計画は「行動の条件」ではなく「補助輪」。学びが続く人の考え方

「Plan」と書かれたノート

新しい年の初めに「今年こそはこれを学ぶ!」と決めた方は多いのではないでしょうか。目標を掲げ、計画を立て、やる気に満ちていたことでしょう。

しかし――気づけば数週間が過ぎ、何も始めていない。あるいは、始めたものの、すぐに途切れてしまう。じつは筆者もそのひとりです。

その背景には、「ちゃんと学びたいから準備万端にする」→「万全の状態で行なう厳密な計画を立てた」→「いつの間にかその計画が重荷になってきた」という段階があります。

では、学び続けられる人はどう計画を立てているのでしょう? じつはそれが、計画とは言えないような「軽い計画」の可能性があるのです。本稿では、継続できる人・できない人の「計画の扱い方」という視点で、学び続ける方法を探ります。

継続できない人の「重い計画」

継続できる人の話を聞くと、自分にもできそうだと感じるのに、いざ計画してみると続かない。そんな経験はありませんか?

その原因は、学びが続かない人々がもつ以下の要素にあるかもしれません。

  1. 理想的な前提
  2. 準備完了の前提
  3. からの~厳密な計画

これらが示すのは、無理がある設定です。それぞれ説明しましょう。

1. 理想的な前提

「毎朝○分、英語の勉強をする」
「週末にまとめて○冊、本を読む」

こうした具体的な計画は合理的ですが、まったく続かないケースがあります。それは、計画と現実に大きな隔たりがある場合です。

習慣化アプリ「継続する技術」を提供するbondavi株式会社代表取締役の戸田大介氏によれば、私たちは何かを始めるとき「無意識のうちにも高い目標を設定」してしまう傾向があるといいます。*1

それに付随して、無意識のうちに "理想の状態" を前提にしている可能性があります。しかし、こうした状況は現実的に多くありません。

  • その時間は集中できる状態が確保されている
  • そのタイミングで体調は安定している
  • その時間帯は一切邪魔が入らない

突発的な仕事が入る日もあれば、体調がすぐれない日もある。子どもが熱を出すこともあれば、気分が乗らない日もあります。

そうなると理想的な計画は、未来の自分への要求と化してしまうのです。

――この日、無理があっても自分は計画通りに動くべき――

やがて、それは大きな負担となり、あなたの行動を重くしてしまうでしょう。

計画通りいかず困っているビジネスパーソン

2. 準備完了の前提

また、「準備完了」を前提にしてしまうことも、計画が行動を妨げる原因のひとつです。

たとえば、以下のように考えた背後には、「ちゃんとやりたい」という誠実さがあるかもしれません。しかし、これらの計画には勉強以外に、それぞれ "重い要素" が入っています

  • 仕事がひと段落ついたら、週末十分に時間をとって△△の勉強を進める」
  • まずは頼まれた○○を終わらせて、△△の勉強からきっちり始めよう」

前者は仕事の完了で、後者は頼まれごとの完了です。

これらを終えたときにはすっかり疲れて、勉強に向ける余力が残っていないのではないでしょうか。

クタクタな状態で夜遅く勉強に向かうビジネスパーソン

3. 厳密な計画

そして、ただでさえ忙しいビジネスパーソンが、1や2を経過してなお、完璧すぎる厳密な計画などこなせるでしょうか。

たとえば一見、「ちょっと頑張ればできるかも」と思わせるような計画でも――

  • 平日は毎日20時から30分間教材を開き、1日1章、章末問題まですべて必ず終える
  • 遅れが出た場合は、翌日に不足分をまとめて取り戻す(最大2章分)
  • 週末には1週間分(5日間)の学習ログを振り返り、次週の計画を微調整する

このようにギッチリ厳密に立てられた計画では、置かれた状況によって続けるどころか、始まりもしない可能性があります。

その結果、せっかく立てた計画を毎回こなせず、自己嫌悪に陥ってしまう……。

そうなると、今度は負のループに突入してしまう可能性だってあるのです。

落ち込んでいるビジネスパーソン

だからこそ継続できない人は、発想の転換が必要です。無理せず勉強を継続できている人々にならいましょう。

継続できる人の「軽い計画」

勉強を継続できる人は、まず「この計画を厳守しなければ意味がない」とは考えません。そして計画は、「行動の条件」ではなく「補助輪」だと考えています。補助輪と言えば、最初は自転車に必要でも、慣れてくれば外れていくもの。

