もう勉強時間をムダにしない! 資格試験勉強の新定番「マトリクス」で弱点を可視化する方法

パソコンの前にノートとテキストが置いてある

「また同じミスをしてる……」

資格試験の問題集を開いて、思わずため息がこぼれる。何度も解いたはずの問題なのに、また間違えてしまった。解説を読み直して理解しても、応用問題になると、すぐにまた間違えてしまう……。

忙しい毎日の中で、効果的な学習方法を見つけられず悩んでいませんか?

苦手分野が多すぎて優先順位がわからない、解いた問題を忘れてしまう、時間をかけて勉強しているのに点数が伸びない……そんな資格試験勉強の悩みを解決するのが「マトリックス」を使った学習法。

問題の「得意・不得意」と「できた・できなかった」を分析することで、あなたの弱点を可視化し、限られた時間で最大限に効果を引き出す勉強法です。この記事では、資格試験の勉強に役立つ「受験マトリックス」を、筆者の実践を交えて紹介します。

「頑張ってるのに結果が出ない…」資格試験勉強でハマりがちな落とし穴

資格試験の勉強を進めるなかで、こんな悩みに直面したことはありませんか?

・どこから手をつければいいかわからない

とりあえず過去問を解いてみたものの、わからない問題が多すぎて、何を優先して勉強すべきか決められない。

・勉強しているのに成績が伸びない

一生懸命問題を解いているのに、模試の点数が伸びず、努力が報われない気がする。

・同じミスを何度も繰り返してしまう

解いた直後は理解できたつもりでも、しばらくするとまた間違えてしまう。

・時間が足りず、やるべきことが終わらない

限られた時間で効率よく勉強することができない。

こうした悩みの原因は、「どの問題にどれだけ時間をかけるべきか」が曖昧なまま勉強を進めてしまうことにあります。

解決するためにおすすめのメソッドが、「受験マトリックス」です。

「マトリックス」を使った勉強法とは?

「マトリックス」を使った勉強法である「受験マトリックス」は、「テストが終わった後に、自分が解けた問題・解けなかった問題に関して分析を行っていくことで、自分の実力を可視化するという勉強法」です。この勉強法は、日曜劇場枠で放送されたドラマ『御上先生』のなかでも登場しています。東大勉強法の専門家の西岡壱誠氏が、「実際に東大生たちが実践していた勉強法をわかりやすく再編したもの」で、漫画『ドラゴン桜2』でも取り上げられています。*1

ドラマでは、高校生が受験勉強に向けて「マトリックス」を活用していましたが、受験勉強に限らず、社会人の資格試験勉強にも応用できます。特に社会人は、限られた時間で効率的に勉強する必要があります。

そのためには、やみくもに問題を解くのではなく、「どの問題を重点的に学習すべきか」を明確にすることが重要。そこで役立つのが「受験マトリックス」なのです。

「受験マトリックス」の使い方

問題を解き、答え合わせをしたら「受験マトリックス」で分析を行ないます。

縦軸を「得意・不得意」、横軸を「できた・できなかった」に分けて下図のような表をつくり、自分の解いた問題を分類していきます。

「受験マトリックス」の図解

4つの分類と対策方法

1. 得意×できた(得点源)

自分が得意だと認識していて、実際に点数が取れた問題。
➡ 繰り返し解く必要はありませんが、定期的に復習し、確実に得点できる状態を維持します。

2. 得意×できなかった(ミスの修正)

自分が得意だと認識しているにもかかわらず、実際は点数が取れていない問題。
➡ ケアレスミスや思い込みが原因の場合が多いため、なぜ間違えたのかを分析し、同じミスを繰り返さないように対策します。

3. 不得意×できた(要確認)

不得意だと認識しているにもかかわらず、点数が取れていた問題。
➡ たまたま正解した可能性があるため、理解が本当に定着しているかを確認します。もう一度解いてみて、説明できるレベルになれば安心です。

4. 不得意×できなかった(重点対策)

不得意だと認識していて、やはり点数が取れない問題。
➡ もっとも対策が必要。基礎に戻って丁寧に復習し、なぜ解けなかったのかを明確にします。

このように表に分類することで、自分の弱点が一目でわかり、効率的な学習計画を立てやすくなります

「受験マトリックス」を資格試験勉強に活かす方法

では、ビジネスパーソンが効率的に資格試験勉強を進めるためには、4つのカテゴリのうちどれを優先的に学べばいいのでしょうか。おすすめの優先順位は、以下の通り。もっとも効率的にスコアアップを狙えます。*2

❶ 得意×できなかった(ミスの修正)

本来は得点できるはずの問題を落としているため、ここを修正すれば即座に得点力が向上します。

❷ 不得意×できた(要確認)

たまたま正解した可能性があるため、理解が定着しているかを確認し、不安要素をなくします。

❸ 不得意×できなかった(重点対策)

もっとも対策が必要な問題です。基礎から見直し、理解を深めることでスコアの底上げにつながります。

❹ 得意×できた(得点源)

優先度は低め。

過去問を解くたび、この受験マトリックスで分析すれば、強化すべき点が可視化されるだけでなく、自分の成長を確認することができますよ。

筆者が「受験マトリックス」を試してみた

実際にTOEICの学習の分析に「受験マトリックス」を活用してみました。筆者は、TOEICのなかでも特にリスニングが苦手で、どこを重点的に学ぶべきか分からなくなっていました。

そこで、模試の答え合わせをしたあと、正解・不正解の問題をざっくりと分類して付箋に書き出し、「受験マトリックス」に配置しました。

受験マトリックスの実践紙面

【得意×できなかった】の分析

Part2が「得意×できなかった」問題であることが判明。思っていた以上にひっかけ問題に弱く、ミスが頻発していることを自覚できました。

➡ まずはこの部分を重点的に復習し、確実に得点源にすることにしました。

【不得意×できた】のチェック

「Part4はとにかく苦手」と感じていたのですが、先に問題文に目を通せた問題は、意外と正答できていました。

➡ 解答スピードを上げて先読みの時間を確保することと、前の問題にいつまでも悩まず切り替えることを意識することにしました。

【不得意×できなかった】の対策

  • Part 3の会話問題:細かい情報が抜け落ちやすかったため、スクリプトを見ながら聞き直し、話の流れを意識する練習をしました。
  • Part 4の説明文問題:後半になると集中力が切れてしまうことが多かったので、メモを取りながら聞くトレーニングを実施。リスニングを通しで行なう日を増やして、集中力をキープできるようにしました。

受験マトリックスを使った感想

メリット

  • 学習の優先順位が明確になり、自分が注力すべきポイントに集中できた
  • 「リスニング全部苦手だから、全部やらなきゃ」という焦りがなくなり、効率的に学習を進められた

注意点

  • 細かく分類しすぎると時間がかかりすぎる
  • 『ドラゴン桜2』では一問ずつ付箋に書いて分類する方法が推奨されているが、実践した結果、大まかなカテゴリで分けるだけでも効果が感じられた
  • 自分の状況に合わせて、分類方法を調整するのがおすすめ

***
限られた時間で最大の効果を上げるために、優先順位を明確にすることが、合格への近道。「受験マトリックス」を活用すれば、効率よく弱点を見つけて学習することができますよ。ぜひ、本記事を参考に、あなたの学習にも取り入れてみてください。

【ライタープロフィール】
柴田香織

大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。

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