ショート動画をついつい見てしまう自分にうんざり。無駄に時間を潰してしまって「スマホをダラダラ見るの、止めなきゃ」って思いますよね。
そんなとき、「ダメな自分……」で片づける前に、ちょっと質問です。
「今、なんでスマホを見ているんだろう?」と考えたことはありますか。この問いに、あなたは答えられますか。
「なぜ見ているか」に気づけていないだけ
スマホやSNSがドーパミンを利用して次々と動画を見せてくる状態を、ネットでは「ドパガキ」と呼ぶことがあります。その治し方として、「意志が弱いせいではない」と環境設計や仕組み化で抜け出そうとするやり方は、STUDY HACKERを含む多くのメディアで紹介されてきました。
でも、そもそも「なぜ今、これを見ているのか」を説明できる人はあまりいません。脳がハックされているから? ドーパミンにドパドパに浸されているから? 聞かれたら、「つい」と答えることになりそうです。手が勝手に動く、気づいたら見ている。理由もなにもなく、行動のほうが先に始まっています。
しかし、この「なぜ見ているのか」を考えるだけで、スマホを見てしまう習慣は抑制できるかもしれないのです。

高校生を対象にした予備的な研究では、自分の衝動や思考のクセに気づく力(メタ認知)を鍛える介入によって、スマホの使用時間や問題行動が実際に減ったと報告されています。*1
もちろん、気づけば必ず時間が減る、という魔法みたいな話ではありません。別の研究では、自己観察や気づきを促す介入によって「気を取られる感覚」は改善した一方、使用時間そのものは変わらなかった、という結果も出ています。*2気づきは、スマホをやめさせるハックの、あくまで最初の一歩、というところでしょうか。
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筆者が自分を観察してみたら
筆者もついついスマホを見てしまいます。主にショート動画とウェブマンガ。お気に入りのマンガがあって、つい「更新してないかなー」とちょくちょく見ちゃうのです(インディーズ系だと更新日が決まってないから)。
そこで、スマホに手が伸びたときに、「今、何のために見ているんだっけ」と自分に聞く、意識するようにしてみました。
すると見えてきたのは、「見たいから見ている」わけではない場面の多さでした。
これは主に2パターンあり、
- 「やらなきゃいけないこと」がない。または決めてない
- やらなきゃいけないけど、気が重い
というときに、「つい」「無意識に」スマホを見てしまっていることに気づきました。

1の場合、「スマホでショート動画見るの止めなきゃ」とふと思うものの、「じゃあ、何するの?」と我に返ると、何も決まっていなかったというケース。空白、スキマだったのでスマホがスルリと入ってしまっていたのです。ということは、やることを常に決めておけばこの「つい」が止められる。
2は、例えば「メール書かなきゃ」というとき、そのメールが謝罪と言い訳のためだったので、非常に気が重く「やりたくないなあ」と思っていたのです。一種の逃避でしょう。これは仕事や勉強でも同じで、そこに向かいたくない何らかの理由があるときにスマホを見てしまう。これはかなりの発見でした。意識されていなかったハードルがあることに気づけば、クリアする方法を考えればいいだけですから。逆に「ついスマホを見ちゃう」が、仕事や勉強方法を改善するチャンスになっていました。
これは、あくまで筆者の場合です。同じように自分を観察したら、まったく違う理由が見つかるかもしれません。
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「気づく」を練習するには
気づく力は、こうした問いかけや振り返りを繰り返すことで、少しずつ育っていくと言われています。*3
スマホに手が伸びた瞬間、一拍おいて「今、なんで見てるんだっけ」と自分に問いかけるだけでいいのです。答えは出ないかもしれません。しかし、問いかけたこと自体が、気づく力のトレーニングになります。

夜、その日を振り返って一行だけ書き留めるのもおすすめです。「今日、いちばんダラダラ見たのはいつだったか」「そのとき、何をしたかったのか」を書き出すことで、自分のパターンが少しずつ見えてきます。
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チェックリストで自分を採点するなんて大げさなことをする必要はありませんし、ましてや、自分を責めたりする必要もありません。ただ「気づく」ことを続けていれば、その先に「脱スマホ」があります。そして、「自分に気づく」力は、ほかのことにも通用する大きな力になっていきます。
よくある質問(FAQ)
Q. なぜ「なぜ見ているか」に気づくことが大事なのですか?
Q. 気づくだけでスマホをやめられますか?
Q. どうやって「気づく」練習をすればいいですか?
Q. 気づいても理由が分からないときはどうすればいいですか?
Q. ドパガキの治し方はありますか?
*1: Donati, M. A., Padovani, M., Iozzi, A., Primi, C. (2025), Addictive Behaviors, Vol.166, 108332|Prevention of problematic smartphone use among adolescents: A preliminary study to investigate the efficacy of an intervention based on the metacognitive model
*2: Throuvala, M. A., Griffiths, M. D., Rennoldson, M., Kuss, D. J. (2020), International Journal of Environmental Research and Public Health, Vol.17, No.13, 4842|Mind over Matter: Testing the Efficacy of an Online Randomized Controlled Trial to Reduce Distraction from Smartphone Use
*3: MIT Teaching + Learning Lab|Metacognition
蔵前直樹
ライター・編集者。書く仕事、デザイン、プランニング、時々農業、狩猟。デザイナー→カメラマン→ライター→編集者と転身してきた「多芸は無芸」「器用貧乏」を地で行くタイプ。STUDY HACKERで仕事を始めてから、全然関係のないフィナンシャルプランナー2級を取ろうと考えているあたり、全然懲りてない。