朝活をルーティン化しよう! 誰でもできる簡単アクティビティ4選

朝活のルーティン1

「朝活」や「モーニングルーティン」という言葉は、最近すっかり定着しましたね。読者のみなさんも、早起きして朝の時間を有効活用しようと考えているのではないでしょうか?

心身ともに万全の状態で一日をスタートし、仕事や勉強で理想的なパフォーマンスを実現するには、自分なりの朝習慣を「正しく」確立するのがオススメです。朝活としてルーティンを取り入れるメリットや、おすすめのルーティンをご紹介しましょう。

ルーティンとは

朝のルーティン、すなわち朝活について語る前に、「ルーティン」という言葉の意味を確認しましょう。

『精選版 日本国語大辞典』によると、ルーティンとは「決まりきった手続きや手順」。言い換えれば「お決まりの習慣」です。

たとえば、YouTubeで人気のジャンル「モーニングルーティン」は、毎朝決まって行なう身支度や行動を指します。スポーツ選手が試合前にとる、決まったポーズや動作もルーティンです。「通勤中は必ず本を読む」「出社したら、いつもまっさきにメールをチェックする」など無意識の習慣も、ルーティンの一種とみなせます。

◆ルーティンの例

  • 朝は必ずコーヒーを飲む
  • 移動中はいつも本を読む
  • 出社したら、いつもまっさきにメールをチェックする
  • 試合前にお決まりのポーズをする

では、朝活としてルーティンを行なうことに、どのような意味があるのでしょうか?

朝活のルーティン2

朝活ルーティンのメリット

朝活としてルーティンを行なうことには、以下のようなメリットが考えられます。

集中の「スイッチ」が入る

ルーティンは、集中モードに入る「スイッチ」として機能します。「ネクタイを締めると仕事モードになる」「コーヒーを飲むと勉強モードになる」などのように、「これをすれば気持ちが切り替わる」という特定の動作があると、物事に取りかかりやすいのです。

2017年に山口県立大学が発表した研究では、被験者にダーツや記憶作業をさせたところ、作業前にルーティンを行なったグループはそうでないグループより得点が高いという結果でした。ルーティンによって集中力が高まった結果だと考えられています。

医師の猪俣武範氏によると、動作そのものが脳の「側坐核」を刺激し、ドーパミンを分泌させるのだそう。そのため、「仕事前のデスクの片づけ」をルーティンにすれば、書類をまとめたり机を拭いたりといった行動で自然と脳が刺激され、始業後に仕事がはかどるのです。

平常心を養える

心理学者の渋谷昌三氏によると、ルーティンは精神的な安定感をもたらすそう。スポーツ選手の多くは、練習前や試合前の行動を細かく決めていますね。普段通りの行動・手順を守ることで、「準備が順調に進んでいる」という実感が得られ、リラックスして試合に臨めるからです。

一般人にも同じことが言えます。大事な仕事や試験があるような緊張する場面では、確立したルーティンがあるかどうかが明暗を分けるでしょう。自分なりのルーティンをこなすことで、どんな状況でも平常心を保てるのです。

判断の回数を減らせる

生活をルーティン化すれば、考えたり悩んだりする時間・労力を節約できます。「朝は必ずハムエッグを食べる」と決めておけば、毎朝の食事に悩んで精神力を消耗することはないでしょう。アップルの創業者スティーブ・ジョブズ氏が、服選びの手間を省くため、ほぼワンパターンの服しかもたなかったエピソードも有名です。

「何時に家を出るか」「電車内で何をするか」「会社に着いたらまず何をするか」など、行動を選択する機会は無数にあります。ルーティンによって行動選択の時間を節約できれば、忙しい朝の時間を有意義に使えるでしょう。

以上のように、朝活としてルーティンを決めておくことには、大きなメリットがあるのです。

朝活のルーティン3

朝活ルーティン1:日光を浴びる

ここからは、おすすめの朝活ルーティンをご紹介します。まずは、「日光を浴びる」というシンプルなルーティンです。

精神科医の長谷川大輔氏によれば、日光を浴びると、体内で「セロトニン」の分泌が盛んになるそう。俗に「幸せホルモン」と呼ばれることもあるセロトニンは、精神的な安定をもたらすだけでなく、脳を活性化してくれます。起床後すぐに朝日を浴びれば、頭がシャキッとさえ、前向きな気持ちで一日を始められるのです。

セロトニンが欠乏すると、精神が不安定になり、うつ病などのリスクが高まるのだとか。特に冬は、日光が弱くセロトニンが減るため、積極的に日差しを浴びましょう

長谷川氏は、起床して30分以内に15~30分間浴びることを推奨しています。朝起きてすぐにカーテンを開け、窓の近くで朝食をとるなどすれば、自然とセロトニンの分泌量が増えて目が覚めるはずです。

