「ランチのあとは眠くなり、パフォーマンスが上がらない」
こんなお悩みをおもちの方は、時間がないからと、ラーメン、菓子パン、おにぎりで昼食を済ませていませんか?
食後の眠気は血糖値の急上昇・急降下が関連しており、炭水化物のみの食事は血糖値の不安定を招きやすいことがわかっています。
本記事ではランチ後もパフォーマンスを上げて仕事に取り組むために、血糖値の乱れを防ぐ食事の選び方・摂り方を紹介していきます。
ぜひ、ご自身が取り入れられそうなランチを探してみてください。
- サラダチキン + サラダ + 玄米おにぎり
→ 重要な会議の2時間前におすすめ。タンパク質と食物繊維で血糖値が安定し、集中力が持続 - ツナサラダ + 全粒パン + くるみ
→ 脳の働きをサポートするオメガ3脂肪酸入り。アイデアが必要な企画会議の前に - ゆで卵 + 豆腐サラダ + 玄米おにぎり
→ 低糖質なのに満足感が高い。お腹が空きにくく、長時間のデスクワークに集中できる - 焼きサバ弁当(玄米、にんじんやほうれん草の副菜)
→ 午後の大型プレゼンに。DHAとEPAで脳の働きをサポート、集中力と記憶力アップ - イワシの缶詰 + 玄米おにぎり + キャベツサラダ
→ リモートワーク時の効率アップに。手軽に栄養バランスが整う - サーモンとアボカドのサラダ + 全粒パン + チーズ
→ 締切作業が続く週の疲労回復に。良質な脂質とタンパク質で集中力を持続
※コンビニでの取り扱いを保証するものではありません。
ビジネスシーンに応じた活用術
ビジネスパーソンの1日は、さまざまな仕事のシーンの連続です。そのシーンに合わせてランチを選ぶことで、午後の生産性は大きく変わってきます。
重要な会議やプレゼンに臨むとき
会議2時間前のランチ選びが、あなたのパフォーマンスを左右します。このタイミングで血糖値の急上昇を避けることで、会議中の集中力が持続します。例えば、焼きサバ弁当(玄米、にんじんやほうれん草の副菜)は、DHAとEPAで脳の働きをサポートしながら、ゆっくりとエネルギーを補給できる理想的な選択です。
締切週を乗り切るために
締切週は、月曜から金曜まで高いパフォーマンスの維持が必要です。ここで多くの人が陥る失敗は、「毎日同じように気を張る」こと。実は、めりはりをつけた方が効果的です。
月曜と木曜は高タンパクメニューで集中力を確保、火曜と水曜は適度な炭水化物で持久力を維持、金曜は軽めのメニューで疲労を防ぐ。このようなリズムをつけることで、週末まで力を発揮し続けることができます。
リモートワーク時の落とし穴
在宅勤務の落とし穴は、「食事の準備に時間がかかる」「冷蔵庫を開けすぎる」という2点。これを避けるには、前日のうちにコンビニで翌日のランチを確保しておくのが賢明です。イワシの缶詰と十六穀米おにぎり、キャベツサラダの組み合わせなら、手軽に栄養バランスが整い、準備や片付けの手間も最小限で済みます。
アイデアが必要な企画会議の前に
企画会議では、普段以上に脳を活性化させる必要があります。ツナサラダと全粒パン、くるみの組み合わせがおすすめです。オメガ3脂肪酸が豊富なツナとくるみが脳の働きをサポートし、全粒パンの食物繊維が集中力の持続をサポートします。
長時間のデスクワークに備えるとき
午後いっぱいパソコンに向かう日は、お腹が空いて集中が途切れないよう、満足感の高いメニューを選びましょう。ゆで卵と豆腐サラダ、十六穀米おにぎりの組み合わせは、低糖質なのに満足感が高く、長時間の集中力維持に役立ちます。
大切なのは、これらの組み合わせを絶対的なものとせず、自分の体調や好みに合わせて調整すること。この記事で紹介した選び方のポイントを参考に、あなたなりの「必勝パターン」を見つけていってください。
なぜランチが午後のパフォーマンスに影響するのか
「正しい食事をしなければ」というプレッシャーを感じているビジネスパーソンは多いはずです。しかし最新の研究では、意外な事実が次々と明らかになってきました。
健康な人の血糖値は一定に保たれますが、血糖値の変動が激しい人もいます。食後に眠くなる人は後者に多く、その場合はもしかしたら血糖値スパイクが生じているのかもしれません。
「食後に強い眠気や倦怠感を感じたり、イライラしやすくなったりする人は血糖値スパイクによる低血糖が原因かもしれないので要注意」と語るのは、同志社大学生命医科学部予防医学研究室教授の米井嘉一氏。*1
血糖値スパイクが生じたあと、次のような流れで低血糖状態に陥ります。
食後に血糖値が急上昇
↓
糖をエネルギーに変えようとして、インスリンが大量分泌
↓
血糖値が急降下
↓
低血糖状態になり、睡魔が襲ってくる
では、単に糖質を制限すれば良いのでしょうか? 実はそれも大きな誤解です。令和4年度日本栄養・食糧学会功労賞を受賞した柴田克己氏は次のように指摘します。
エネルギー源となる栄養素だけでなく、エネルギー産生に不可欠なビタミンやミネラルも摂取しなければ、体はエネルギーを満足に得られず、それが疲れやだるさ(倦怠感)というかたちで現れるようになると考えられます。*3
つまり、エネルギー不足は疲労を招くのです。炭水化物や糖質を極端に減らすなどして栄養バランスが乱れてしまえば、疲労から睡魔が襲ってきたり集中力が低下したりしてしまう可能性があります。
はじめての人のための実践ガイド
最強のランチ選びを、3つのレベルに分けて始めてみましょう。
Level 1:まずはこれだけ!
