
学び直しが大切なことだとわかっていても、日々の生活のなかで勉強を習慣づけることは決して簡単ではありません。時間的にも気持ち的にも、なかなかハードルが高いものです。
「勉強を始めたが挫折した」「勉強を始めたいと思っているが、まだ始められていない」という方も多いはず。
そこでおすすめなのが、「小さな学び」を日々に散りばめ、「1か月の振り返り」でその活動をつなげていくことです。
特に、「これから本気で学び直したい」と考える方の助走におすすめ。筆者自身の実践例を交えて紹介します。
まずは小さく始めればOK
勉強が続かない・始められない理由のひとつは、その勉強を「気負いすぎる」ことかもしれません。
たとえば、いきなり「毎朝1時間、必ず勉強をする」と決めたとしましょう。その取り決めに無理があれば「また今日もできなかった」が生じ、継続できなかったことで意欲が低下してしまいます。それ以前に、億劫に感じてしまうこともあるでしょう。
そんな状態にならないよう、「まずは小さく始めればOK」という考えにシフトすることをおすすめします。
たとえば、こういった簡単なことでいいのです。
- 通勤中にビジネス系ポッドキャストを5分だけ聞く
- ランチ後にビジネス書を2ページ読む
- 気になる記事を1本読んで要点をスマホにメモする
- 打ち合わせで気づいたことを1行だけ書き残す
じつは、このようにハードルを極限まで下げることが、習慣化の鍵なのです。習慣化アプリを提供するbondavi株式会社代表取締役の戸田大介氏によるユーザー分析では、目標のハードルを下げるなどの原則を守った人は、守らなかった人と比べて、30日間継続成功率が少なくとも8.23倍高いことがわかっています。*1
つまり、無理せず小さな学びを重ねるだけで、格段に継続しやすくなるのです。

小さな学びの落とし穴とは?
しかし、この小さな学びには課題もあります。それは、「点在する学びの全体像が見えにくく、自分がどこに向かっているのか、次に何をすべきかつかみづらい」という点です。
そこで参考にしたいのが、習慣化コンサルタントの古川武士氏が説く「書く片づけ」です。自分の記録を月に1度俯瞰し、整理することで気づきや洞察を生み出すのです。それにより、「自己改善と自己発見」が進むと同氏は言います。*2
月に一度振り返ることで、「できるようになったこと」「抜け落ちていること」「失敗したこと」が明確になり、次に学ぶべきことが見えてきます。
「小さな学び」と「1か月の振り返り」の実践
じつは筆者、英語のリスニングとスピーキングを学び直したいのですが、なかなか本格的に始められません。
そこで、この「小さな学び」の記録と「1か月の振り返り」で、まずは助走を始めようと考えました。本格的な学びは、そのあとにつなげていけばいいのです。
その実践内容を、詳しく説明しましょう。
◇ まずは小さく学んでみる
- 【朝】朝食をとりながら、スマホで英語ニュースを聴く
- 【昼食後】朝聞いたニュースの振り返りをする(聞き取れなかったフレーズチェック、余裕があれば字幕を見て音読)
- 【料理中】夕食をつくるとき、今日の出来事やおもしろかったことを簡単な英語で独り言としてつぶやいてみる
- 【入浴後】髪を拭きながら、料理中につぶやいた独り言を調べ、わからなかった語彙や言い回しを確認する
◇ 日々の記録
日々の記録は、スマホのメモアプリで行ないました。簡単なフォーマットをつくり、
リスニング(朝・昼)と――

スピーキング(料理中・お風呂後)でメモを分け――

それぞれに「日付・チェック・感想」を書きます。
◇ 1か月の振り返り
それから月末に30分ほど時間をとり、日々残してきたメモをザッとまとめました。
「できるようになったこと」や「やっているうちに気づいたこと」が見えてくるのがおもしろく――自然と「次はここを深めよう」というアイデアにつながっていく印象です。

(※以下上の画像の内容)
- ◎ニュース、コーナーごと型があると気づけた。
- ◎型・出てきやすいフレーズを意識したら、ぐっと聞き取りやすくなった。
- ✖多分、朝やるのは厳しい。昼に全部やってもいいかも。または動きながら聴けるものにしてみるとか。
- ◎次はもっと型を覚えて、自分でも使えるようにしてみたい。
- ◎全く何も出てこない。→簡単なフレーズは出てくるようになった!
- ◎型とよく使う単語フレーズを覚えておくのが大事だなと思った。
- ✖お風呂のあと、結構バタバタする。夕食後の休んでいるときの方が落ち着いてやれるかも。
- ◎自分がよく話すことに関連する単語を覚えるとよさそう。
- ◎感情、状況を伝える型も増やしたい。
そして、これらをベースに来月の簡単な計画を立ててみました。
実際に1か月試して気づいたことを取り入れているので、現実的で無理のないプランになったと思います。

(※以下上の画像の内容)
- <昼食後>英語ニュース聴く。振り返り。
- <散歩・買い出し>
・ポッドキャスト、ラジオ試す
・単語、型、思い出す(音源あればそれ使う) - <料理中>つぶやき、続ける
- <夕食後>よく使う単語、型、覚える(リスニングの分も)
振り返りで「自分だけの改善点」が見つかる
今回、この「小さな学び」と「1か月の振り返り」の実践をしてみて、いくつか気づいた点がありましたので紹介します。
- 日々スマホメモに「小さな学び」を記録するだけでも、モチベーションはキープできる。
- ある程度まとまった期間で振り返りを行なうことで、「実体験に基づいた改善点」を見つけられる。
- 日々の記録だけではスルーしてしまいそうなことも、1か月の振り返りにより意識できた。
- 振り返るなかで、最初に習慣化しようとしたことが、自分に合っていないと気づけた。
無意識に行なっていたことでも、「これは大切」「これは問題」などと意識するようになれば、しっかりと次に活かすことができます。
もしも、1か月の振り返りサイクルが長いと感じる場合は、たとえば2週間単位などにしてもいいのではないでしょうか。ぜひご自身のリズムに合わせて、本格的な学びにつなげてみてください。
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学びを続けるコツは、こまめに学び、定期的に振り返ること。今日から気軽に始めて、無理なく勉強を習慣化してみませんか?
*1: STUDY HACKER|目標のハードルはここまで下げる。「たった5分」から始める習慣化の技術
*2: ダイヤモンド・オンライン|「習慣化コンサルタントが伝授」 記録するだけでは改善できない根本理由
柴田香織
大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。