よく晴れた朝は、散歩をするといいでしょう。体温が上昇するだけでなく、セロトニンや、脳神経の発達に欠かせないタンパク質「BDNF」の分泌が増えます。風景や環境音で五感が刺激されるため、脳の覚醒がさらに促されるでしょう。

◆日光を浴びるメリット

  • セロトニンが分泌される
  • 脳を活性化できる
  • 体内時計をリセットできる

◆日光を浴びるポイント

  • 起床後30分以内
  • 15~30分程度
  • 散歩をするとさらに効果的

簡単に身体を目覚めさせられる朝活ルーティンとして、起きたらすぐカーテンを開けることを習慣にしましょう。

朝活のルーティン4

朝活ルーティン2:朝食をとる

朝活ルーティンとして2つめにおすすめするのは、基本的ではありますが、バランスのいい朝食をとることです。

朝食をとるメリット

仕事・勉強のパフォーマンスは、朝食によって大きく左右されます。2019年の全国学力・学習状況調査統計などの調査では、朝食をとる頻度が高い学生ほど学力も高い傾向が示されました。

朝食の主な役割は、エネルギーの補給です。朝目覚めると、身体のエネルギーはほぼ空。前日に摂取したエネルギーは、睡眠中の基礎代謝に使い果たされるからです。朝食をとらないと、完全な「ガス欠」状態なので、仕事・勉強におけるミスやパフォーマンス低下につながるでしょう。

また、食事における「かむ」「飲み込む」などの動作で脳が刺激され、食べ物を消化しようと内臓も活性化します。朝食をとることで、身体がシャキッと覚醒するのです。

さらに、朝食をとると体内時計がリセットされ、ホルモンバランスや体温、血圧など、身体の機能が整っていきます。朝食をとらなかったり、とるタイミングが日によってバラバラだったりすると、体内時計が狂って心身の健康に悪影響を及ぼす恐れがあるのです。

◆朝食をとるメリット

  • エネルギーを補給できる
  • 体内時計をリセットできる
  • 食事の動作で脳が刺激される
  • 胃腸が活性化し、身体が目覚める

朝食にとるべき栄養素

管理栄養士の関口絢子氏は、朝食にとるべき栄養素として、炭水化物・タンパク質・ビタミンを挙げています。

  • 炭水化物:脳や身体を動かす。米やパンなどに含まれる
  • タンパク質:人体の組成に必要不可欠。肉・魚・卵・豆類などに含まれる
  • ビタミン:身体の機能を維持。野菜や果物に多く含まれる

関口氏が推奨するメニューは、「ひじき入り卵焼き」。卵からタンパク質を、ひじきからビタミンをとれ、栄養満点です。

焼き鳥の缶詰などのタンパク源と牛乳&白米を混ぜ合わせる「ミルク雑炊」や、手軽にタンパク質をとれる「鮭フレーク」、ビタミンたっぷりの「野菜入りみそ汁」なども朝食に適しているそう。ちなみに、朝食の定番メニュー「白米+鮭の塩焼き+みそ汁」は、炭水化物・タンパク質・ビタミンがすべて含まれ、最適な栄養バランスです。

◆関口氏推奨の朝食メニュー

  • 白米(炭水化物)
  • パン(炭水化物)
  • ミルク雑炊(炭水化物・タンパク質)
  • バナナ(炭水化物・ビタミン)
  • 鮭フレーク(タンパク質)
  • ひじき入り卵焼き(タンパク質・ビタミン)
  • 野菜入りみそ汁(ビタミン)
  • 海藻サラダ(ビタミン)
  • フルーツジュース・野菜ジュース(ビタミン)

毎日朝食をとるのは基本的なこととはいえ、朝活ルーティンとして徹底して行なうことで、頭のさえや気力の充実具合がかなり変わるはずです。

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朝活ルーティン3:プランニング

朝活ルーティンとしては「プランニング」もおすすめ。その日のスケジュールを書き出し、確認するのです。

神経外科医のマーク・マクラフリン氏によると、「計画なしに一日を始めるのは、目的地やルートを知らずにレースに出るようなもの」。その日すべきことを把握していないと、行動に無駄が生まれ、目的意識のない惰性的な一日を送る可能性が高まります。

朝は手帳を開き、その日の計画を洗いざらい書き出しましょう。目指すべき「目的地」や、たどるべき「ルート」が明確になり、スッキリした気持ちで仕事・勉強に向かえるはずです。

その際、「今日は憂うつな日になりそうだなぁ」とネガティブ思考に陥るのはNG。ペンシルベニア大学が2017年に発表した論文によれば、一日の始めにネガティブな予測をすると、その日後半の認知機能が低下することがわかっています。

