「きれいなノートをつくると、気分だけでなく勉強のやる気も上がる」
「ノートのとり方をほめられて、人から見せてほしいと頼まれることがよくある」
こうした言葉をモチベーションに、常日頃からノートづくりに精を出している人はいませんか。その姿勢、もしかすると勉強に無駄な労力をかけてしまっているかもしれません。
そんな人におすすめしたいのが、「間違いノート」と呼ばれるノートのつくり方。今回は、テストで間違えた問題を集めた間違いノートを、実際に筆者が作成してみました。最短距離で学習成果をあげてくれるノートづくりの方法を、みなさんもぜひ実践してみてはいかがでしょうか?
勉強した内容の再現性を高める「間違いノート」
「間違いノート」とは、その名のとおり「間違えた箇所だけを1冊のノートにまとめたノート」のことです。間違いノートの目的は、そのまとめ方の美しさに満足することではありません。というのも、間違いノートは「再現性」を高めることが目的だから。
ベストセラー『東大作文』『東大読書』を世に送り出した現役東大生作家の西岡壱誠氏が東大生100人以上に実施したアンケートによれば、彼らはノートやメモをとる目的について、「授業や読書などで得た情報を、あとから自分で『再現』できるようにするため」と答えたそう。ノートやメモを見なくても、友人にそっくりそのまま「講義」できるようノートをとる東大生の姿勢は、まさしく日本一の頭脳をもつ学生らしいですね。
色ペンやマーカーなどを使って、ただきれいなノートをまとめるのに何十分も何時間もかけていては、書いた内容を記憶したり問題を解いて練習したりする時間が減ってしまいます。自分ができなかったことのみに特化したノートをつくることで、学びを効率的に得られるようになるのです。
「間違いノート」が有効だと言えるのはなぜ?
間違いノートの基本的な役割は、自分がテストで答えられなかった・間違えた問題をリストアップすること。この「間違いをリストアップすること」こそが、今回のポイントになります。
教育大手ベネッセコーポレーションで進研ゼミの編集に携わったのち、教育分野を中心にフリーライターとして活動する太田あや氏によれば、間違えた問題だけに焦点を当てることで、自分の弱点が徐々にクリアになっていくそう。
たとえば、間違えた原因を分析する際、「正解を覚え間違えていたから」「時間制限に焦ってしまったから」あるいは「そもそもその問題と答えを知らなかったから」といった点が浮かび上がってくるでしょう。こうした「間違いの原因」を挙げていくと、特に自分がひっかかりやすい問題の傾向がきっと見えてくるはず。傾向がわかれば、今後の対策を考えるときに困りません。
正解の覚え間違いであれば、もう一度正しく覚える。時間制限に起因したミスなら、次のテストでは時間配分に気をつける。また、そもそもその問いに対する答えを知らなかったのであれば、新たに勉強して覚える。間違いノートにリストアップした間違いを詳しく分析し、次の機会に備えられることが最大のメリットなのです。
また、大学講師や建設会社の事務などいくつもの職を兼任し、『30代で人生を逆転させる1日30分勉強法』の著者でもある石川和男氏は、間違いノートをつくる際の注意点として、必ず出典を載せることを挙げています。
間違いノートを繰り返し眺めていると、前後の問題は何だったか、どのような流れでテストが構成されていたのかなど、気になる点が出てくることもあるでしょう。そのときに、もし出典情報が記入されていないと、戻って確認できません。出典を記載していれば、知りたい箇所へスムーズに戻り、学びをより深めることができるのです。
「間違いノート」を実際につくってみた
実際に筆者も、テストで間違えた問題を中心に、間違いノートをつくってみました。今回対象としたテストは、言語学の授業での確認テスト。筆者は20問のうち3問を間違えてしまいました。そこで、この3問に焦点を当てた間違いノートを作成。
まず、間違えた問題の番号と問題文をすべて書きます。問題文をすべて書く理由は、問われている内容だけでなく関連事項も盛り込まれているから。先にも触れた「再現性」の観点から、正しい解答をもし次の機会に再現できなければ、せっかく間違いノートをつくった労力が無駄になってしまいます。また、同じ文章でも空欄の場所が違うなど、異なる形式の問いに遭遇したときの対策にもなりえるのです。
続いて、問題文の下には青色で自分の解答と、赤色で適切な解答とを並べ、さらにその下には、間違えた原因の詳しい説明を付してみました。
今回は単語を答える問題が主でしたが、記述式で答えなくてはならない場合は、論理的に説明できないと正解とは認められません。大事な点には下線を引いたり、色を変えたりして強調し、また求められているキーワードなどを確実に覚えようと注意しました。
「間違いノート」をつくったら再現性が上がった!
今回、テストで筆者が間違えた問題の多くは、覚え間違いが原因でした。より一般的な解答を求める問題では、特殊な答えを書いたり、似たような事項が混ざっていたりと、ケアレスミスが目立ちました。
したがって、それらの違いが理解できるようになることを目的に、間違いを洗い出すだけでなく、ネットで調べたり教科書で学んだりした内容について、説明文を間違いノートの該当箇所に加えるようにしました。そうすることで、同じ問題が出たとしても、しっかりと区別がつけられるようなノートづくりを心がけたのです。
3日後に行なわれた抜き打ちの再テストでは、前回間違えた問題に自信をもって解答することができました。また数問ではありますが記述式の問題も出題され、覚えたキーワードを駆使して満点をとることができました。学習した内容に対して再現性が発揮された結果だったのではないかと思います。
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間違いノートは、自分が間違えてしまった問題だけにフォーカスを当てた復習のやり方です。すべての問題を網羅する必要はありません。自分がどこにつまずいたのか、なぜ間違えてしまったのかを分析し、成績向上につなげてみてください。
(参考)
東洋経済Online|東大生の「ノートのとり方」が本質的で凄すぎた: 300冊を調査した東大生が証言する3つのコツ
ベネッセ教育情報サイト|成績アップに役立つ「問題復習ノート」の作り方4「まちがいは消さない」
リクナビNextジャーナル|この「勉強法」は、やってはいけない
【ライタープロフィール】
YG
大学では日韓比較文学を専攻し、自身の研究分野に関する論文収集に没頭している。言語学にも関心があり、文法を中心に日々勉強中。これまでに実践報告型の記事を多数執筆。効果的で再現性の高い勉強法や読書術を伝えるべく、自らノート術や多読の実践を深めている。