心の奥底)で「この人は自分の利益しか考えていない」「この人は本当に私のことを思ってくれている」と、相手の真意を直感的に判断しているのです。

これは、いわゆる「引き寄せの法則」に近いもの。他者への思いやりを持つ人には、同じように善意を持った人が自然と集まってきます。一方で、自分の得ばかりを考える人の周りには、「この人を利用できないか」と損得勘定で判断する人しか近づかなくなってしまうのです。

職場でのよくあるシーンで考えてみましょう。プロジェクトで困っているメンバーがいるとき、「自分の仕事が増えるから関わりたくない」と考える人もいれば、「少しでも力になれればいいな」と手を差し伸べる人もいます。後者のような行動を続けている人の周りには、自然と協力的な同僚が集まり、いざというときに助けてもらえる環境が形成されます。

藤井氏によると、たとえば「一方が1を与えたら、相手は『ありがとう』と感謝して、その1.5を返す」と、相乗効果が生まれ、人生が豊かになっていく——つまり、「運がよくなる」とのこと。*2

たとえば、同僚が「資料作成を手伝ってくれた」ときは——

「ありがとうございます!おかげで質の高い資料に仕上がりました。
今度は私がお手伝いできることがあれば、遠慮なく声をかけてください」

こんなふうに、感謝と優しさを返してみてください。優しさが連鎖すれば、あなたの「人運」も「仕事運」も高まるはずですよ。

助け合いながら山を登っている人々

3. 「強くなければいけない」と追い込まない

「成功のためにはレジリエンス(回復力)が大切」だとよく聞きますよね。そのため、成功のためには「強い心を持つべき」だと考える人も多いでしょう。

しかし、ポジティブ心理学協会認定レジリエンス・トレーナーの菅原聖也氏は「強くあらねばならない」と考えるのは逆効果だと述べます。運のいい人は、自分を不必要に追い込まないのです。菅原氏は以下のように解説しています。

逆に「強い心を持とう、持とう」と思った時に、その反動として等身大以上に自分を強く見せようとする悪い方向に出てしまうこともあります。*3

たとえばプロジェクトのリーダーを任されたとき、「チームをまとめるために、強くいなければ」と無理をしすぎると、部下の相談を聞く余裕がなくなったり、自分のミスを認められなくなったりして、かえってチーム内の信頼関係を悪化させてしまうことがあります。「強い心で」と追い込みすぎると、完璧さを自他に求めてしまい、かえって失敗する可能性があるのです。

一方、成功を引き寄せる人は、「弱さを受け入れて、適切な行動を選ぶ」しなやかな心をもっています。

自分の弱さを認めて、人に助けを求めつつ、でも人にはない自分の強みは活かして、みんなで、企業組織であればチームとしてやっていく。そういったことができるのは、むしろ「レジリエンスが高い」というイメージです。*3

「弱さを認める」「人に助けを求める」「自分の強みを活かす」この条件がそろえば、周囲に親しみやすさを与え、協力をえやすく、自身のパフォーマンスも上がるわけです。

フィギュアスケートの羽生結弦選手も「つらいときは、それを認める」と、自分の弱さを素直に受け止めています。自分の「弱さ」と「強さ」を柔軟に受け入れている(=レジリエンス)からこそ、演技に集中し、華麗な表現で多くの人を魅了したのです。*4

実際のビジネスシーンで考えてみましょう。重要な商談を控えているが、相手企業の情報収集が不十分だった場合——「レジリエンスが高い」行動パターンは次のようになります。

1.弱さを認める
「明日の商談相手について十分な情報収集ができていない。このままでは相手のニーズを的確に把握できず、的外れな提案をしてしまう可能性がある」
2.人に助けを求める
「今日の午後ミーティングの時間をいただけませんか? 商談を成功させるために、皆さんの知見やアドバイスをお聞きしたいのです」
3.自身の強みを活かす(商談相手に対して)
「弊社では、お客様の課題を一緒に整理し、長期的な視点で最適な解決策をご提案することを得意としています。今回も御社の状況をじっくりお聞きし、真に価値のあるご提案ができればと思います」

「運のよさ」は周りを巻き込む力でもあります。「すべてを一人で背負い込まなければならない」と考えるよりも、「困ったときこそ周囲の力を借りて、みんなで乗り越える柔軟性」を身につけてみましょう。

***
「あの人は運がいい」そんなふうに見える人は、日々の行動と考え方によって、自然と良い結果を引き寄せているのかもしれません。占いやスピリチュアルなど特別なことではなく、「自分や相手が気分よくいられる」方法を知っている人が、「成功する運のいい人」なのです。

【ライタープロフィール】
青野透子

大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

会社案内・運営事業

  • 株式会社スタディーハッカー

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
    >>株式会社スタディーハッカー公式サイト

  • ENGLISH COMPANY

    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
    >>ENGLISH COMPANY公式サイト

  • STRAIL

    ENGLISH COMPANYで培ったメソッドを生かして提供している自習型英語学習コンサルティングサービス。専門家による週1回のコンサルティングにより、英語学習の効果と生産性を最大化する。
    >>STRAIL公式サイト