そのため、「やるべきこと」だけでなく「やりたいこと」も手帳に書き出しましょう。「駅前の中華料理屋でランチを食べてみたい」「この前買った小説を電車で読みたい」「家に帰ったらビールを飲もう」など、自分がワクワクできるならなんでもかまいません。一日をポジティブな気分で始められ、ストレスへの耐性が高まります。

書き出した予定を消化できたら、線を引いて消しましょう。「できた!」と達成感を得られ、自信やモチベーションがアップします。

◆プランニングのメリット

  • ワクワクした気分で一日を始められる
  • 達成感や充実感を得られる
  • 目的意識が生まれ、行動に無駄がなくなる

◆プランニングのポイント

  • ネガティブな予測をしない
  • 「やるべきこと」と「やりたいこと」を書き出す
  • 「できたこと」を線で消す

仕事や勉強のパフォーマンスを高めたい方は、プランニングを朝活ルーティンに取り入れてみてください。

朝活のルーティン6

朝活ルーティン4:深呼吸瞑想

最後に紹介する朝活ルーティンは、精神科医の奥田弘美氏が推奨する「深呼吸瞑想」。意識的に深く呼吸することで、自律神経の働きをコントロールし、心身のコンディションを整えます。

自律神経とは、内臓の働きや血流、体温など、あらゆる生体機能をコントロールする神経。身体を「活動モード」にする交感神経、「休息モード」にする副交感神経の2種類で成り、それぞれバランスよく働くことで心身の健康が保たれます。

奥田氏によると、深呼吸瞑想は「胸式」「腹式」の2種類。「胸式」は交感神経を、「腹式」は副交感神経を活性化するそうです。朝活としては、心身を目覚めさせる「胸式」がいいでしょう。誰でも手軽に実践できます。

1. カーテンと窓を全開にする

まず、部屋の環境を整えましょう。カーテンと窓を全開にし、朝の爽やかな光と空気を迎え入れてください。新鮮な空気を身体に取り込めますし、日光でセロトニンの分泌が促されます。

2. 基本姿勢をつくる

深呼吸瞑想の姿勢をつくります。安定して立てるくらいの幅に両脚を広げ、手を肋骨の下あたりに置いてください。仁王立ちのような格好です。

3. 息を口から吐き出す

いよいよ瞑想を始めます。まず、体内の空気をすべて吐き出しましょう。息を口から吐き出しつつ、お腹の筋肉が固く収縮していくのを手のひらで感じてください。

4. 息を鼻から吸う

続いて、鼻からゆっくりと息を吸いつつ、お腹ではなく胸を膨らませる(胸式呼吸)よう意識します。

5. 吸いきったら止め、また口から吐く

胸郭が膨らみきり、もう吸えなくなったら、そのまま少し停止しましょう。その後、ゆっくりと口から息を吐き出します。

6. 3回以上繰り返す

1~5の手順を3回以上繰り返したら、深呼吸瞑想は終了。呼吸を繰り返すたび体温が上がり、身体に活力がみなぎるのを感じるはずです。

深呼吸瞑想なら、悪天候で散歩できないときも、室内で簡単にウォーミングアップできます。心身を目覚めさせる朝活ルーティンなので、ぜひ実践してみてください。

***
朝活ルーティンを4つ紹介しました。午前中に頭がさえない方や、日によってパフォーマンスにムラがある方は、朝を充実させることで心身のコンディションが整うはずです。

(参考)
コトバンク|ルーチン
進夏未・當山美唯・東美空・田中和子・吉村耕一(2017),「ルーティン動作が非アスリートの集中力と作業精度に及ぼす効果」, 科学・技術研究, 6巻, 1号, pp.85-88.
猪俣武範(2020),『最高のデスクワーク』, クロスメディア・パブリッシング.
渋谷昌三(2018),『夢と目標を引き寄せる心理術』, こう書房.
菅原道仁(2017),『脳神経外科医が教える 一生疲れない人の「脳」の休め方』, 実務教育出版.
大平信孝・大平朝子(2016),『ダラダラ気分を一瞬で変える 小さな習慣』, サンクチュアリ出版.
さんたつ|脳内科医で散歩マニア、加藤俊徳先生に聞く“朝さんぽが脳にいい理由”【朝を歩こう】
文部科学省|「早寝(ね)早起き朝ごはん」って知ってるかな?
大人んサー|理想的な「朝ごはん」のメニュー&レシピ
Business Insider Japan|脳神経外科医が見つけた、朝の3つのベストルーティン
Hyun, Jinshil, Martin J Sliwinski, and Joshua M Smyth (2018), "Waking Up on the Wrong Side of the Bed: The Effects of Stress Anticipation on Working Memory in Daily Life," The Journals of Gerontology: Series B, Vol. 74, No. 1, pp.38–46.
All About|「予定通りにいかない……」を抜け出す、朝スケジュールの立て方
奥田弘美(2016),『1分間 どこでもマインドフルネス』, 日本能率協会マネジメントセンター.

【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。

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