最初は「野菜を先に食べる」という単純なことから始めましょう。野菜やきのこ類を食べてから、おかずと主食をおり交ぜて食べることで、血糖値の急上昇を防げます。これだけでも、午後の眠気防止に効果があります。
具体的な買い物の仕方:
- コンビニに入ったら、まずサラダを手に取る
- 次に主菜(サラダチキンやサバなど)
- 最後に主食を選ぶ この順番で選ぶことで、自然と野菜を含めたバランスの良い食事になります。
Level 2:シーンに応じた使い分け
慣れてきたら、仕事内容に合わせて食事を選んでみましょう。
午後に会議がある日:
- 血糖値の安定を意識
- 玄米や全粒パンなど、ゆっくりエネルギーになる主食を選択
- 魚や大豆製品など良質なタンパク質を含むメニューを選ぶ
デスクワークが続く日:
- 満足感の高いメニューを
- タンパク質と食物繊維を意識的に摂取
Level 3:一週間単位での管理
さらに効果を上げたい場合は、一週間単位での食事管理に挑戦してみましょう。
ポイントは3つ:
- 朝は炭水化物をしっかりと
- 昼は仕事内容に応じて調整
- 毎日同じような食事にせず、変化をつける
月曜日から金曜日まで、午後の仕事内容に合わせて食事内容を変えていくことで、一日を通して高いパフォーマンスを維持できます。
いきなり完璧を目指す必要はありません。Level 1から始めて、少しずつステップアップしていけば、自然と「賢いランチ選び」が身についていきます。
たまには好きなものを食べることも秘訣
ランチ後の睡魔は血糖値と関連することをお伝えしてきました。
「せっかくのお昼休みくらい好きな食べ物を食べたい」と思われる方もいるでしょう。
前出の米井氏は、「ストレスは血糖値を上げるホルモンの分泌を促進させ、血糖値の急激な上昇を促」すと話します。*1
好きなものを食べられないことにストレスを感じて血糖値が上がってしまっては本末転倒ですから、「水曜日は好きなものを食べて、ほかの曜日は血糖値を意識する」のようにしてもいいかもしれません。
***
できるビジネスパーソンは、ランチも戦略的に選んでいます。ぜひ本記事を参考に、ランチ後も高いパフォーマンスを発揮していきましょう!
※引用部分の太字は筆者が施した
*1 養命酒製造株式会社|食後の急な眠気の原因は血糖値スパイク?予防に効果的な食事法4選
*2 食 Do!|食後のだるさや眠さを招く「糖質疲労」とは?
*3 健康サイト by アリナミン製薬|その疲れの原因は「栄養不足」かも!? ~withコロナに潜むリスク~
*4 Business Insider Japan|栄養士が薦める、日々の生活に取り入れたい高タンパク&低糖質な食べ物 16
*5 ZENB(ゼンブ)公式通販|食物繊維には血糖値の上昇を抑える効果が!その理由を解説
*6 ELLE gourmet|栄養士が推奨する、体にいいヘルシーな14の炭水化物
*7 日本調剤|体調管理に必要な栄養素!~ビタミン・ミネラル~【栄養だより2021年6月号】
*8 サントリーウエルネスオンライン|オメガ3系(n-3系)脂肪酸と脳の関係オメガ3系脂肪酸を含む食品を使用したレシピ
澤田みのり
大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。