つまり、継続できる人にとって「計画」とは、まず行動を「始めるためのもの」。そして、柔軟に変え、状況に応じて縮小し、ときには捨てて「継続するためのもの」なのです。

それは完璧な計画ではなく、すぐにでも始められて、自由に変えられる柔軟な計画にほかなりません。以下に、具体的なふたつの方法を紹介しましょう。

①「最初の一手」だけ決める

たとえば次に示した例のように「最初の一手」だけを決めておくと、行動のハードルが劇的に下がります。

「最初の一手」だけを決めておく変換例

  • 「毎朝1章読む」のではなく「朝起きたら本を開く
  • 「毎晩30分勉強する」のではなく「毎晩○時には勉強スペースに腰を下ろす

その際に、少し本を読み進めたり、ちょっと参考書を開いたりすれば、それだけでも大成功。いったん始めてしまえば、あとは自然と続くものです。

なぜなら、「行動の第一歩」をわずかでも踏み出し、少しでも達成感を得られたら、「やればできる」という自信とモチベーションにつながるから。

最初の一手だけを決めて「超極小の最初の一歩」を踏み出し、あとは柔軟に変えていく――これが継続の鍵となるはずです。

②「時間」ではなく「場面」を決める

もうひとつ、継続できる人がよくやっているのは、「いつ・何分やるか」ではなく、「どんな場面でやるか」を決めることです。

たとえば、

「時間」ではなく「場面」を決める変換例

  • 「毎晩30分勉強する」ではなく→「仕事が終わって席を立つ前に1ページだけ読む
  • 「週末にまとめて勉強する」ではなく→「週末にコーヒーを入れたら参考書を開く
  • 「○○を完了できたら学ぶ」ではなく→「いつもの○○ルーティン直後に学ぶ

といった具合です。

人は、「時間」そのものよりも、「行動の流れ」によって動きやすくなります。すでに習慣化されている行動の直後に学びを差し込むことで、「やるかどうかを考える」工程を省けるのです。

――

これらの考え方は、行動を最小限にしてルーティン化し、「モチベーション・能力・きっかけ」のバランスを整えると説明されている「タイニー・ハビット」(行動科学者のBJ・フォッグ博士が開発)にも通じるものがあります。*2

忙しい日や疲れている日でも、最低限の行動は維持しやすくなるでしょう。また、場面にひもづいた軽い計画は、現実の生活と衝突しにくく、結果として継続につながるはずです。

***
学びが続く人にとって計画は、行動を縛るためのものではなく、始めやすく、続けやすくするための「補助輪」です。

  • 重く感じたら→小さく
  • 状況が変われば→外してしまう

そんなふうに、もっと柔軟でいいのではないでしょうか。

つまり、学び続ける人は「完璧な計画を持つ人」ではありません。計画と、うまく距離を取れている人なのです。

よくある質問

Q.勉強が続かない人に共通する計画の特徴は?

A.「理想的な前提」「準備完了の前提」「厳密な計画」という3つの要素が揃っていることが多いです。これらは現実と乖離しやすく、計画自体が負担となって行動を妨げてしまいます。

Q.継続できる人の計画は何が違うのですか?

A.継続できる人は計画を「行動の条件」ではなく「補助輪」と捉えています。柔軟に変え、状況に応じて縮小し、ときには捨てることで継続につなげています。

Q.「最初の一手」だけ決めるとは具体的にどういうことですか?

A.「毎朝1章読む」ではなく「朝起きたら本を開く」、「毎晩30分勉強する」ではなく「毎晩○時には勉強スペースに腰を下ろす」というように、最初のアクションだけを極小化して決めることです。

Q.なぜ「時間」ではなく「場面」を決めると続きやすいのですか?

A.人は「時間」そのものよりも「行動の流れ」によって動きやすくなるためです。すでに習慣化されている行動の直後に学びを差し込むことで、「やるかどうかを考える」工程を省けます。

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部

「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。

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